シトロエン『ベルランゴロング』は遊び疲れた帰り道も楽ちん…商品担当[インタビュー]

シトロエン ベルランゴロング
シトロエン ベルランゴロング全 10 枚

ステランティスジャパンはシトロエン『ベルランゴ』の3列仕様車、「ベルランゴロング」の導入を開始した。そこで商品担当者にその特徴や狙いについて話を聞いた。

◆ユーザー層を広げたい

---:ベルランゴは2列5人乗りの仕様で導入されてきましたが、なぜここにきて3列7人乗りのベルランゴロングを導入したのですか。

シトロエン ベルランゴロングシトロエン ベルランゴロング

ステランティスジャパンマーケティング部プロダクトマネージャーの水谷昌弘さん(以下敬称略):これからさらにユーザー層を広げていきたいという思いがひとつあります。まさにヤングファミリーに“どんぴしゃ”なクルマですから、そういうお客様を捉えたかったのです。

一方で当然全長が長くなれば、それだけ余計に人も乗れるのですが、本当に6人以上乗ることがあるのかというのはひとつ考えなければいけないところでした。つまり、ミニバンユーザーでも4人家族、3人家族の方々が多くいて、おじいちゃんやおばんちゃんと年に1回か2回でも一緒に乗ることがあるのかなということです。

そこで色々調べてみたのですが、例えばベルランゴロングと同じような国産ミニバンを購入して、結局3年目の車検が来るまで1度も3列目を使ったことないから、構造変更したという話まで出て来ていました。ですから本当は5人乗りでロングというのもありかなとも思ったのですが、さすがにそこまでは踏み切れませんでした。法規上、車検証上に定員がありますから3列目をディーラーオプションにはできませんでしたので、7人乗りの仕様として認証を取り、発売したのです。

---:例えばユーザーが勝手に外すのはありですね。

水谷:もちろんです。ガレージがあったり、あるいは自宅の倉庫など余裕のあるスペースがあれば、シートを取り外してしまった方が荷物は積めますね。

シトロエン ベルランゴロングシトロエン ベルランゴロング

◆エンジンはそのままで十分

---:標準とロングとの違いはホイールベースだけで、エンジンは共通で1.5リットルディーゼルエンジンが搭載されています。重量増や定員増ですが、そのあたりの変更は考えなかったのでしょうか。

水谷:ホモロゲーションデータを見ますと、長さが36cmも長くなっているのですが、重量差は60kgほどであまりないというのが正直なところです。想像ですが、ロングはルーフのパノラミックガラスルーフが装備されませんので、これが大きく効いていると思います。ですので、この程度の重量差であれば、動力性能は問題ないと判断しました。

他の違いとしては全高がロングの方が20mm高くなっています。これはリア荷重がある程度増えるでしょうから、バネの乗数を上げたセッティングに変更されているためです。従って空車時はお尻が少し上がってる感じになっています。

シトロエン ベルランゴロングシトロエン ベルランゴロング

また、車体の下のクロスメンバーの入れ方が違っています。これはホイールベースを長くしたことによるものです。実はアクセサリーの担当者が標準車のオプションで高齢者や子供の乗り降りに便利なようにステップが電動で出て階段状になるものを開発したのですが、それをロングに付けようとしたらそのままでは付かなかったんです。

◆内燃機仕様は日本でしか買えない!?

---:ところで現在シトロエンベルランゴはフランス本国ではどういうバリエーションになっているのでしょう。

水谷:少なくともフランスとイギリスではロングは売っていません。標準のEVのみ(乗用タイプ)です。ただし日本ではディーゼルであればエコカー減税が受けられますし、年間2000台以上販売でき、お客様も多くいらっしゃいますので生産をしてもらえています。

---:導入時点で日本側からの要望はありましたか。

水谷:ガラスルーフがないのは最初にどうしようかなと思ったのですが、逆にいらないという人もいますし、標準ボディでもフィールというエントリーグレードはスチールルーフです。そうすると、標準の3グレードがそのままロングになりますので、ラインナップとして多すぎると。そこでロングの場合は、ガラスルーフがない分、シャインとXTRという2つグレード構成としました。装備としては駐車支援システムのパークアシストがありますので、利便性は向上させました。

---:ではベルランゴロングの特徴を教えてください。

水谷:元々プジョー『リフター』とはシャシーは共通化していながらも、乗り心地はよりやさしさがあります。例えば、週末に遊びに行ってへとへとへとになった帰り道、ベルランゴであれば楽ですし、それがロングですと余計に際立っていると思います。

---:標準とロングとではどちらが売れると思いますか。

水谷:価格面も踏まえて予想としては標準の方が半分以上にはなるかなというイメージです。ただ現状ではロングをかなり待っていらした方が多いので、例えば1月にベルランゴの受注状況を見るとロングがほとんどです。ただし落ち着いてくれば6:4くらいになると思います。

---:日本のミニバン市場を見ると2列と3列の2種類がラインナップされると、3列の方が売れています。それは何かあった時に必要になるのではないかという思いがあるからです。そうするとベルランゴロングで3列目を倒して使うパターンも多く考えられますね。

水谷:日本車のシートレイアウトのように床に埋め込まれたり跳ね上げたりできるようになっていればいいのですが、ダブルフォールディングで2列目シートにコードで固定させるか取り外すことになりますので、それをどこまで使用するかだと思います。

シトロエン ベルランゴロングシトロエン ベルランゴロング

---:因みに3列目の居住性はいかがですか。

水谷:『C4スペースツアラー』の場合は下手をすると体育座りに近くなってしまいましたが、こちらは普通に座れます。2から3時間くらいであれば楽に乗ることができるでしょう。

ステランティスジャパンマーケティング部プロダクトマネージャーの水谷昌弘さんステランティスジャパンマーケティング部プロダクトマネージャーの水谷昌弘さん

《内田俊一》

内田俊一

内田俊一(うちだしゅんいち) 日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員 1966年生まれ。自動車関連のマーケティングリサーチ会社に18年間在籍し、先行開発、ユーザー調査に携わる。その後独立し、これまでの経験を活かしデザイン、マーケティング等の視点を中心に執筆。また、クラシックカーの分野も得意としている。保有車は車検切れのルノー25バカラとルノー10。

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