テイ・エステックとアルプスアルパイン、次世代車室内空間「XRキャビン」を公開

テイ・エステックとアルプスアルパインが共同開発した「XRキャビン」
テイ・エステックとアルプスアルパインが共同開発した「XRキャビン」全 6 枚

自動車内装部品大手のテイ・エステックと電子部品大手のアルプスアルパインは11月18日、次世代車室内空間についての説明会を開催。「XRキャビン」を共同開発したと発表し、報道陣に公開した。

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テイ・エステックはホンダ系でシートやドアトリムなどを主に生産している。一方、アルプスアルパインは2019年に総合電子メーカーのアルプス電気と車載情報通信機器メーカーのアルパインが経営統合して誕生した会社で、電子部品や音響機器、カーナビゲーションが主力製品だ。両社は2022年1月に業務提携をし、自動運転社会を睨んだ新しい価値を持ったキャビンの開発を始めた。

「実はその前の2020年から感動を生み出す移動空間の創造に向けて何度も議論を進め、開発を行ってきた」とテイ・エステックの保田真成社長は話し、こう付け加えた。

「変革のさなかにある自動車業界では、EV化や自動運転技術など劇的なスピードでビジネスモデルが変化し、私たち自動車部品メーカーにおいても、事業環境の変化が加速度的に進んでいる。特に自動運転技術がもたらすユーザーの自動車に対する変化は車室内空間の価値を一変させる。私たち内装システムサプライヤーはいち早くユーザーニーズを形にし、新たな価値を提供していかなければならない。ただ、それを自社だけでは難しく、強力なパートナーが必要だと考えたときに協力してくれたのがアルプスアルパインだった」

一方、それはアルプスアルパインも同じで、「目指す姿を実現していくためには、すべて1社単独では具現化できない。テイ・エステックとはわれわれが目指すものと同じ方向を共有できたことから、パートナーとして活動を進めている」と木本隆取締役専務執行役員は説明する。

そうしてタッグを組んだ両社が成果の一つとして発表したのが今回の「XRキャビン」だった。それはテイ・エステックが持つシートを中心とした自動車内装品開発・製造技術と、アルプスアルパインが持つ車載HMI(ヒューマンマシンインターフェース)技術の強みを活かしたものだ。「自動車用シートとVR技術が融合し、次世代車室内空間として具現化した。移動するためだった車内をどこより心地よく、感動を生み出す空間として提案する」と保田社長は強調する。

シートに座るだけで腰痛が改善

XRキャビンには数々の最新技術が搭載されている。1つ目が「サウンド&振動HMIシート」だ。ヘッドレストスピーカー追加により臨場感あるサウンドを体験でき、しかもそのサウンドに合わせてシートが振動する。

2つ目が機能とデザインを融合した「ドアHMIステルス・スイッチ」で、XRキャビンでは肘掛けの部分に採用。柔らかい素材の上に手をかざすと隠れたスイッチが現れるのだ。試しにシートが後ろにリクライニングするスイッチに触れると、ゆっくりとシートが倒れ始めた。

3つ目が「自由空間 シートアレンジ提案」で、ドライブモード、休息モード、対座モードがあり、対座モードではシートが回転する。また、シートにはマッサージ機能が備わっており、疲労を軽減できる。このマッサージ機能はシート内の空気袋を膨張・収縮させて背中や腿裏を押圧するようになっており、ソフトで非常に快適だ。

4つ目が「速暖空調シート」で、乗員に近い位置から温風を吐出し、シートに抵触していない部位も加温して高い温熱効果を出す。また、人体に感じやすい部位を集中加温して乗員を効率よく暖め、省電力を実現している。

5つ目が「生体センシング」で、座るだけで乗員の状態を見守り、安全や健康管理をサポートする。具体的には、クッションのセンサーから呼吸情報を取得して低覚醒判定を行い、眠気レベルが上がると音や振動で注意喚起する。

6つ目が「ヘルスケアシート」で、座るだけで腰痛になりにくい体に姿勢を改善するというものだ。姿勢の測定結果から課題とリスクを教示し、原因の筋肉をほぐしてシートで姿勢を矯正するそうだ。

そのほか、今回のXRキャビンには搭載されていないが、「廉価空調シート」や植物由来の「サステナブルシート」といった新技術も紹介されていた。

「自動運転時代での車室内空間全体を活かした演出や、先進的なADASを2030年以降にお客に提供することを目指している。また、このXRキャビンを複数制作し、日本だけでなく、北米、中国の開発拠点にも設置する。お客の要望や地域仕様のトレンドに合わせてデザインやシナリオをさらに更新し、提供価値の具現化と開発の加速に向け、グローバルで両社で活用する計画にしている」と木本専務執行役員は説明する。

すでに国内ではOEMメーカーを呼んで説明会を開催しており、大きな反響があったそうだ。「まずはOEMメーカーに興味を持ってもらうことが大事だ」と保田社長は強調していた。

《山田清志》

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