eアクスル市場より熱い電動車性能のカギを握る熱マネジメント市場…マーレとデンソーの取り組み

EV熱マネジメントの主流になるヒートポンプ

マーレはセル冷却やFCV用ヒートポンプにも注力

バッテリー温調とキャビン空調を統合するデンソーの戦略

キャビンとパワートレインに対する4つアプローチ

熱マネのトレンドはモジュール化・システム化アプローチ

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EVを筆頭とする電動車の性能を決めるのは、モーターではなくバッテリーの性能・容量だといわれている。だが、車両パッケージとして考えた場合、熱マネジメントを忘れてはならない。トータルでの車両性能と商品力の決め手となるからだ。

オートモーティブワールド2023の専門セミナーで、マーレ、デンソーのサプライヤー2社による熱マネジメント技術に関する講演が行われた。スピーカーはヨアヒム・バチェフスキ氏(マーレ)、水野安浩氏(デンソー)の2名だ。

EV熱マネジメントの主流になるヒートポンプ

マーレは2013年からサーマルマネジメント事業に取り組んでいる。モビリティ市場が内燃機関(ICE)から電動車(EV、FCV)に移ることから、熱マネジメントの重要性はますます高まる(バチェフスキ氏)。EUの予測では2035年にはICE車(新車)はほぼゼロになるという数字もある。この数字はEUの政策的な数字でもあるが、マーレの予想でも2035年には新車のおよそ半分がEVになり、PHEV/HEVが20%、純内燃機関(ICE)は30%ほどを見ている(EUは2月、2035年までにICE車両販売の事実上禁止を決定した。オートモーティブワールド2023はその前の開催)。

EV化が進むと、車両搭載バッテリーの大容量化および充電器の高出力化も進む。大容量バッテリーの充電には相応の出力による充電が不可欠となるからだ。これは同時にバッテリーの発熱という課題につながる。エンジンという熱源を持たないEVは、キャビン空調・温度調整も課題である。この2つの課題に対処するため、車両内の熱交換システム、熱マネジメントの技術が重要となる。

以前のHEVやEVでは、ヒーターを熱源として搭載する方式が多かったが、近年のEVではヒートポンプによる暖房システムが広がっている。バチェフスキ氏は「EVにおいて暖房をつかわなかったときの航続距離を100とすると、PTCヒーターでは小型車でおよそ60%、大型車で80%まで減少する。ヒートポンプならばそれぞれ80%、90%まで抑えることができる」とその理由を説明する。

マーレはセル冷却やFCV用ヒートポンプにも注力

マーレでは、電動化による熱マネジメントシステムのニーズに対応するため、ITS、MCTS、DTSという3つのヒートポンプ技術を持っている。ITSとMCTSはエアコンと同等な熱交換システムを持つ。モーターやバッテリーの冷却は冷媒を使い、室内には水ヒーターを利用する。ITSとMCTSの違いは、MCTSはコンプレッサー、チラー、コンデンサなどをモジュールとして一体化してよりコンパクトとしている。EV専用のヒートポンプとしてDCTがある。冷媒回路のみでパワートレインおよびキャビンの冷却・加温を行うことが可能だ。


《中尾真二》

テクノロジージャーナリスト・ライター  中尾真二

アスキー(現KADOKAWA)、オライリー・ジャパンの技術書籍の企画・編集を経て独立。現在はWebメディアを中心に取材・執筆活動を展開。インターネットは、商用解放される前の学術ネットワークの時代から利用し、ネットワーク、プログラミング、セキュリティについては企業研修講師もこなす。エレクトロニクス、コンピュータのバックグラウンドを活かし、自動車業界についてもテクノロジーを中心に取材活動を行う。

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