京成高砂駅の脱線事故で京成が陳謝---構内運転士の取扱いミスでポイントが損傷

脱線し、2線を支障した3700形3788号。
脱線し、2線を支障した3700形3788号。全 8 枚

京成電鉄(京成)は11月17日に発生した京成高砂駅(東京都葛飾区)構内での脱線事故について陳謝した。

この事故は、京成佐倉9時25分発京成高砂行き第976K列車(3700形8両編成)の高砂車庫入庫時に発生。構内運転士に交替して回送中の10時21分頃、最後部の1両(3788号)が脱線し、京成本線と北総線の下り線を塞いだ。

支障した状態を俯瞰。手前が京成本線下り線、乗り上げている部分が北総線下り線。支障した状態を俯瞰。手前が京成本線下り線、乗り上げている部分が北総線下り線。
脱線した8両編成の最後部(駅ホーム方)の様子。脱線した8両編成の最後部(駅ホーム方)の様子。

これにより、京成本線では千住大橋~市川真間間、北総線(成田スカイアクセス線)では京成高砂~新鎌ヶ谷間で10時間以上も運行を見合わせ、20時49分頃に再開している。

京成の発表では、事故の原因を構内運転士の取扱いミスによる転轍機(ポイント)損傷としており、「ご利用のお客さまには多大なるご迷惑をおかけいたしましたことを深くお詫び申し上げます」と陳謝している。

ポイントの損傷具合を確認する係員。ポイントの損傷具合を確認する係員。3700形3788号の脱線状態。3700形3788号の脱線状態。

今回の事故は、隣接する旅客線を塞いだ意味で、 1956年10月に参宮線六軒(ろっけん)駅(三重県松阪市)で発生した上下列車の衝突事故(いわゆる「六軒事故」)、1962年5月に常磐線三河島駅(東京都荒川区)構内で発生した多重衝突事故(いわゆる「三河島事故」)を想起させる。

これらの事故は信号誤認により安全側線に突っ込んだ列車が脱線したもので、今回の京成高砂駅での脱線とはプロセスが異なるものの、一歩間違えれば通過列車と接触していただけに、近年では稀に見る大規模な脱線事故と言えるだろう。

ちなみに京成では、2002年6月にも高砂車庫構内で類似の脱線事故が発生している。この時は出庫時の事故で、本線上のポイントなどを損傷させながら進行し、京成高砂駅2番線進入時に復線したという。

2002年6月に発生した高砂車庫脱線事故の状況。この時は出庫列車で発生しており、ポイントやレールの伸縮継目で使われている「トングレール」という、先端が薄くなっているレールの損傷や軌道の狂いといった保守上のミスが原因とされた。今回の脱線箇所は支障具合から見て、2002年当時とほぼ同じ模様。発生時刻は双方とも10時台だった。2002年6月に発生した高砂車庫脱線事故の状況。この時は出庫列車で発生しており、ポイントやレールの伸縮継目で使われている「トングレール」という、先端が薄くなっているレールの損傷や軌道の狂いといった保守上のミスが原因とされた。今回の脱線箇所は支障具合から見て、2002年当時とほぼ同じ模様。発生時刻は双方とも10時台だった。

また、直近では2020年6月に発生した青砥駅(東京都葛飾区)での脱線が記憶に新しい。

2020年6月、青砥駅での脱線。2020年6月、青砥駅での脱線。青砥駅での脱線状態。この時は「側ばり」と呼ばれる台車枠の側面で亀裂が進展していたことが原因とされた。青砥駅での脱線状態。この時は「側ばり」と呼ばれる台車枠の側面で亀裂が進展していたことが原因とされた。

《佐藤正樹》

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