【ホンダ フィットRS 新型試乗】山道が気持ちいい!「爽快コンパクト」…島崎七生人

山道を気持ちよく走りまわれる「RS」

1.5リットルエンジンは黒子じゃない

AWDのクロスターは今どきのコンパクトカー

ホンダ フィット e:HEV RS
ホンダ フィット e:HEV RS全 28 枚

ノーズ先端のスラント化は“よく見れば”それとわかる程度。2020年2月のまさにコロナ禍直前に発表・発売された従来型に対して、マイナーチェンジ版でも“心地いい”という側面は変えていないという。

【画像全28枚】

変えるところ、キープするところ、なくすもの……の3つをテーマに追求したのが今回の『フィット』の開発。マイナーチェンジにしては変え幅が小さいと思われるかも知れないが、それは吟味し、やることを取捨選択しての結果だった……そう話すのは、開発責任者の奥山貴也さん。その上でバリエーションのひとつとして、スポーティなモデルを望む声に応えたのが、いうまでもなく今回登場の「フィットRS」だ。

山道を気持ちよく走りまわれる「RS」

何はともあれ試乗してみると、ホンダ流に言葉で表わせば「爽快フィール」が印象的だった。もともとの高剛性ボディを活かし、サスペンションはやや締め上げられ、ロールを減らすと同時に前後のロールバランスも見直し、リヤのロール剛性を上げることでアンダーステアを消す方向のチューニングがされたという。

良いのはその説明どおり、山道を気持ちよく走りまわれる点。サスペンションは低速で少し縦方向の揺れを感じるも、スピードを乗せていくと、しなやかで安定感のあるコーナリングフォームを作り出す。ステアリングも操舵力、レスポンスともにしっとりとしており、気持ちよく思いどおりにクルマの向きが変えられる。

1.5リットルエンジンは黒子じゃない

装着タイヤは「BluEarth GT」だが、低ころがりの省燃費タイヤとは思えない情報量、レスポンスを感じながら走らせられるのがいい。サスペンションについては、とくにフロントの低フリクションはやり切っていたので、フロントはスタビはe:HEV車の径を上げ、バネのレートを僅かに下げてバランスをとったそうで、リヤのバネレートもかなり上げたという。

今回試乗したのはハイブリッドの「e:HEV RS」。e:HEVは従来モデルに対しモーター出力で10kW(14ps)、エンジンで6kW、それぞれ性能を高めたパワートレインを搭載(編集部注:RSを含めた全てのe:HEVに対応)するが、これもまた爽快な印象。

加速途中、負荷等の兼ねあいで一瞬、共振音を感じる領域がある。が、そこを通り過ぎエンジンが高回転域に達すると、1.5リットルDOHC i-VTECが黒子に徹しているだけじゃないぞとばかりに、頭打ち感とは無縁なまさに突き抜けたようなエンジン音と鼓動を実感させてくれる。

AWDのクロスターは今どきのコンパクトカー

他方、「e:HEV HOME」と「e:HEV CROSSTAR(AWD)」にも試乗できたが、後者のシッカリとスムースなドライバビリティに好感をもった。山道でもステアリングの操舵感が確かで、タイヤノイズが15インチと較べるとわずかに大きめながら、SUV風味の安心で楽しげなドライブが味わえる、今どきのコンパクトカーだと改めて思った。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★★

島崎七生人|AJAJ会員/モータージャーナリスト
1958年・東京生まれ。大学卒業後、編集制作会社に9年余勤務。雑誌・単行本の編集/執筆/撮影を経験後、1991年よりフリーランスとして活動を開始。以来自動車専門誌ほか、ウェブなどで執筆活動を展開、現在に至る。便宜上ジャーナリストを名乗るも、一般ユーザーの視点でクルマと接し、レポートするスタンスをとっている。

《島崎七生人》

島崎七生人

島崎七生人|AJAJ会員/モータージャーナリスト 1958年・東京生まれ。大学卒業後、編集制作会社に9年余勤務。雑誌・単行本の編集/執筆/撮影を経験後、1991年よりフリーランスとして活動を開始。以来自動車専門誌ほか、ウェブなどで執筆活動を展開、現在に至る。便宜上ジャーナリストを名乗るも、一般ユーザーの視点でクルマと接し、レポートするスタンスをとっている。

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