シャープ、ドライバーモニタリングシステムや車載用太陽電池などを出展…CES 2023

初出展の「ドライバーモニタリングシステム」。車載用ディスプレイとカメラモジュールを一体化した
初出展の「ドライバーモニタリングシステム」。車載用ディスプレイとカメラモジュールを一体化した全 12 枚

シャープは、米国ネバダ州ラスベガスで開催されている「CES 2023」に出展し、安全かつ環境に配慮した走行を支援する先進の車載関連技術の展示を行なった。すべてが海外初出展のものとなり、特設された「Automotive」のコーナーに一覧できるよう出展されていた。

展示会場はLVCCとは少し離れたウィン・ラスベガスホテルのボールルーム「Petrus」。主要会場の一つであるベネチアンコンベンションセンターの隣にある高級ホテルだ。ここのコンベンションルームを活用しての出展となった。

◆世界最高の変換効率32.65%を実現した車載用太陽電池

「Automotive」のコーナーで最初に紹介されたのは車載用太陽電池。ここでは軽量かつフレキシブルな特長を活かしながら、世界最高の変換効率32.65%を達成した実用サイズの化合物太陽電池と、シリコン製の車載向け太陽電池モジュールが紹介された。いずれも海外初出展となる技術となる。

中でも注目なのは、世界最高の変換効率32.65%を達成した化合物太陽電池だ。一般的な太陽電池の変換効率は20%前後と言われ、それに比べると1.5倍を超える高効率を誇る。そのため、この太陽電池をクルマのボンネットからルーフ、トランクまで全面に使用した場合は、晴天下での一日の充電で40~50km程度の走行が可能になる電力が得られるという。

この特長を活かし、高効率化と軽量化が求められるEVなどの移動体だけでなく、人工衛星などの宇宙や航空分野への利用を想定する。軽量かつフレキシブルな特徴は幅広い用途への展開が考えられ、今後の成長が期待されるが、コスト的にはきわめて高いという現実もある。そのため、現在は主として人工衛星などでの利用にとどまっているという。

また、シリコン製の車載向け太陽電池モジュールは一般的に平面な場所への用途が中心だが、本製品では緩やかにラウンドしたガラス面のほぼ全域に張り込んでいるのがポイントとなる。これによって限られた面積を最大限に活かせる活用がが想定される。

◆液晶ディスプレイやカメラ技術によって多様なニーズに対応

次に紹介されたのが、初出展の「ドライバーモニタリングシステム」だ。車載用ディスプレイとカメラモジュールを一体化したもので、ドライバーの視線や顔の向き、瞬きを検知してドライバーの状況を見守る。もちろん、居眠り検知にも対応できる。このタイプのカメラはこれまでディスプレイと別々に装着されることが多かったが、シャープとしてはカメラ部も一体化することでデザイン面や機能面での優位性を自動車メーカーやティアワンに訴えていく考えだ。

シャープは車載カメラも数多く提供してきた。その大半がバックカメラとなるが、最近の電子ミラー用カメラをはじめ、ここで提案したドライバー視線を検知するための車内用カメラや、運転アシストなどADAS系カメラでも多くの採用例があるという。シャープによれば、OEMのとの関係で展示こそできなかったが、ADAS/自動運転用として2Mピクセル、5Mピクセル、8Mピクセルのセンサーも年内に量産化される見込みになっているそうだ。

海外初出展となった視野角制御ディスプレイを活用したのが助手席用モニター「Passenger Information Display」だ。バックライトをコントロールする独自の技術により、運転席と助手席で見られるパブリックモードと、運転席だけをブラックアウトするプライバシーモードに切り替えられる。これにより、走行時は運転席から助手席用モニターの映像を視認できないようにディスプレイの視野角を制御し、安全かつ快適なドライブをサポートする。この機能は独自のバックライト技術によって実現できたという。

◆ディスプレイ上の凹凸や押し込む操作を加えて明瞭なインターフェースを実現

クリックディスプレイも海外初出展だ。高感度の圧力センサーと、振動などによって触感のフィードバックを得られるハプティクス技術を組み合わせた新開発のディスプレイとなる。スマートフォンのような滑らかなタッチ操作を備えながら、物理キーのようなクリック感がある操作性を1つのディスプレイの上で実現できるのが特徴だ。

具体的には十字キーや音量ボタンなど操作アイコンには指先で凹凸が感じられる形状とし、たとえばナビゲーションの操作ではアイコンに触れると機能を紹介するテキストが表示されて、さらに押し込むとより詳しい内容が表示できるなど、押し具合によってで機能を切り替えることもできる。カーナビゲーションシステムへの採用のほか、車内のエアコンやオーディオなどの操作にも対応していく。

このほか、液晶ディスプレイを自動車メーカーに直接OEMしてきた例としてフォードがあり、会場には2022年型フォード/マスタングに採用されたインフォテイメントシステムの展示も行われた。OEMとの車両開発段階から関わることでディスプレイの細かな角度設定などにも対応できたという。シャープとしてはこうした直接OEMに提供するビジネスを加速していく考えだ。

《会田肇》

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