佐藤琢磨、今季のインディ自己初戦は不運な早期戦線離脱という結果に

今季の自己初戦を迎えた佐藤琢磨(#11)。
今季の自己初戦を迎えた佐藤琢磨(#11)。全 8 枚

2023年NTTインディカー・シリーズの第2戦がテキサス・モーター・スピードウェイにて実施され(決勝は現地4月2日)、今季の自己初戦を迎えた佐藤琢磨は予選で6位と好位置につけるも、決勝レースは他車の影響を受けての序盤クラッシュという残念な結果に終わった。

◆超強豪陣営での今季初実戦、予選6位と好発進

今季のインディカーにはフルエントリーではなく、オーバルコース戦に絞っての参戦となった佐藤琢磨。超強豪チームのチップ・ガナッシ・レーシングに加入して迎える初実戦が、今回の今季シリーズ第2戦、テキサス・モーター・スピードウェイ戦だ。

今季のオーバル戦は5レースの予定で、琢磨の最大目標、自身通算3勝目を目指すアメリカ最高の大舞台「インディ500」の前に実施されるレースは今回のみとなっている。貴重な“前哨戦”である。

そして琢磨(#11 Chip Ganassi Racing/エンジンはホンダ)は、今季初実戦で予選6位という好結果を得た。

「今朝のプラクティスは非常に順調でした。ただ、予選は少しだけ状況が異なりましたね。気温が変化してダウンフォースの量が変わったんです。それでも着実に走り切って最終的に予選6位、とてもいい結果だったと思います」

コメントからは自信と一定の達成感、安心感が伝わってくるようだ。インディ500を2度も制覇した実績を有する大ベテランでも、やはり移籍初戦、それもシーズンフル参戦ではないという新しいかたちでのチャレンジの初戦ということで、未知への緊張感のようなものも少なくはなかっただろう。

◆期待かかった決勝レース、しかし……

決勝に向けても「チームの働きは文句のつけどころがなく、できればレースのセットアップもうまくいって、日曜日にいい戦いができることを期待しています」と琢磨は意欲を高めていた。

1.5マイルのオーバルを250周する決勝レース(28台出走)。琢磨はローリングスタート後、しばらくは1ポジションダウンの7番手を走っていた。しかし6周目頃から順位が下がっていき、12~13番手に落ち着く。まだまだ、レースは長い。

ところが、そろそろ最初のピットストップ時期かという47周目、なんらかの理由で速度が落ちていたマシンの動きから連鎖的な影響を受けたようで、琢磨は通常は走らない低グリップなラインを走ることになり、姿勢を乱してコースの外壁にヒット、スピン状態になってコースの内壁にクラッシュ……。レース序盤にして無念の戦線離脱となってしまった(リザルト的には28位)。予選の好結果から、まさかの暗転である。

◆次はインディ500、最高の舞台で巻き返しへ

レース後半にアクシデントが多かった印象の第2戦テキサスを制したのは、ジョセフ・ニューガーデン(#2 Team Penske/シボレー)だった。ガナッシと双璧の、シボレー側の超強豪陣営ペンスキーの主軸ドライバーであり、2度のシリーズ王座獲得歴を誇るニューガーデンだが、インディ500はまだ勝っておらず、本人も周囲もそろそろ、というところだろう。琢磨にとってはインディ500でも大敵のひとりになる。

第2戦の2位はパト・オワード(#5 Arrow McLaren/シボレー)で、シボレー勢が1-2。オワードは開幕戦から2戦連続2位でポイントリーダーになっている。ホンダ勢のドライバーでは、2021年のシリーズ王者、ガナッシ陣営のひとりであるアレックス・パロウ(#10 Chip Ganassi Racing/ホンダ)の3位が第2戦の最高位だった。

他のガナッシ陣営ドライバーは、王座6回、インディ500では1勝のスコット・ディクソン(#9)が今回5位。今季開幕戦の優勝者で、昨季のインディ500ウイナーでもあるマーカス・エリクソン(#8)は8位だった。

3、5、8位という決勝成績はガナッシにしてはインパクトの大きいものではないが、さすがの安定感ではある。そこに琢磨も連なることができなかったのは残念だ。

レース後の琢磨のコメントは以下の通り。

「すぐ目の前を走っていたマシンがコースの外側へと少しふらついて、ちょうどそのタイミングで他の誰かのマシンが彼のインサイドへと飛び込んでいきました。その影響で自分はさらに外側のグリップの低いラインへといかざるを得なくなり、壁にヒットする結果となりました」

「カーナンバー11を担当するクルーたちは、本当にファンタスティックな仕事ぶりでマシンを準備してくれていました。それだけに今日のレース結果は彼らには本当に申し訳ない気持ちです」

琢磨のインディカー次戦は第107回インディ500(シリーズ第6戦)、決勝レースは5月28日開催予定だ。自身にとって前哨戦ともいえる今回のレースは無念の結果に終わったが、ここから巻き返して、2017、2020年に続く自身3度目のインディ500制覇という偉業を琢磨は達成できるのか。大注目の戦いになる。

《遠藤俊幸》

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