【シトロエン C3エアクロス 新型試乗】ケロケロ音すら愛おしい、小さなディーゼルSUV…岩貞るみこ

シトロエン C3 エアクロスSUV BlueHDi
シトロエン C3 エアクロスSUV BlueHDi全 3 枚

今回のワンポイント確認は、「小さなC3のディーゼルはどんな乗り心地になるのか」である。

まるっこくてかわいいシトロエンのコンパクトカー『C3』をSUVに仕立てた『C3エアクロスSUV』。コンパクトSUVは世界的な流行が長く続いていて、駐車場事情がクルマ選びを大きく左右する日本でも気になる存在である。

長距離を走る週末アウトドア派を中心に、軽油ゆえに燃料代を抑えられるディーゼルの要望は高いが、音や振動も気になるところ。高級車であれば防音材などをふんだんに施すことが可能だが、小さなボディ+ディーゼルは、どんな仕上がりになるのか。

◆フランス車を選んでよかったと浸る時間が流れる

まず市街地。エンジンスタートと同時に、エンジン音が耳に入る。アクセルを踏むと、ディーゼルエンジン独特の、ケロケロ音(ガラガラというより、ケロケロと軽くかわいい音)も聞こえてくる。低速で走っていると、風切り音もロードノイズ(タイヤが路面をたたく音)もそんなに大きくならないため、よけいケロケロ音が聞こえてにぎやかだ。

音よりも気になるのが走り出し部分である。ディーゼルターボの走り出しは、車速がゼロに近い状態からアクセルを踏んだときに、一瞬、戸惑うようなしぐさを見せることがある。特に、このところ国産車はハイブリッド化が進み、走り出しはモーターがアシストしてするすると加速するようになっているため、この差は顕著に感じると言わざるを得ない。

シトロエン C3 エアクロスSUV BlueHDiシトロエン C3 エアクロスSUV BlueHDi

ただし、じゃあ、この部分が不愉快なのかと言えば答えは「否」で、やんちゃなんだから仕方ないなあと受け入れて愛をふりそそぐ私がいる。たぶん間違いなく、国産コンパクトがこれをやらかしたら叱りつけているだろう。だけどこれはフランス車なのだ。気ままに我が道を行くお国柄なのだ。えこひいきですか? ええ、そうですとも。郷に入っては郷に従え、フランス車に乗るならこの奔放さを受け入れて楽しむ自分に酔いしれたいのである。

では、高速道路はどうか。これがもうしびれる気持ちよさである。トルクのある加速感から一気に速度を上げて一定速度で走り出すと、ケロケロ音は聞こえない。そして、ディーゼルエンジンならではの、のびやかな走りが繰り広げられるのだ。しなやかなサスペンションと、身体をぎゅっと包み込むようなやわらかいシートは、国産車とも硬めのドイツ系とも、まったく異なる乗り心地。フランス車を選んでよかったと浸る時間が流れるばかりだ。

◆ケロケロ音すらも愛おしくなる

結論。「小さなC3のディーゼルはどんな乗り心地になるのか」は、市街地のスタート部分は気を使うこともあるしケロケロ音も聞こえてくるけれど、それすらも愛おしく、今を楽しんでいるかと何度も自分に問いかけてしまうくらい、独自路線をいく楽しいクルマだった。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★
パワーソース:★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★

岩貞るみこ|モータージャーナリスト/作家
イタリア在住経験があり、グローバルなユーザー視点から行政に対し積極的に発言を行っている。レスポンスでは、女性ユーザーの本音で語るインプレを執筆するほか、コラム『岩貞るみこの人道車医』を連載中。著書に「ハチ公物語」「しっぽをなくしたイルカ」「命をつなげ!ドクターヘリ」ほか多数。最新刊は「法律がわかる!桃太郎こども裁判」(すべて講談社)。

《岩貞るみこ》

岩貞るみこ

岩貞るみこ|モータージャーナリスト/作家 イタリア在住経験があり、グローバルなユーザー視点から行政に対し積極的に発言を行っている。レスポンスでは、女性ユーザーの本音で語るインプレを執筆するほか、コラム『岩貞るみこの人道車医』を連載中。著書に「未来のクルマができるまで 世界初、水素で走る燃料電池自動車 MIRAI」「ハチ公物語」「命をつなげ!ドクターヘリ」ほか多数。2024年6月に最新刊「こちら、沖縄美ら海水族館 動物健康管理室。」を上梓(すべて講談社)。

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