アルファタウリ勢、熱き想いを胸にF1日本GPへ…初凱旋の角田裕毅「僕の夢が叶う瞬間」

日本GPに向けての想いを語った角田裕毅(右)とピエール・ガスリー。
日本GPに向けての想いを語った角田裕毅(右)とピエール・ガスリー。全 16 枚

開催目前となったF1日本GPに向けて、「スクーデリア・アルファタウリ(Scuderia AlphaTauri)」のドライバーであるピエール・ガスリーと角田裕毅が10月5日、東京都内にてメディアセッションに臨んだ。それぞれの想いを胸に、決戦の地・鈴鹿サーキットへと乗り込む。

コロナ禍の影響で過去2年は開催がなかったF1日本GP。今季2022年は3年ぶりに開催実現の運びとなり、10月7~9日に三重県・鈴鹿サーキットで熱戦が展開される予定だ。

前戦シンガポールGPからの連戦というタイトなスケジュールのなか、レッドブル・グループのF1チームの一角で、2018~2021年にホンダと共闘、今も「実質ホンダ勢」の一翼を担うチームである「アルファタウリ」のドライバー両名が都内でメディアセッションに参加した。鈴鹿への乗り込みを前に、その意気込みなどを語っている。

アルファタウリのメディアセッションアルファタウリのメディアセッション

◆角田裕毅「F1で走る鈴鹿は世界が違うと思う。ワクワクしています」

F1参戦2年目(昨季からアルファタウリに所属)、F1ドライバーとして初の日本GP凱旋となる22歳の角田裕毅(つのだ ゆうき)は、今年の日本GPを「僕にとっては夢が叶う瞬間です」と、感慨深げに表現した。

もちろん、F1ドライバーになること自体が夢であり、それは昨季開幕の時点で叶っているわけだが、角田は「日本のファンのみなさんの前で走ることが夢でした」と、母国GPへの想いを語る。「数年前まで観客だった自分が、まさかこんなに早くF1で鈴鹿を走れるようになるとは思っていませんでしたからね。本当に楽しみです」。

鈴鹿サーキット・レーシングスクール(現在のホンダ・レーシングスクール・鈴鹿)の出身である角田にとって、鈴鹿は「すごく思い出深い場所ですし、世界で最もたくさん走ったコースです」。コースの隅々まで熟知していることは、F1でも「いいアドバンテージになるんじゃないかな、と思っています」。

鈴鹿でのレースは、2018年にFIA-F4日本シリーズを戦っていたとき以来になるという。「F1は45秒くらいラップタイムが速い。世界が違うだろうと思って、ワクワクしています。シミュレーターで走っても、F1だと2倍速、3倍速くらいの早送りみたいで、速度感覚がまったく違い、新たな鈴鹿を見ることができた、という感じでしたからね」。慣れ親しんだコースで、別次元の新たな世界に踏み込むことになる。

アルファタウリのドライバー、角田裕毅。アルファタウリのドライバー、角田裕毅。

◆来季残留決定「よりドライビングに集中できる」

ちなみに現在はアルファタウリの本拠地があるイタリア在住の角田、今回の日本帰国に際しては「食べたいものの優先リストをつくっていて、それに則って食べています。鈴鹿に入ったら松阪牛ですね」とも。

マシンセッティング進行のメニュー消化のノリだろうか、さすがF1ドライバーというところだが、そのリストの筆頭にあったのは「もつ鍋」とのこと。もちろん、これは真っ先に消化済み、だそうである。

来季2023年のアルファタウリ残留が先頃決まり、「ホッとしていますし、考えることがひとつ減りました。よりドライビングに集中できるわけですからね」という素直な思いも角田は語っている。「一発の速さは成長していると思います」という手応えも得ている今季、鈴鹿の後にも4戦あるので総決算というには少し早いが、鈴鹿でシーズン最高のパフォーマンスを見せてほしい。

#10 ピエール・ガスリー(2022年アゼルバイジャンGP)#10 ピエール・ガスリー(2022年アゼルバイジャンGP)

◆ガスリー「今季ここまでのベストレースはバクー戦」

フランス国籍の26歳、ピエール・ガスリーは2017年のシーズン終盤にトロロッソ(現アルファタウリ)からF1参戦を開始。2019年の前半戦をレッドブルで戦った以外は、この中堅イタリア・チームでF1生活を送ってきている。2020年イタリアGPでは初優勝を達成しており、2019~21年は毎年、トロロッソ~アルファタウリのマシンで表彰台に乗る大活躍を演じていた。

ただ、今季はここまで表彰台がなく(最高5位)、全般に苦戦傾向である。今季のベストレース、そして残念だったレースは、という問いに対する答えのなかで、ガスリー自身も「正直、昨年に比べると今年はチームにとって難しいシーズンになっている」という前提を語った。マシンパフォーマンスに厳しい面があることは否めない。角田も昨季は最高4位があったが、今季は目下最高が7位だ。

そうしたなかではあるが、ガスリーの今季ベストレースはベストリザルトのレースでもある第8戦アゼルバイジャンGP(バクー市街地コース)だという。「バクーでは昨年、3位表彰台を獲得していた。今年も5位と、良い結果が得られているからね」。

残念だったのはバクーのあとの中盤戦。「6月の後半から7月のレースでは、マシンのセットアップに関し、チームとして新しい方向性を目指していったんだけど、それがうまくいかなくてポイント(10位以内入賞)が獲れないレースが続いてしまった。でも、ここ最近のレースでは4戦中3回入賞しているし、良くなってきてはいると思う」。終盤戦の浮上に期待したい。

なお、角田にとっては「バクーが今季一番残念なレースでした」とのことである。「いいところを走っていたんですけど、トラブルでピットインせざるを得なくなってしまいました(最終結果13位)」。角田の今季ここまでのベストの方は、「イモラ(第4戦エミリア・ロマーニャGP)ですね。(今季最高の)7位でしたし、オーバーテイクもたくさんできたと思いますから」。

#22 角田裕毅(2022年エミリア・ロマーニャGP)#22 角田裕毅(2022年エミリア・ロマーニャGP)

◆「日本GPは、お祝いができるようなレースにしたい」

ガスリーは前夜に角田と一緒に行ったカラオケが最高に楽しかった、とも語っているが、もともと日本馴染みのドライバーでもある。2017年には日本のトップカテゴリー「スーパーフォーミュラ(SF)」を主戦場にしていたからだ。

当時、鈴鹿ではSF最終戦の決勝日が台風の影響でキャンセルされ、ガスリーは決勝日を戦えずに0.5点差でシリーズ2位に敗れる、ということがあった。今回、その話を鈴鹿の思い出として自ら語るくらいなので、相当に残念だったのだろう。

SFに参戦した2017年の初期には、前年のGP2(現在のFIA-F2)チャンピオンとはいえ、まだ有望な若手のひとりに過ぎなかった自分のところにたくさんのファンが集まってくれることに嬉しい驚きをおぼえたともガスリーは振り返る。彼も日本での戦いには、人一倍、熱い想いをもつドライバーなのだ。

「日本のファンのみなさんが、本当に心からの応援をしてくれていることに感謝している。海外のレースまで見に来てくれる人もいるくらいだからね。そういう人たちが鈴鹿の日本GPに多く集まってくれると思うので、エキサイティングなパフォーマンスを見せて、終わったらお祝いができるようなレースにしたい」

角田はもちろん、ガスリーも大きな応援に後押しされる鈴鹿サーキットでのF1日本GP。走行は10月7日に始まり、8日が予選日、9日が決勝日の予定になっている。

《遠藤俊幸》

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