「パワーケーブル」は引き回し方で差が出る!?…キーワードから読み解くカーオーディオ

「パワーケーブル」の一例(M&Mデザイン)。
「パワーケーブル」の一例(M&Mデザイン)。全 3 枚

当連載では、カーオーディオを趣味とするときに出くわす専門用語の意味を1つ1つ解説している。現在は「アクセサリー」に関するワードにスポットを当てている。今回は、「パワーケーブル」について説明していく。

◆「パワーケーブル」は構造がシンプル、1本単位で完成型となる

最初に、「パワーケーブル」の役割から説明していこう。これはつまり、電源配線を行うためのケーブルだ。

なおカーオーディオにて使われるケーブルの中で、「パワーケーブル」はもっとも構造がシンプルだ。というのも、「スピーカーケーブル」の多くはプラス線とマイナス線とが2本1組となってできていて、「ラインケーブル」はプラス線とマイナス線とが一体化した線が2本1組で製品となっている。

対して「パワーケーブル」は、1本単位で完成型となっている。しかも、その構造も至ってシンプルだ。導体を被膜でくるんだ状態で出来上がっている場合が多い。

ところで「パワーケーブル」がなぜに1本単位で完成型となっているのかというと、その理由は「クルマではボディがマイナス線の役目を果たしているから」だ。クルマに装着される電装品の多くは、プラス電源は車両のメインバッテリーからケーブルにて引き込まれるが、マイナス側のケーブルは電装品の近くのボディ(鉄板)に繋ぎ、電気はそこからボディを流れてバッテリーまで戻っていく。このような仕組みを取ることで、配線の簡略化が果たされているというわけだ。

なのでプラス線とマイナス線は個別に配線されることなるのでプラス線とマイナス線が2本1組にされることはないのだ。

なおマイナス線をボディに接続することは、「ボディアース」と呼ばれている。

「パワーケーブル」の一例(チェルノフケーブル)。「パワーケーブル」の一例(チェルノフケーブル)。

◆プラス線は車両のメインバッテリーと直結させる「バッ直」が行われることが多い!

ところで「外部パワーアンプ」や「パワードサブウーファー」を使う場合には、プラス線はメインバッテリーから直接引き込まれることが多い。そしてこのような配線方法のことは、「バッ直」と呼ばれている。つまりこれは、「バッテリー」と「直接」という単語が組み合わされた造語だ。そしてこの「バッ直」という言葉は、カーオーディオ業界にて至って普通に使われている。

ちなみに「スピーカーケーブル」と「ラインケーブル」はグレード違いがさまざま用意されているが、「パワーケーブル」はグレード違いが多く用意されるケースは少ない。そのかわり、太さ違いが細かく設定される場合が多い。機器の消費電力量に応じて使い分けるためだ。多くの電力を消費する機器には太いケーブルを使った方が良く、少ない電気量で動く機器には太いケーブルを使う必要はないからだ。かくして「カーオーディオ・プロショップ」は使用する機器の消費電力量を鑑みて、都度適切な太さのケーブルを選択する。

で、太さの単位には「ゲージ」が使われている。ちなみに、「ゲージ」の前に付く数字が小さくなるほど、「パワーケーブル」は太くなる。

「パワーケーブル」の一例(チェルノフケーブル)。「パワーケーブル」の一例(チェルノフケーブル)。

◆「パワーケーブル」を引き回す際には、「ショート」へのケアが不可欠!

なお「パワーケーブル」のプラス線を引き回す際には、「ショート」に対するケアが必要となる。「ショート」とは、電源線のプラスとマイナスとが直結した状態のことを指す。つまり、プラス線がどこかで断線して導体がむき出しになりボディに触れると「ショート」が起こる。そしてひとたび「ショート」が起こると途中に「抵抗」となるものが存在しなくなるので一気に大量の電気が流れてしまい、「パワーケーブル」はあっという間に溶け出し、最悪車両火災を引き起こす。

なのでプラス側の「パワーケーブル」を引き回す際には、「ショート」が起きないように、そして万が一「ショート」が起きても惨事にならないような工夫が盛り込まれることなる。

まず「パワーケーブル」は、断線が起こり得る場所を避けて引き回される。例えばシートレールのそばは危険だ。そして「メインバッテリー」の近くには「ヒューズ」が設定されることとなる。「ヒューズ」とは、規定以上の電気が流れるとみずから切れて電気の流れを遮断するというパーツだ。これを配線の途中に組み込んでおけば、「ショート」が起きてもすぐに「ショート」を終了させられる。

今回は以上だ。次回以降も難解なワードの解説を続行する。乞うご期待。

《太田祥三》

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