トヨタ MIRAI が給電で活躍、夜桜ライトアップイベント開催中

MIRAIを使って給電。
MIRAIを使って給電。全 27 枚

ネイキッドは、3月31日から4月23日まで、東京の新宿御苑にて夜桜イベント『NAKED桜の新宿御苑2023』を開催する。ネイキッドは、東京タワーや二条城など日本を代表する場所を演出し、新たな体験やデジタルアートを生み出してきた企業。今回、新宿御苑の桜とアートが融合したライトアップイベントを実施することとなった。

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一部の演出には、トヨタ自動車の水素を使って走る燃料電池自動車『MIRAI』や、『Moving e』(燃料電池バスと大小バッテリーをセットにした移動式発電・給電システム)による給電を期間限定で活用し、発電機を使用せずプロジェクションマッピングを実施するといった、環境にも配慮した取り組みが行われる。

プロジェクションマッピングに使われるプロジェクターの電力は2台のMIRAIから取られている。LEDで光っているケーブルは給電のイメージ演出のもので、実際の電源ケーブルではない。プロジェクションマッピングに使われるプロジェクターの電力は2台のMIRAIから取られている。LEDで光っているケーブルは給電のイメージ演出のもので、実際の電源ケーブルではない。
ワゴン車のルーフに2台のプロジェクターを設置。ワゴン車のルーフに2台のプロジェクターを設置。

開催前日の30日には、オープニングセレモニーと、インフルエンサーやメディア向けの内覧会が行われた。オープニングセレモニーには、ネイキッドの村松亮太郎代表、環境省自然環境局新宿御苑管理事務所の曽宮和夫所長、トヨタ自動車水素製品開発部水素事業計画室の折橋信行主査・担当部長が登壇した。

左からトヨタ自動車株式会社水素製品開発部水素事業計画室 主査・担当部長 折橋信行氏、株式会社ネイキッド 代表 村松亮太郎氏、環境省自然環境局新宿御苑管理事務所長 曽宮和夫氏。左からトヨタ自動車株式会社水素製品開発部水素事業計画室 主査・担当部長 折橋信行氏、株式会社ネイキッド 代表 村松亮太郎氏、環境省自然環境局新宿御苑管理事務所長 曽宮和夫氏。

ネイキッドの村松代表は「コロナ禍でイベントができなかったが、やっとお花見ができるというのがうれしい。また新宿御苑という通常は夜、開いていない場所で、この桜が見られるということには、すごい価値があると語った。また開催に当たっては環境に配慮し、エコでサステナブルな方向を目指した」と述べた。

環境省新宿御苑の曽宮所長は、「新宿御苑は見どころが3つあり、ひとつは桜、もうひとつは菊、それから温室にあるランだ」とアピール。また桜については「品種がソメイヨシノだけで無く多様な桜があるため、楽しめる時期が非常に長いのもポイントだ」と語った。

ライトアップやプロジェクションマッピングの一部の電気に水素で動く燃料電池自動車から電気を供給する。イベント期間の後半には、ホンダ技術研究所と共同で構築した移動式発電給電システムMoving eも活用する。トヨタ自動車の折橋氏は「イベントを彩るこの光の演出が、環境に優しい水素の電気なんだということを思い出していただいて、脱炭素というキーワードを身近に感じていただけたらうれしい」と語った。

新宿御苑内には桜のライトアップだけでなく、ヴィーガンメニューのキッチンカーの出店や、桜の花をイメージしたレジャーシート、さらには花の形をしたおみくじといった物販グッズのエリアも用意されている。夜桜ウォークエリア(新宿門前~三角花壇)には、トヨタの小型モビリティ『C*walkシリーズ』に乗りながら光のアートを楽しめる『桜の通り路 collaboration with トヨタ C*walkシリーズ』の体験ゾーンもある。試乗は無料で体験出来る。

安定して走行できるので、恐怖感はない。安定して走行できるので、恐怖感はない。ハンドルは90度回転するのでその場で旋回も可能。ハンドルは90度回転するのでその場で旋回も可能。

開催は2023年3月31日から4月23日まで。開催時間は19~21時(閉門22時)。チケット代は、月曜日から木曜日の前売りチケットが、一般1600円、学生1400円、小人1000円、65歳以上1400円。当日チケットは、一般1800円、学生1600円、小人1200円、65歳以上1600円。金曜日、土曜日、日曜日、祝日の前売りチケットは、一般1800円、学生1600円、小人1200円、65歳以上1600円。当日チケットは、一般2200円、学生2000円、小人1600円、65歳以上2000円。サクラレジャーシート付きチケットは通常チケット+600円で、前売券のみ、数量限定での販売。

