11月12日、千葉県千葉市稲毛区にテスラセンター千葉稲毛がオープンした。
千葉県内初の試乗拠点となるストア、修理・点検・車検などに対応するサービス拠点、2023年初旬より納車を行うデリバリー拠点を併設し、さらに2022年末から2023年始頃を目処に最大能力250kWの充電設備であるスーパーチャージャー8基が稼働開始する予定。この4つの機能を1か所に集約した施設は、国内初だ。
◆「要所」千葉稲毛への拠点設置で、首都圏をカバーするネットワークを構築

充電も含めたアフターサービスをトータルで提供することを旨とするテスラにとっては、今回のロケーションも重要な意味を持つ。東京と神奈川にストア5軒とサービス4拠点を用意しているが、東京湾の対岸である千葉に新拠点を設けることで、首都圏を広くカバーするネットワークが構築できるのだ。また、東関道の千葉北IC至近でアクセスもよく、充電や修理などにおけるユーザーメリットも見込める。来るべきEV本格普及を、準備万端で迎えるための要所となるべく設けられたのが、このテスラセンター千葉稲毛なのである。

また、今年だけでもスーパーチャージャー設置拠点を12か所増設しているテスラジャパンでは、1年以上の準備期間を経て開設されたこの千葉稲毛を皮切りに、同様の施設の展開も検討していきたいという。また、軽微な修理に出張対応するモバイルサービスを全国20台体制で実施しているが、今後のユーザー数の増加状況に応じて増強することも計画中。それらに伴い、人材確保にも積極的だ。
◆日本販売台数「未公表」でも、漂う好調な雰囲気

こうした活発な足場固めの背景には、好調な販売があることは想像に難くない。さらに、欧米や中国に比べればEV普及率が低い日本だが、今後の伸びしろへの期待感も大きいことは、取材中にもひしひしと伝わってきた。それは、筆者の体感的にも十分に理解できる。昨今、東京近郊で『モデル3』を見かけない日はないほどで、一日に複数目にすることも珍しくない。6月に開催したレスポンス読者限定EV・PHEV試乗会では、半日ほどのイベントで3台のモデル3が成約するという人気ぶりにも驚かされた。
テスラは日本での販売台数を公表していないが、それを推測する材料はある。まずは日本自動車輸入組合(JAIA)発表の輸入車新規登録台数データ。テスラは「Others(その他)」に含まれるが、ほかに該当するメーカーがほとんどないことから、大半をテスラが占めると思われる。その2014~2021年度の合計は1万2343台、2022年度上半期は2019台だ。2018年度までは3桁で推移しているが、モデル3の納車が9月にスタートした2019年度に1317台へ増加し、2020年度には2336台、2021年度には5989台となっている。

もうひとつは2022年3月に届け出られた改善対策。国土交通省が公開したデータによれば、2014年7月7日~2022年1月26日に輸入された1万1425台が対象で、2014年9月に納車開始した『モデルS』をはじめ、『モデルX』とモデル3も含まれる。内容はシートベルトリマインダの警報音に関する軽微なもので、全車共通のプログラム更新により解消できることから、日本導入台数のほぼ全数を含んでいると思われる。これらを兼ね合わせると、日本国内へはこれまで1万2000台程度のテスラ車が導入されていると考えられる。
その主力がモデル3で、上記した1万1425台のうち、じつに8278台を占めている。2022年2月にはモデル3の下位2グレードの出荷元をアメリカ本国から上海工場へ変更し、価格を大幅に引き下げたことも、さらなる販売拡大につながっている模様だ。しかも、モデル3と同じコンポーネンツを用いたSUVタイプの『モデルY』も、この9月に納車を開始した。国内外のメーカーが新型車を続々投入しているが、それによりユーザーのEVへの抵抗感が下がりつつあることも、EV市場を牽引してきた先駆者には追い風になるかもしれない。2022年10月の輸入EV販売台数は過去最高の1417台だったが、同月のJAIA速報における『Others』は580台……。テスラの勢いは、ますます強まりそうな気配だ。
