BYD販売開始、将来的に月30台は売って行きたい…ディーラー経営者[インタビュー]

BYD AUTO 東名横浜
BYD AUTO 東名横浜全 8 枚

BYDオートジャパンはコンパクトSUVの『アット3』の販売を開始。同時に2月2日よりショールームの第1号店を東名横浜インター側にオープンする。その経営者であるアクセルの岡本二久代表取締役社長に、なぜBYDを販売するのかなどの話を聞いた。

BYD AUTO 東名横浜BYD AUTO 東名横浜

◆BYDじゃないとダメなわけ

---:アクセルは西東京エリアに5ブランドの正規ディーラー8店舗と輸入車専業販売店3店舗を運営するトータルインポートカーショップです。そして新たにBYDの販売を手掛けることになりました。なぜ、BYDを扱おうと考えたのですか。

アクセル代表取締役社長の岡本二久さんアクセル代表取締役社長の岡本二久さん

アクセル代表取締役社長の岡本二久さん(以下敬称略):我々は輸入車をずっとやってきていますが、全体として価格帯が高いこともあり、年齢層が高い傾向にあります。そこでもう少し身近に若い皆さんが新車に乗れないかなと考えていました。

BYDの方々とお会いして、BYDのクルマを見て乗って、話を聞いた結果、いまわれわれが扱っているブランドと年齢層が比較的ダブらないという判断がありました。BYDは若い方からミドルの年齢層ぐらいが多分ターゲットになろうでしょう。そうすると、我々としても若い方から、既存の高年齢の方まで幅広く取り入れることができるようになりますので、そこはBYDじゃないとダメだと思っています。

もうひとつビジネス的な視点ですが、我々は中古車ディーラーもやっています。ただし中古車ですと“ディーラービジネス”として成り立たないところがあるのですね。それはなぜかといいますと、新車のディーラービジネスは販売だけではなく、アフターサービス、そこからまた次の代替えにつなげていくというサイクルがあるのです。しかし、中古車ビジネスですと、遠方から買いに来る方もいらっしゃいますし、その方たちがサービス入庫するかというと難しいですよね。その結果、売りっぱなしになったり、次のクルマは別のお店で買うなど、定着しにくいのです。

---:どのくらいの年齢層の人たちが来てくれるといいとお考えですか。

岡本:これはやってみないとわかりませんが、欲をいえば、20代後半から30代の家族をお持ちで、お子様がまだチャイルドシートに乗るような年齢層の方々が来ていただきたいですし、多分来ていただけるとは思っています。

BYD AUTO 東名横浜BYD AUTO 東名横浜

現状のお話をしますと、時間を追うごとに試乗の予約が入って来ていて現在、30を超えています(1月31日時点)。また、今日の午前中にもう営業していますかといらした方に、2日からだとお伝えしますと、「なんだ、買いに来たのに」といわれました。ほかにもメールで、印鑑証明は何通持っていけばいいでしょうかなど、35年クルマ業界にいて、色々なブランドのオープンを見てきましたが、こういったことは既存のブランドではまずないことです。ですから、こういったことは新規ブランドを立ち上げた醍醐味かもしれませんね。

---:いままでクルマを持ってなかった方たち、あるいは、アクセルグループの他ブランドからの乗り換えや、台数追加、また、若い方をターゲットとすると、そのお客様の子供なども考えられますね。

岡本:そのあたりまで取り入れられると、10年経った時には経営的に最高な形になると思います。お父さんの世代から息子さんの世代、また次の世代まで行くかもしれませんので、幅広い年齢層を取れるというのはやはり魅力です。

◆法人も狙いたい

---:若い層ということであれば、今後『ドルフィン』も入って来ますから、有利でしょう。

岡本:そこでいいますと、もうひとつ大きなポイントがあります。我々は輸入車を扱っていますので、どうしても法人には弱いんですね。もちろん法人の代表者の方には買っていただけるかもしれないんですけれど、会社の社用車を考えると、輸入車はあり得ないです。特に駐車場の問題も都内にではありますので、そういうところを考えると、輸入車ではドルフィンしか選択肢はないと思います。

