芝浦工業大学は11月14日、西武鉄道(西武)から寄贈された元鉄道院の蒸気機関車400形403号の一般公開を11月12日から同大学の附属中学高等学校(東京都江東区)で開始したと発表した。
400形は、明治時代の1886年にイギリスのナスミス・ウィルソン社で製造されたタンク式蒸気機関車で、先輪と従輪を円弧状に移動させることで動揺を抑制する新機軸の足回りが採用されたことで、国鉄(当時の鉄道局)のみならず、私鉄でも500・600・700形といった派生型が登場。これらは400形を含めて明治の鉄道国有化後に「A8形」と総称されるようになった。

今回、一般公開されるようになった403号は1892年に鉄道局から私鉄の日本鉄道(現在のJR東北本線やJR高崎線の前身)に譲渡されたもので、その後、房総鉄道(JR外房線の前身)や川越鉄道(新宿線などの前身)へ渡った。
西武が保有していた経緯は、川越鉄道が1914年に武蔵水電に吸収合併され、1922年にその鉄道部門が旧西武鉄道となったことで、その当時は「No.4」と命名。旧西武鉄道は1945年に武蔵野鉄道(池袋線などの前身)と合併して西武農業鉄道となり、1946年には現在の西武鉄道となっている。
1961年には埼玉県神川町(かみかわまち)にある現在のJR八高線丹荘駅から分岐し西武化学前駅へ至っていた日本ニッケル(1962年に上武鉄道に改称、1986年廃止)が借り入れていたことがあったが、1965年に返却され廃車。その後、埼玉県所沢市のユネスコ村での保存を経て、西武の横瀬車両管理所(埼玉県横瀬町)に保管されていた。
芝浦工業大学附属中学高等学校での公開は、同校が1922年に日本の鉄道開業50周年を記念して「東京鐵道中学」として開校してから100周年を迎えたことが縁で、公開に際しては補修整備が徹底的に行なわれ、これまで失われていた製造銘板とナンバープレートが復元されている。
また、機関車の土台にはオブジェとしてJR東日本と東京都港区教育委員会から寄贈された高輪築堤の築石が置かれており、博物館明治村(愛知県犬山市)で保存されている明治の蒸気機関車9号から採録した汽笛や走行音を再生する仕組みも設けられている。

公開空地で24時間の見学が可能だが、運転台の公開は土休日と休校日を除く月~土曜の9~17時に行なわれ、汽笛や走行音は各日12時と17時に鳴らされる。
芝浦工業大学附属中学高等学校へは、新交通ゆりかもめ・新豊洲駅(東京都江東区)南口から徒歩1分。