カーボンニュートラル時代、生産技術のキーポイントは?…ハノーバーメッセ2023

ドイツメッセ グローバルディレクター パシリオス トリアンタフィロス氏
ドイツメッセ グローバルディレクター パシリオス トリアンタフィロス氏全 7 枚

世界最大規模の産業技術展「ハノーバーメッセ2023」が4月17日から開催される。主催するドイツメッセが日本報道陣向けの記者会見を行った。スピーカーはドイツメッセ グローバルディレクター パシリオス トリアンタフィロス氏。

CESが自動車業界としても外せないイベントになった。日本は東京モーターショーが「ジャパンモビリティショー」に名称変更される。自工会は当初「ジャパンオールインダストリーショー」という名前を掲げていたように、CASE、MaaS、DXといった変革の波の中、これまでの業界枠にとらわれない工業・サービス業全般の技術動向、市場動向のキャッチアップが求められている。

業界ステークホルダーが他業種へ広がる傾向は、自動車業界だけではない。等のFA、産業機器業界も同様だ。では、ハノーバーメッセ(のような産業技術展・カンファレンス)と自動車業界はどう捉えればいいのだろうか。おそらくOEM・サプライヤー問わず生産技術や製造技術にかかわる部署、企業で、過去のハノーバーメッセに参加したこともある人もいるだろう。コロナ禍以降、3年ぶりの対面開催となるハノーバーメッセ2023のキーポイントは5つあるとする。

トリアンタフィロス氏は「業界のメガトレンドはインダストリー4.0、脱炭素生産、AI&ML(機械学習)、エネルギー管理、水素&燃料電池だ」とし、今回のハノーバーメッセの注力テーマだという。

センサー統合、自動化ティクス、ソフトウェア技術をたんに工業や製造に革新をもたらしすだけでなく、コロナ後の社会・経済の修復がいまのテーマだ。脱炭素はアウトプットである製品だけでなく製造過程の要件だ。AI技術は製品に実装されるだけでなく、AIを使った設計、生産を考えるフェーズに入っている。ライン上や工場内での人間とロボットの協働、協調作業はFAでのひとつのトレンドとなっている。

予測不能な世界情勢下において、地政学的なリスクが増大する化石燃料(天然ガス)依存の脱却も必要だ。欧州、とくにドイツでは脱炭素や温暖化対策という理由を除いても再エネやグリーン水素エネルギーの活用拡大が急務となっている。

この5つをコアフィールドとして、会場では次の7つの展示エリアを設けて各社の新技術やソリューションが展開される。

・オートメーション、モーション&ドライブ
・デジタルエコシステム
・エネルギーソリューション
・エンジニアリング・部品・素材
・フューチャーハブ(先端技術)
・コンプレッサー・真空技術
・グローバルビジネス&マーケット

コロナ後最初の対面開催とのことで、出展社規模はコロナ前(2019年)より少ないが、4000社以上の出展、8000以上の製品・ソリューションが展示される見込みだ。来場者数は10万人を見込んでいる。日本企業も出展するといい15社ないし最大20社程度がリストに名を連ねるという。スタートアップにも力を入れ、300社以上の参加を予定しており、マッチングやプレゼンピッチなどコミュニティイベントも企画される。

記者発表のあと、日本の自動車メーカーやサプライヤーがハノーバーメッセに参加する意義、メリットについてトリアンタフィロス氏に直接聞いてみた。

「あらゆる技術がどのように相互作用するのか。この視点があると思っている。EV、燃料電池については直接的な技術や情報が得られるだろう。また、生産工程、製造工程の自動化、デジタル化。ここは製造業全体が取り組んでいる問題だと思う。ロジスティクスも過小評価すべきではない。物流や安定教供給のほか、エネルギー効率、時間効率といった問題にも対応できるだろう。」

記者発表に招待されたゲストスピーカーであるRRI(ロボット革命・産業IoTいいしあてぃぶ協議会) 中島一雄氏は、産業データ連携、データスペースに関する動きに注目しているという。業界ステークホルダーが拡大・多様化する中、業種・業界を超えたデータ連携の問題がある。代表的な取り組みに「Catena-X」があるが、EUではデータベースを産業全体に広げる「Manufactureing-X」へと広がっている。統合的な産業データは、標準化、共有化すべき協調領域と、付加価値にかかわる競争領域を明確にすることでビジネスを健全に活性化させる効果が期待できる。

カーボンニュートラルの取り組みでは、工場や生産活動に直接かかわるCO2排出量(スコープ1、2)以外にサプライチェーンや関連活動までカバーするスコープ3まで要件が包括的になっていく。車両単体の電動化、ZEV化だけでなく製造工程や企業活動全体の見直しが求められている。

《中尾真二》

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