---:非常に魅力的なサイズですからね。

岡本:そう思います。都内で営んでいますと立体駐車場の問題が大きく避けて通れないのです。ですので、そういう法人の層もドルフィン導入後は増えていくのではないかと期待しています。そこにもやっと手が伸ばすことができました。ですから新規参入のブランド、BYDじゃないとダメなんです。

◆できることとできないこと

---:一方で認知度を考えるとかなり弱いです。そこをどう売っていくかですが、どのように考えていますか。

岡本:そこは1番の課題だと思っています。いい商品、プロダクトがあっても、いいスタッフがいても、認知度がなければ難しいです。まずはこれからスタートしますので、メディアなどに取り上げていただきますが、未来永劫続けていくには我々も努力はしなければいけません。そこは正直、経営的に見ると広告宣伝費はかかるかなと思っています。

まずはお店を見て、知っていただいて、そこから来ていただく。そうして見て触って試乗していただければこのクルマの良さはわかると思うんです。600万、700万のクルマと比較しても引けを取らないと思っています。乗っていても楽しいんですね。そういうワクワクするようなブランドではないかなと思ってます。

また、我々のグループの既存のお客様は約1万3000人いらっしゃいます。その全ての方々にダイレクトメールを発送して認知度を広げようとしています。

---:あとはBYD本体がどう展開するかですね。

岡本:我々ができない新規のお客様を取っていただくのもメーカーの責務です。我々販売店ですと、お金も限られてますし、そういうところではやはりやれることが限られてしまいます。

◆月30台、年360台、10年で3600台

---:いますぐには難しいと思いますが、今後認知度が向上し、ラインナップが増えたときには、年間何台ぐらいBYDが売れてほしいと思っていますか。

岡本:正直に申し上げますが、現在のこの規模で、車種が増えるということであれば月30台は売りたいですね。その理由は、いま代替えが7年サイクル、今後より長くなるかもしれませんし、あるいはEVだと短くなるかもしれません。

顧客をストックビジネスとして考えて、アフターサービスの収益を考えると、月にそれくらいは売って行きたい。そうしないと収益を確保していけないと思います。ディーラーとして最低1000台、多くて2000台の基盤があれば十分に経営は成り立ちます。そう考えると30台を月に売ると、年間で360台、10年で3600台になります。もちろんそこには抜けていくお客様が50%くらいいることを考えると、1500台。本当にこうなると強いですね。サービス入庫が確保できますから。こうなればティーラービジネスとして成立します。

現在このショールームに整備工場は併設していませんが、アクセルグループの工場でメンテナンスや修理等は行います。今後、2023年10月には、センター北駅(神奈川県横浜市都筑区にある、横浜市交通局の駅)の駅前に工場付きでショールームを作りますので、充実した環境が整っていくと思っています。

《内田俊一》

内田俊一

内田俊一(うちだしゅんいち) 日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員 1966年生まれ。自動車関連のマーケティングリサーチ会社に18年間在籍し、先行開発、ユーザー調査に携わる。その後独立し、これまでの経験を活かしデザイン、マーケティング等の視点を中心に執筆。また、クラシックカーの分野も得意としている。保有車は車検切れのルノー25バカラとルノー10。

+ 続きを読む

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

教えて!はじめてEV

アクセスランキング

  1. BEVを2年間所有した、“リアルな”ランニングコストを大公開
  2. ベントレーの超高級住宅、最上階は「55億円」 クルマで61階の自宅まで
  3. メルセデスベンツの万能車『ウニモグ』がキャンピングカーに! 数日間の自給自足が可能
  4. 【ダイハツ ムーヴ 新型】「ポッキー入れ」にイルミネーション、軽自動車でも質感を“あきらめさせない”インテリアとは
  5. 日産の新型セダン『N7』、発売50日で受注2万台を突破
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. 茨城県内4エリアでBYDの大型EVバス「K8 2.0」が運行開始
  2. 米国EV市場の課題と消費者意識、充電インフラが最大の懸念…J.D.パワー調査
  3. 三菱が次世代SUVを初公開、『DSTコンセプト』市販版は年内デビューへ
  4. 独自工会、EV減速でPHEVに着目、CNモビリティ実現へ10項目計画発表
  5. BYD、認定中古車にも「10年30万km」バッテリーSoH保証適用
ランキングをもっと見る