京王線で事故復旧訓練、情報連絡ツールのバディコムを導入[フォトレポート]

京王電鉄・総合事故復旧訓練(2022年10月13日、若葉台車両基地)
京王電鉄・総合事故復旧訓練(2022年10月13日、若葉台車両基地)全 39 枚

新宿~八王子など東京西郊・多摩地区に路線を持つ鉄道会社の京王電鉄は10月13日、東京都稲城市にある若葉台車両基地で「総合事故復旧訓練」を実施した。今回、ライブコミュニケーションツール「バディコム」を導入し、事故復旧での活用を試みた。

訓練は、京王永山~京王多摩センター駅間で、酷暑で膨張したレールが所定の位置から張り出し、走行中の列車の先頭車が脱線したと想定し、初動対応から運転再開までを再現した。

京王電鉄では、災害や鉄道事故の発生を想定し、「総合事故復旧訓練」を毎年実施している。車両基地で実際に電車や機材を使用し、情報伝達をはじめ、負傷した旅客の救出や救護、旅客の迅速な避難誘導、脱線した電車や破損した線路・電線の復旧など、多岐にわたる訓練だ。

2022年の訓練は、井上晋一取締役常務執行役員の「上手な訓練が目的ではない。学びを得てほしい」という挨拶で始まった。

訓練では、走行中の列車がレールの張り出しのため先頭車が脱線した場合を想定した。脱線した車両は反対方向の上り線も支障、レールは断線、架線も断線し垂下、車内では重傷者が発生したとし、以下の訓練を実施した。

(1)列車防護などの初動対応およびライブコミュニケーションツール「バディコム」などを活用した情報伝達
(2)旅客の避難誘導(車両搭載の避難梯子の活用、車両扉からの避難、スーツケースを持参した外国人、一般の旅客、白杖・車椅子を利用している旅客など)
(3)車掌用タブレットや多言語拡声装置を使用した外国人への案内
(4)損傷した鉄道施設の応急復旧(脱線復旧、架線・インピーダンスボンド復旧、マクラギ更換、道床搗固作業)

訓練参加者は、実際の作業者、乗客役、見学者、総勢210名になった。京王電鉄外部からの参加者として、稲城消防署、多摩中央警察署、さらに新たな取り組みとして日本大学学生(日本大学危機管理学部 河本教授ゼミ生ほか)、日本盲導犬協会の参加があった。

今回の訓練で、もうひとつ新たに導入されたものが、情報連絡ツールのバディコム(Buddycom)だ。動画・音声をライブ伝達できるタブレットのようなツールだ。訓練では現場と対策本部との間の連絡で使われた。京王電鉄では2022年1月から事件・事故・災害などの発生時の初期対応や情報連携のため、 バディコムをテスト運用しており、2022年8月に全駅・全車掌に本導入をすませた。

訓練終了後の訓示で都村智史代表取締役社長は「指差喚呼が心強く、感動した。初めて使用したバディコムは、画像はクリアで、非常時の判断の迅速化に貢献するだろう。訓練でこういう新しいことにチャレンジしたい。鉄道は安全と安心が優先。緊急時には臨機応変の対応も必要だ。臨機応変の対応は日々の訓練の上に可能になる」と述べた。

《高木啓》

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

教えて!はじめてEV

アクセスランキング

  1. 「やっと日本仕様が見れるのか」新世代ワーゲンバス『ID. Buzz』ついに上陸! 気になるのはサイズ?価格?
  2. 船上で水素を製造できる「エナジー・オブザーバー」が9年間の航海へ
  3. 最後のフォードエンジン搭載ケータハム、「セブン 310アンコール」発表
  4. 高機能ヘルメットスタンド、梅雨・湿気から解放する乾燥ファン搭載でMakuake登場
  5. 「三菱っぽくないけどカッコいい」ルノーの兄弟車となる『エクリプス クロス』次期型デザインに反響
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. 米国EV市場の課題と消費者意識、充電インフラが最大の懸念…J.D.パワー調査
  2. 低速の自動運転遠隔サポートシステム、日本主導で国際規格が世界初制定
  3. 「やっと日本仕様が見れるのか」新世代ワーゲンバス『ID. Buzz』ついに上陸! 気になるのはサイズ?価格?
  4. BYD、認定中古車にも「10年30万km」バッテリーSoH保証適用
  5. 「あれはなんだ?」BYDが“軽EV”を作る気になった会長の一言
ランキングをもっと見る