◆水素燃料電池車により新しい価値を創造できるかもしれない

イベント終了後、トヨタ自動車の折橋主査に改めてインタビューした。まずこのイベントに参加するきっかけについて尋ねた。

「まず、このイベントの環境に優しいというコンセプトに賛同してサポートさせていただいた。そしてクルマからの電気が取れるということはまだまだ一般の方の認知度は低いということで、クルマからの給電について身近に感じてもらいたいという思いがあった。お花見を楽しむ皆様にクルマから電気が取れるということを、実際に見てもらいたいと考えた」と語った。

実際にプロジェクターに給電しているところは、イベント会場で誰でも見られるようになっているのだが、この電力は車内のAC電源(一般家庭にあるコンセントと同じ電源)から給電していた。一般家庭が日常使用する電力量を1日あたり10kWhとして試算した場合、約4日間も給電できる。『MIRAI』は直流での給電も可能で、最大で9kWまで取り出せる。

続いて、水素自動車だけで無くその他の乗り物について給電機能の展開をどう考えているか尋ねた。「いろいろなアプリケーションに載せようという取り組みをしています。他社様と協力して進めているところもありますし、燃料電池自動車に搭載しているFC(燃料電池)のシステムをパッケージ化したFCモジュールを販売している。このモジュールはトラックやバスといったモビリティにも容易に活用できる。そして水素燃料電池を使うことで、ゼロエミッションの電源を自由に使えるようにしている」。

「また燃料に水素を使った場合、エネルギー密度が高いので、同じゼロエミッションのクルマでは、EVよりも長距離運転が可能だ。つまり電気量自体もたくさん給電できるので、キッチンカーをFC化すれば、ふんだんに電気を使えて帰りの燃料も心配は少ない。水素燃料電池車は、CO2を出さないので環境にいいということはもちろん大事なことだが、ユーザーにとって現状はあまりメリットを感じられない。しかし電力量が多いということによって、新しい価値を創造できるんじゃないかと考えている」と述べた。

◆『花とミツバチ』の関係性であるMIRAIと水素ステーション

MIRAIには切り離せない、水素ステーションのこれからについても話を聞いてみた。「水素ステーションを作るのはエネルギー会社で、トヨタ自動車が水素ステーションを作ることはない。私たちは『鶏と卵』と言わず『花とミツバチ』と言っているが、一気にクルマだけ、一気にステーションだけ作っても意味がない。両社が徐々に徐々に進めていかなければならないと考えている。そのためにエネルギー会社とカーメーカーが対話しながら、ステーションの数の話や、ステーションの利便性の改善について進めているところだ」と教えてくれた。

◆Moving eは実際の災害時のジレンマから生まれた

今回のイベント期間の後半に登場予定の、移動式発電・給電システム『Moving e』については、「ホンダとの協力は実際の災害がきっかけにある」と言う。

「2019年に千葉で台風による大停電が発生した時、電気がなくて困っている人たちのところに燃料電池車を持っていき給電した。しかしクルマからケーブルが届く範囲しか電気を配れないので、クルマが進めない場所では使えなかった。そこでもっと多くの家庭に電気を配るには、バッテリーに電気を充電して、それを配ればいいのではないかという発想になった。ホンダが電気のバケツリレーを発想したと聞いている」

「ただ電気のバケツリレーをやろうとした時に、大もとの井戸となるFC車が、ホンダでは乗用車タイプしかなかった。ところがトヨタには『SORA』というFCバスがある。そのSORAをベースにさらに水素量を増やしたのが『CHARGING STATION』だ」

「そのバスとホンダの大小のバッテリーをセットにして災害現場に出かけていけば、災害現場の広い場所でCHARGING STATIONからホンダのバッテリーに電気をチャージして、避難所や道が悪くてクルマが行けない場所、さらに停電で困っている個人宅などにそのバッテリーを渡せば、冷蔵庫を動かしたり、ケータイに充電といったことが気軽にできるのではないか」

◆マルチパスウェイで進むトヨタのカーボンニュートラル

EVや水素燃料など、動力の選択肢が複数ある状況でどの方向に進んでいくのかについては、「トヨタはマルチパスウェイという言い方をしているように、カーボンニュートラルはかなり難しい課題なので、今どれがいいと選んでしまうのではなく、可能性のあるものは色々試してみる、そしてポテンシャルを引き出していくという段階にあるべきという考え方」。

「また現状のエネルギー事情についても国や地域によって違うので、選べるオプションの種類を多くしておくことも大事だと考えている。先進国ではどんどん電動化が進んでいるが、新興国では電動化しろと言われてもいきなりはできない。その時に選択肢がいくつかあって選べるようになってないと、フィットしていかない。そのためにもEV車だけでなく、水素というゼロエミッションビークルの形もあり、しかも水素の中にも燃料電池を使った発電機で水素を電気に変えるものもあれば、内燃機関で水素を燃やしてクルマを走らせるモデルもある」

《関口敬文》

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