BMWの次世代EV「ノイエ・クラッセ」、コンセプトカー発表へ…CES 2023

「ノイエ・クラッセ」の始まりは1961年発表の中型セダン

2026年からドイツ・ミュンヘン工場で次世代EV生産へ

航続が30%延び充電時間は30%短縮

BMW 3シリーズ・セダン のEV 「i3」新型(中国仕様、参考)
BMW 3シリーズ・セダン のEV 「i3」新型(中国仕様、参考)全 10 枚

BMWグループは11月3日、「ノイエ・クラッセ(新たなクラス)」を標榜する次世代EVを示唆したコンセプトカーを2023年1月、米国ラスベガスで開催されるCES 2023で初公開すると発表した。

次世代EVは2025年から順次、発売される予定。BMWグループはまず、『3シリーズ』セグメントのセダンと、スポーティな SUVをデビューさせる計画だ。

◆「ノイエ・クラッセ」の始まりは1961年発表の中型セダン

もともと、ノイエ・クラッセとは、1960年代にBMWが急成長を遂げる原動力となったモデルを指す。BMWは1960年代、コンパクトな『イセッタ』、『600』、『700』、そして「バロック・エンジェル」の名前で親しまれた大型セダンの『501』/『502』/『503』ラインなどを発売した。当時のBMWには中型車のラインアップがなく、その隙間を埋めたのがノイエ・クラッセだった。

BMWのノイエ・クラッセとは、1961年のフランクフルトモーターショーで初公開された『1500』が原点とされる。ただし、BMW1500は当初から、公式にノイエ・クラッセと呼ばれていたわけではない。BMWは1963年の『1800』発売後、1964年から、ノイエ・クラッセのフレーズを宣伝で意図的に使うようになった。その結果、BMWはこの中型セダンにより、独自性の高い唯一無二な新しいクラスを誕生させたという見方が定着したという。

当時のBMWは、ノイエ・クラッセで成功を収めた。1960~1970年の10年間、BMWの販売台数は3倍に、自動車部門の売上高は7倍以上に達した。1962年2月から1972年1月にかけて、1800セダンなどのシリーズモデルは合計で33万9814台が生産された。ノイエ・クラッセは、ダイナミックな中型スポーツセダンの生みの親と考えられており、1972年に発表された『5シリーズ』に、そのコンセプトは受け継がれたという。

◆2026年からドイツ・ミュンヘン工場で次世代EV生産へ

BMWグループは、持続可能なモビリティに向けて技術的変化を加速し、転換を推進している。次世代EVのノイエ・クラッセにおいては、テクノロジーの進化への準備を整え、eモビリティの強化を続けながら、ペースを上げている。

2020年代の半ば以降、ピュアEVのノイエ・クラッセが、BMWグループの販売台数に大きく貢献する予定だ。ノイエ・クラッセは、eモビリティの市場への浸透をさらに加速させる可能性を秘めており、2030年よりも前に、BMWグループの世界新車販売台数の50%がピュアEVになる可能性があるという。

BMWグループの最も歴史のある工場がドイツ・ミュンヘン工場だ。同工場では、生産ラインから出てくるすべての車両が、2023年末までに完全に電気化される計画。 2026年からは、次世代EV のノイエ・クラッセもミュンヘン工場で生産する予定だ。

◆航続が30%延び充電時間は30%短縮

BMWグループは、ノイエ・クラッセの導入によって、2020年代中頃から製品ラインアップを再編成する。ノイエ・クラッセは、EV向けに最適化された車両アーキテクチャをベースにしており、3つの大きな特徴を持つ。ITとソフトウェア・アーキテクチャー、新開発の高性能EVパワートレインとバッテリー、そして新たなレベルのライフサイクル全体を通したサステイナビリティ、だ。

次世代のEVは、BMWならではの特徴が未来に引き継がれるようにするとともに、デジタル化と電動化の基準を打ち立てることを目指している。これによって、BMWグループのEVへの需要がさらに増えることが見込まれるという。

これを実現するために、BMWグループは、技術面での飛躍を図る。たとえば、ノイエ・クラッセでは、まったく新しい電気駆動システムを使用し、電力消費量の低減と航続の延長を追求する。BMWグループは現在、そのために次世代のバッテリーセルを開発中。最適化された電池化学との組み合わせによって、EVパワートレインのコスト削減を狙う。

BMWグループが独自開発し、第6世代となる新しいバッテリーテクノロジーを導入する。バッテリーに関しては、新開発のBMWラウンドセルを、ノイエ・クラッセの将来の車両アーキテクチャに合わせて最適化する。これにより、エネルギー密度が20%増加し、航続が30%延び、充電時間が30%短縮されるという。大きな技術的飛躍を実現するとともに、高電圧バッテリーのコストを、最大50%削減することを目指す、としている。

《森脇稔》

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