産官学民連携やモビリティ分野で積極的に…会津若松市、仙台市【MaaSがもたらす都市変革】

会津若松市の鶴ヶ城
会津若松市の鶴ヶ城全 6 枚

日本で早くからスマートシティを進めてきた自治体はどこか。こんなテーマで検索をしていくと、意外な都市がリストアップされてきて驚いたりする。福島県の会津若松市も、そのひとつとして映るのではないだろうか。

「住み続けることのできるまち」を目指す会津若松市

前回、同じ福島県の浪江町および南相馬市を紹介したときにも触れたが、福島県は南北方向に伸びる奥羽山脈および阿武隈山地によって、太平洋側から順に「浜通り」「中通り」「会津」と3つの地域に分けて呼ばれることが多い。

会津若松市は会津の中心都市であり、鶴ヶ城をはじめとした観光地としても有名だ。しかし多くの地方都市同様、人口減少と少子高齢化が悩みになっていた。そこで同市では、人口減少と少子高齢化の流れに歯止めをかけると同時に、「住み続けることのできるまち」を創っていくことを目指し、ICT関連産業の集積と生活の利便性向上を図る、スマートシティの取り組みを推進することになった。

この取り組みについては、自治体本体もさることながら、会津大学とアクセンチュアという2つの組織の存在も大きい。市民を含めた産官学民連携の取り組みなのである。1993年に開学した会津大学は日本初のICT専門大学であり、 ロボット、AI、ソーシャルメディアなど、コンピュータ理工学に関するあらゆるフィールドを学べる場となっている。教師の約40%は外国人で、英語授業が中心であり、国際性に対する評価も高い。アクセンチュアは東日本大震災から 5か月後の2011年に同市に拠点を開設し、震災復興や地方創生を支援してきた。市民中心の次世代社会の創造を目指して、スマートシティ化による雇用創出・産業復興を進めてきたという実績を持つ。

会津若松市がスマートシティで目的に掲げているのは、生活の利便性向上、地域のしごとづくり、まちの見える化の3つ。生活の利便性向上では、ICT を活用して生活の利便性を高めるサービスがメインであり、その中心にあるのが都市OSの「会津若松+(プラス)」だ。会津若松+は、「知りたいことに応じて情報が届く」をモットーとしており、年齢や性別、家族構成、趣味などを登録すれば、子育て世代には子ども向け情報が目立つ位置に表示されるなど、おすすめ情報が優先的に表示されるデザインになっている。メニューには、市内の除雪車約270台の運行状況をリアルタイムに表示する「除雪車ナビ」、 母子健康手帳電子化サービス、学校と家庭をつなぐ情報配信アプリケーション「あいづっこ+」などがある。


《森口将之》

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