日産のライフケアビークルは軽、ワンボックス、バンがそろい踏み…国際福祉機器展2022

国際福祉機器展の日産ブースにはチェアキャブスロープタイプのセレナが展示されていた。
国際福祉機器展の日産ブースにはチェアキャブスロープタイプのセレナが展示されていた。全 26 枚

10月7日まで、『国際福祉機器展H.C.R.2022』が東京ビッグサイトで開催されている。日産自動車のブースには、車イスを運べるライフケアビークルの3台を展示。チェアキャブスロープタイプの『セレナ』、チェアキャブリフタータイプの『キャラバン』、助手席スライドアップシートの『ルークス』が用意され、実際に動作の確認、車イスの積み下ろしの体験もできる。

◆車高が80mm下がることで利用者は大きな安心感がある

チェアキャブスロープタイプのセレナは、後部ドアからスロープを引き出し、車イスに乗ったまま乗降できるというのが特徴。スロープは手動で素早く引き出せ、乗降時にはスロープ角度がなだらかになるように、車高が80mm下がる。傾斜がなだらかになると介護者が車イスを運び入れる際の負担も少なく、車イス利用者も転倒などのリスクを下げられる。車イスに乗った利用者を乗車させる際には、車イスを乗降アシスト用のベルトで固定し、電動でベルトを巻き取る機構により、介護者はほとんど力を必要としない。

運転席と助手席下の部分からベルトを伸ばし車イスに固定すれば、ベルトが電動で巻き上げられるため、積み上げが簡単にできる。積み上げは車イスに利用者が乗ったままでも可能。運転席と助手席下の部分からベルトを伸ばし車イスに固定すれば、ベルトが電動で巻き上げられるため、積み上げが簡単にできる。積み上げは車イスに利用者が乗ったままでも可能。
スロープの角度がなだらかになるように、車高が80mm下がるようになっている。スロープの角度がなだらかになるように、車高が80mm下がるようになっている。

◆全自動リフターで介護者の負担は大幅に軽減

チェアキャブリフタータイプの日産キャラバンは、ボタン操作で昇降する全自動リフターが後部位置に設置されている。リフターは耐荷重が200kgと余裕があるため、ほとんどの場合、車イス利用者が乗ったままでも乗車できる。

車イスに利用者が乗った状態でもリフターが利用できる。車イスに利用者が乗った状態でもリフターが利用できる。

◆軽自動車でも車イス利用者が快適に利用できる仕組み

助手席スライドアップシートのルークスは、軽自動車でありながらも広い室内空間をいかし、助手席がリモコンで回転・昇降し、車イスからの移乗がらくに行えるのが特徴。助手席が車外に出た際の座面の高さは、車イスの座面の高さとほぼ同じとなるため、乗り換える際の身体の負担が少ない。またスライドドア部分には、スライドドアの開閉と自動で連動するステップがオプションとして用意されており、足が不自由な方は乗り降りがしやすくなる。後部トランク位置には折りたたんだ車イスが1台収納可能なため、乗車人数4人を犠牲にすることなく、車イスの収納もできる。

前に進みつつ、シート位置も下がっていく。前に進みつつ、シート位置も下がっていく。

ブースには福祉車両の設計に携わるスタッフがいたので話をうかがった。福祉車両の利用者については、やはりセレナ、日産キャラバンが多く、セレナは一般家庭用としての利用、日産キャラバンは福祉関連会社などの企業での利用が多いとのこと。今回展示されているリフターなどについては、お客様の声を反映して設計を変更することが多いとのことで、ディーラーやコールセンターに寄せられた意見を精査し、3~4年に1回は搭載機構の刷新や改良が行われるとのこと。また新しい機構の開発時などには、実際に介護施設などに足を運び、介護職員の方たちにお話を聞きながら設計にいかすことも行われている。介護・福祉用車両の開発の難しい点を聞いてみたところ、利用者の年齢や性別など異なることが多いため、『利用者みんなが使いやすい』という大前提を守ることが一番難しいとのこと。また改良したいと思っても、性能を担保できない場合、改良を諦めざるを得ないことは、今まで山のようにあったそうで、歯がゆい思いをすることも多いと語っていた。

《関口敬文》

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