【ドゥカティ デザートX 試乗】らしさを取り戻したドゥカティに「おかえりなさい」と言いたい…伊丹孝裕

注目のニューモデルがついに日本上陸

オフロード寄りの純然たるスポーツモデル

6パターンのライディングモード

「ドゥカティらしさ」を取り戻したネオクラシック

ドゥカティ デザートX
ドゥカティ デザートX全 28 枚

注目のニューモデルがついに日本上陸

待望の、と言っていいだろう。ドゥカティのブランニューマシン『デザートX』が、ついに日本へ上陸した。

「ドゥカティらしさを取り戻した」と伊丹氏が評価する『デザートX』

そのコンセプトモデルが披露されたのは、2019年のEICMA(ミラノショー)でのことだ。多くのメーカーがアドベンチャーモデルに力を注ぐ中、それはなんの前触れもなく発表され、ひと際高い注目を集めていた。それから3年弱の時を経て、エンジンもフレームも足まわりもまったくの別モノへ進化。しかし、あの魅力的なスタイリングはほぼそのまま再現され、一般公道を走れることになったのだ。

オフロード寄りの純然たるスポーツモデル

ドゥカティ デザートXドゥカティ デザートX

ここで言う魅力的なスタイリングとは、80年代から90年代にかけて黄金期を築いたパリ・ダカールラリー参戦マシンを思わせるたたずまいだ。自社マシンを送り込んでいたわけではないが、当時の親会社であるカジバがドゥカティのLツインエンジンを採用。1990年と1994年には、優勝という輝かしいリザルトに貢献している。

という昔話から始めておいてなんだが、デザートXはいわゆるネオクラシックブームに乗っかったモデルではない。無論、その要素は随所に散りばめられているとはいえ、オンロードかオフロードなら、完全にオフ寄りの純然たるスポーツモデルだ。ドゥカティのリリースには「オフロードバイク」、あるいは「エンデューロバイク」という文言が使われ、アドベンチャーバイクにもカテゴライズしていない。

実際、デザートXはライダーフレンドリーではない。875mmのシート高は、身長174cmの私(伊丹孝裕)がまたがって、両足のツマ先が接地する程度。路面状況が悪い場所では、サイドスタンドの出し入れに若干の緊張がともなう。

6パターンのライディングモード

ドゥカティ デザートXドゥカティ デザートX

エンジンの出力特性やパワー、トラクションコントロールなどの介入度が変化するライディングモードには、オンロード用に4パターン(スポーツ/ツーリング/アーバン/ウェット)、オフロード用に2パターン(ラリー/エンデューロ)が設定されているものの、最もダイレクトなスポーツ、もしくはラリーがナチュラルで使いやすい。

オフロード用はしっかり検証できていないのだが、ツーリングやアーバンだと、スロットル微開域のレスポンスが間引かれ過ぎ、優しくあろうとするあまり、やや不自然な領域がある。右手の動きに対して、半テンポくらいのタイムラグなら「穏やか」と評せるものの、ワンテンポくらいの間合いが生じる時がある。結局、スポーツを選んで自分の意志でコントロールした方が一体感が高かった。

ドゥカティ デザートXドゥカティ デザートX

それでもなお、ややダルな領域は残され、ラリーモードでもそうだった。試乗中、それを不思議に感じていたのだが、少しばかり不整地に持ち込んでみて、「あぁそういうことか」と分かったことがひとつ。グリップが期待できない路面で、完璧にリニアだとむしろ扱いづらくなるため、それを見越してのセッティングなのだと思う。外乱の影響を受け、右手の動きがラフになっても一瞬の待ちがあり、そこでペースを落とすもよし、開けられるなら気にせずその領域を飛び越えるもよし。ライダーのスキルに任せるのでいかようにも、とテストライダーのそんな思惑が聞こえてくるようだ。

「ドゥカティらしさ」を取り戻したネオクラシック

ドゥカティ デザートXドゥカティ デザートX

もっとも、フルパワー状態でも110ps/9250rpmゆえ、223kgの装備重量に対して、手に余るほどではない。少なくともアスファルト上では、コントロール下に置くことができ、スポーツを選択したところで、ビギナーを切り捨てるようなキャラクターではない。

とはいえ、一応色々なライディングモードを用意し、ライダーに寄り添っている感を出しつつも、本質的にはスポーツライディングありき。その清々しさが心地よかった。ライダーにおもねるのではなく、ドゥカティが考える理想にライダー側が合わせてもらう、あるいはそこに至れるようにいざなう開発姿勢が見て取れた。だからこそ、「マシン」として美しく、洗練されている。

思えば、かつてのドゥカティはほとんどがそうだった。このデザートXには、あの頃の心意気が感じられ(現行モデルではハイパーモタード950SPもそうだ)、なんだか心地いい。おかえりなさい、とそんな気分。単なるスタイリングではなく、「らしさ」を取り戻したという意味のネオクラシックと言える。

ドゥカティ デザートXドゥカティ デザートX

■5つ星評価
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
コンフォート:★★★
足着き:★★
オススメ度:★★★★

伊丹孝裕|モーターサイクルジャーナリスト
1971年京都生まれ。1998年にネコ・パブリッシングへ入社。2005年、同社発刊の2輪専門誌『クラブマン』の編集長に就任し、2007年に退社。以後、フリーランスのライターとして、2輪と4輪媒体を中心に執筆を行っている。レーシングライダーとしても活動し、これまでマン島TTやパイクスピーク・インターナショナル・ヒルクライム、鈴鹿8時間耐久ロードレースといった国内外のレースに参戦。サーキット走行会や試乗会ではインストラクターも務めている。

《伊丹孝裕》

モーターサイクルジャーナリスト 伊丹孝裕

モーターサイクルジャーナリスト 1971年京都生まれ。1998年にネコ・パブリッシングへ入社。2005年、同社発刊の2輪専門誌『クラブマン』の編集長に就任し、2007年に退社。以後、フリーランスのライターとして、2輪と4輪媒体を中心に執筆を行っている。レーシングライダーとしても活動し、これまでマン島TTやパイクスピーク・インターナショナル・ヒルクライム、鈴鹿8時間耐久ロードレースといった国内外のレースに参戦。サーキット走行会や試乗会ではインストラクターも務めている。

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