ホンダ、今季もF1レッドブル・グループを「全力で支援」…“2026年問題”に関しては状況注視の姿勢維持

レッドブルのマックス・フェルスタッペン。マシンには「HONDA」のロゴが輝く(2022年F1アブダビGP)。
レッドブルのマックス・フェルスタッペン。マシンには「HONDA」のロゴが輝く(2022年F1アブダビGP)。全 8 枚

2月20日、ホンダ/HRC(ホンダ・レーシング)がF1の2023年シーズン開幕を前にしたオンライン会見を実施した。注目される2026年以降については「複数チームからコンタクトがあった」ことを明らかにしつつ、「引き続きF1全体の動向をしっかり見ていく」との旨が語られている。

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◆2023年は「ホンダRBPT」という名のパワーユニットが走る

ホンダは2021年シーズン限りでF1のパワーユニット(PU)供給者としての参戦は終了したが、昨季2022年もレッドブル・グループの2チーム(レッドブルとアルファタウリ)をHRC(ホンダ・レーシング)が“技術支援”するというかたちで実質なPU供給を継続。この関係はPUに関する規則が大きく変更される予定の2026年シーズンの前まで、つまり2025年シーズンまで継続されることも既に決まっている。

昨季、実質的なホンダPUは「レッドブル・パワートレインズ」(RBPT)というレッドブル・グループの新PU会社を供給者名称とする“レッドブル自前PU”としてレッドブルとアルファタウリのマシンに搭載され、レッドブルが22戦17勝と大成功をおさめた。レッドブルはチーム9年ぶりのコンストラクターズタイトル獲得を果たし、エースのマックス・フェルスタッペンは2年連続ドライバーズタイトル獲得を達成。“ホンダ勢”としては1991年以来、31年ぶりの2冠制覇となった。

HRCの代表取締役社長・渡辺康治(わたなべ ・こうじ)氏は、四輪と二輪、双方のホンダのモータースポーツ活動をHRCが統括する新たな体制に移行して最初の年だった2022年を「素晴らしいスタートを切れたと思います。レッドブルのF1ダブルタイトルという偉業達成のサポートができたことを、たいへん嬉しく思っています」と振り返る。

そして今季2023年に向けては、「PU製造者名にホンダが加わることになりました。両チームのマシンに命を吹き込むPUの名にホンダが入ることを嬉しく思います」(渡辺氏)。昨年末に発表された今季の暫定エントリーリスト上にもあったレッドブルとアルファタウリのPU名「ホンダRBPT」のことだ。「両チームの勝利に貢献できるよう、HRCは今季も全力でサポートしていきます」との意気込みも渡辺氏は語っている。

◆覇権継続に向けて、さらなる信頼性の向上に尽力

「HRC Sakura F1 2023シーズン開幕前オンライン取材会」と銘打たれた今回の会見には、渡辺社長以外にも技術陣首脳2名が出席(HRC Sakuraは栃木県さくら市にあるホンダF1等の拠点)。2022年シーズンからF1PU総責任者を務めている角田哲史(かくだ・てつし)氏は、「昨年の4月以降はカーボンニュートラル実現のため、レース外の領域に多くの人員を割くことになりましたが、シーズン中、PUには大きな問題が発生することもなく、残ったメンバーでしっかり対応できました」と振り返った。

現在、F1のPUは(2022年シーズンから)2025年シーズンまで開発凍結の原則下にある(人員数を減らせる背景要素のひとつでもある)。そのため、昨年2月末のホモロゲーションまでの作業が本当に重要で大変だったことにも角田氏は言及、それがうまくいったからこその2022年シーズンの成功であったことへの充実感をにじませた。

2023年シーズンに向けても角田氏は自信と手応えを語る。「ルール上、最高出力を上げるような開発は許されていませんが、信頼性の向上については様々な施策を行なってきました。今週のプレシーズンテスト(2月23~25日/バーレーン)への準備もしっかりできたと思っています」。

もうひとり、近年のホンダF1技術陣の顔役でもあったHRC常務取締役 四輪レース開発部 部長・浅木泰昭(あさき・やすあき)氏も出席し、3月限りで現職掌を離れること、4月いっぱいで定年退職を迎えることに触れ、これまでを振り返りつつ、こう語った。「ホンダがレースをするということの定義、私なりの定義ですが、それは世界最高峰のF1に参戦して、勝とうとして勝つ、ということだと考えています」。

昨年の日本GP(鈴鹿)では、1-2フィニッシュしたレッドブルのフェルスタッペン、セルジオ・ペレスとともに表彰台に立った浅木氏。「(レッドブルが積む)PUの製造も供給もオペレーションも中心はホンダという状況のなかで、ホンダのホームコースである鈴鹿で1-2フィニッシュをして、ポディウムにホンダのメンバーを代表して立つことができました。非常に感慨深いものでした」。そして後輩たちに向けて、「世界一になったという自信を背景に、新しい世界を切り拓いていってほしいと思います」と大きな期待をかけた。

なお、4月からは武石伊久雄(たけいし・いくお)氏が四輪レース開発部の部長職に就く。

◆2026年以降に関して「複数チームからコンタクトあり」

さて、ホンダのF1といえば、目下の最注目は“2026年問題”である。

F1は2026年シーズンから新PU規定の時代に入る予定となっており、そのPU製造者登録をホンダ(HRC)は昨年11月の締め切りまでに済ませている。一方で、2025年シーズンまでの共闘継続が決まっているレッドブル・グループは先頃、2026年シーズン以降に関してはフォードとのタッグ結成を発表した。つまり、ホンダは2026年以降のF1に関しては“フリー”な状況にあると考えられている。

実際にホンダが登録をして以降、「複数のF1チームからコンタクトをいただきました」と渡辺氏は明かす。

ただ、ホンダのPU製造者登録は“再参戦”ありきのものではないことが昨年末の登録公表時から明言されている。今回も渡辺氏は、「F1が電動化の方向に大きく舵を取るということで、カーボンニュートラルを目指すホンダの方針とも合致している」としたうえで、「世界の四輪トップカテゴリーであるF1がどういう技術動向を示していくのか等、引き続きしっかり見ていく、それが登録の狙いです」との旨を語った。

「今のところ、具体的に再参戦というような結論には至っておりません」(渡辺氏)

ホンダF1の2026年問題は依然、動向未定ということである。

しかしながら、昨年末の製造者登録を済ませた段階での発言等と比べると、現在のパートナーであるレッドブル・グループと2026年以降に関しては別の道を行くことが正式に決まった影響を受けてか、すべてはこれからの状況変化次第、という“前向きな受け身”のスタンスが鮮明になった感もある。スッキリした立場で状況変化を見られるようになった、といったところだろうか?

とはいえ、それほど長く待てる時間があるわけでないことは変わらないと思われるので、引き続き、ホンダ/HRCの動向にこそ注目、である。

近未来的話題も包括しつつ、2023年のF1世界選手権シリーズ(全23戦予定)は3月5日決勝のバーレーンGPで開幕を迎える。

《遠藤俊幸》

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