大型車のEV化対応やレベル3以上の自動運転、過渡期と節目の中から継続されるトレンドとは?…オートモーティブワールド2023

ボルグワーナーの直流式急速充電器「イペリオン-120」
ボルグワーナーの直流式急速充電器「イペリオン-120」全 13 枚

今やオンライン版を含め年4回開催されるオートモーティブワールド。東京ビックサイトでの2023年冬展が閉幕した今、日進月歩の進化とトレンドの移り変わり早さは根底にあるとはいえ、既存のリソースや新たな要素技術の確立、需要トレンドの綱引きの中で、強いシグナルを放つ動向がいくつかあった。

商用車や物流トラックのゼロエミッション化

ひとつ目は、欧州に比べて日本では明らかに遅れていた商用車や物流トラックのゼロエミッション化が、車両開発とあわせて急速充電器というインフラ整備ごと、注目を集めていたことだ。

ボルグワーナーの出展ブースには、昨夏よりイタリアなどで設置運用が始まっている直流式急速充電器、「イペリオン-120」が展示された。ステーション運営や運送会社などユーザーの種別用途に合わせた様々なアプリケーション適用が可能で、かつ長寿命と気候条件に対するロバスト性、運用安定性など、長期的なコスト面でも優しいとされる急速充電器だ。いわば急速充電器はパワー=速さ重視ではなく、コストと設置間隔そしてユーザー側の航続レンジとユースケースごとに働くインセンティブもしくは逆インセンティブ次第、そんな考え方の急速充電器だ。120kWの出力は60kWづつ2台チャージに振り分けることも可能で、コスト的な配慮だろうが、日本のチャデモの現状90kWより少し速い程度であるところも興味深い。

ただしイペリオン-120はさらに高電圧化に対応して出力を上げることも不可能ではなく、国産トラックOEMの開発者から研究拠点用に、という問い合わせも寄せられていると聞く。逆にいえば、電圧量が550~850Vぐらいでパワーと効率がバランスするであろう小型商用車や中・小型トラックが、チャージ出力を確保できて初めて、ようやく日中の配達のようなユースケースで実際に運用できるか否か。ただし大型の長距離トラックとなるとこの限りでなく、ボルグワーナーのサマリーによれば、37トンクラスの長距離トレーラーの用途ならバッテリー容量600kWh以上を急速充電することを前提に、1200V以上へシステムの対応レンジを引き上げることが、必要オプションとなる可能性が示唆されていた。そして実際、ボルボ・トラックやダイムラーなど、欧州で今年から来年にかけて、続々と市販モデル登場が見込まれるのが大型トラックEVなのだ。


《南陽一浩》

南陽一浩

南陽一浩|モータージャーナリスト 1971年生まれ、静岡県出身。大学卒業後、出版社勤務を経て、フリーランスのライターに。2001年より渡仏し、パリを拠点に自動車・時計・服飾等の分野で日仏の男性誌や専門誌へ寄稿。現在は活動の場を日本に移し、一般誌から自動車専門誌、ウェブサイトなどで活躍している。

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