ウーリン、SUVの『アルヴェス』を発表、ライバルを凌駕するスペック…インドネシアモーターショー2023

コンパクトSUV『アルヴェス』。欧州車風のデザインがインドネシアでは受け入れられやすそうだ
コンパクトSUV『アルヴェス』。欧州車風のデザインがインドネシアでは受け入れられやすそうだ全 14 枚

中国で上汽通用五菱汽車の傘下にある「五菱(ウーリン)」は2月16日、ジャカルタで開催中のインドネシアモーターショー2023(IIMS 2023)において、コンパクトSUV『アルヴェス』を発表した。このカテゴリーは同社としてインドネシア市場で初のモデルとなる。

同社はこれまでインドネシアにおいて、7人乗りのMPV『コンフェロS』などを主力としてきた。これらが原動力となり、2022年は日本車のシェアが95%近くあるインドネシア市場において、輸入車として最大の3%ものシェアを獲得。22年は小型EV『Air EV』を発表するなど新たなカテゴリーにも積極的に進出し、アルヴェスはそれに続く若い世代をターゲットに投入されたモデルとなる。

◆若い世代をターゲットに欧州車のような格好良さ

「Alvez」は英語で“All At Onece”を意味し、コンセプトは”Style & Innovation in One SUV。若い世代に受け入れられるスタイリッシュなエクステリアデザインとモダンなインテリアを備え、先進的なドライビングテクノロジーを 1つの SUVにまとめ上げた。

それだけにデザインは洗練されたスタイリッシュだ。フロントグリルは黒いベースカラーに水平に伸びるクロームのアクセントを施し、加えて中央部にはウーリンのロゴが光っている。ヘッドランプはデイライトランニング(EXのみ)を備えたLEDを採用し、サイドビューは各所にラインを強調する彫りの深さを持たせ、それが一目見たら忘れられない印象深さを発揮している。そのデザイン傾向はほぼ欧州車と言っていいものだ。

一方、リヤ周辺はフロントに比べるとシンプルなデザインで、ライト類のデザインはひとつのパターンを踏襲した印象だが、排気口付近にはクロームメッキを加えるなどしてスポーティさを十分に感じられるルックスとなっている。また、ホイールはCEとEXに16インチサイズの2トーンカラーのアルミホイールが装備され、これが足元を引き締める効果を発揮。SUVらしいオーラを十分に感じ取ることができる。

ウーリン・モータースのアリフ・プラマダナ氏は発表の席上、「若い世代がこのカテゴリーに関心を持っていることを我々は理解している。これは自動車セグメントにプラスの影響を与え、自動車セグメントをより多様化し、成長につながることは明らかだ。そのニーズに応えるためにアルヴェスは魅力的な外観を持ち、コンパクトでありながら広々としたボディを備えた。このカテゴリーに人気を呼ぶきっかけとしたい」と述べた。

インドネシアではおおむね可愛らしさよりも、格好良さが求められる傾向にあるようで、そういった意味でもその市場性を十分踏まえたデザインに合い上がったと言えるだろう。

◆価格は2億900万~2億9500万IDR。ADAS機能も充実

グレード構成はSE/CE/EXの3つのバリエーションを用意し、価格は2億900万~2億9500万インドネシアルピア(日本円:約185万円~260万円)から。ボディサイズは、全長4350 mm×全幅1750 mm×全高1610 mmで、ホイールベースは2,550 mm。エンジンは自然吸気1485cc、直列4気筒ガソリンエンジンで最大出力105ps、最大トルク143Nmを発揮。トランスミッションは6速MTかCVTが組み合わされる。これらのスペックはヒュンダイ『クレタ』やホンダ『HR-V』とも真っ向からぶつかる存在と言っていいだろう。

アルヴェスは室内装備も充実している。電動式サンルーフを装備(EXのみ)し、インテリアは高級素材を使った心地よい空間。定員の5人がゆったり座れるスペースとなっている。センターコンソールには数カ所でカーボンによるアクセントが施され、さらに一つひとつの各機能のデザインもエレガントで、触れれば質感をしっかりと伝えてくる仕上がりだ。車内には合計 27 の収納スペースがある一方、ラゲッジ容量は322リッターとSUVらしい十分な広さがあり、リアシートを倒せばさらに広いラゲッジスペースを確保。アウトドアの荷物も十分積載できそうだ。

一方、最新テクノロジーによるスマート機能も満載だ。ダッシュボード中央には10.25インチのタッチスクリーン機能付きディスプレイが備わり、ここにはインフォテイメントシステム“WIND”が備えられた。エアコンやオーディオといった機能が一括で操作できるほか、ナビゲーション機能やパーキング時のリアカメラの表示も可能だ。注目は音声コマンドによるインターフェースが搭載されたことで、窓を開けたいときやエアコンを消したいときなど、ドライバーはインドネシア語でコマンドを発するだけで操作できる。

インターネットに接続できるIoV (Internet of Vehicle) 機能も用意されたが、これは最上位グレードのみ。また、専用のSIMカードの契約も別途必要になる。

ACC (Adaptive Cruise Control)を含むADAS (Advanced Driver Assistance System) も装備された。ここには車線維持機能付きトラフィックジャムアシスタンスや、前方衝突警告付き衝突軽減ブレーキ、車線逸脱警報などが含まれる。ライバルと目されるHR-Vはホンダセンシングを、クレタはヒュンダイ・スマートセンスを標準搭載しているだけに、この装備はアルヴェスにとってもきわめて重要な意味があるのだ。

また、ADAS 機能に加えて、デュアルSRSエアバッグ、ESCやABS、EBDといった安全装備や、タイヤ空気圧監視システム、リア パーキング センサー、イモビライザー、盗難防止アラーム、シートベルトリマインダーなども装備する。

アルヴェスは、ウーリンにとってインドネシア初となるコンパクトSUVとなるが、これはすでにホンダやヒョンデによって形成されたカテゴリーでもある。しかし、インドネシア国内の報道から見ると同車への関心は高いようで、ライバルに十分に対応できると見ている向きは多い。急速にシェアを拡大するウーリンがアルヴェスの投入によって、さらなるシェア拡大につながるかに注目が集まっている。

《会田肇》

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