BMW、ボディカラーが変幻自在に変わるEV提案…上海モーターショー2023

新しいデザイン言語を採り入れたミッドサイズセダン

フロントマスクはさまざまな表情を見せることが可能

シンプルな内外装デザイン

フロントウインドウの全幅にヘッドアップディスプレイ

BMW i Vision Dee(上海モーターショー2023)
BMW i Vision Dee(上海モーターショー2023)全 10 枚

BMWグループ(BMW Group)は4月18日、次世代EVを提案するコンセプトカー『i Vision Dee』を、上海モーターショー2023に出展した。

◆新しいデザイン言語を採り入れたミッドサイズセダン

車名の「Dee」とは Digital Emotional Experienceの略だ。i Vision Dee は、余分な要素をそぎ落としていく新しいデザイン言語を採り入れたミッドサイズセダンだ。このモデルは、今後の人と車の結びつきを強めることを目指している。将来の自動車のデジタル機能は、現在、利用している音声操作や先進運転支援システム(ADAS)のレベルをはるかに超えるものになるという。

例えば、フロントウインドウの全幅に映し出される「BMWヘッドアップディスプレイ」も、次世代自動車のテクノロジーのひとつ。このイノベーションは2025年以降、次世代市販EVの「ノイエ・クラッセ」に導入される予定だ。

BMWは、 i Vision Deeがインテリジェントで、ほとんど人間並みの能力を備えている、と自負する。現実の道路上の状況だけでなく、デジタル環境においても、ドライバーに寄り添うという。

◆フロントマスクはさまざまな表情を見せることが可能

BMW i Vision DeeBMW i Vision Dee

デジタル体験は、車両に乗り込む前から始まる。グラフィカル要素と光と音の効果で構成されるウェルカムシナリオが、パーソナライズされた設定で乗員を迎え入れる。自然言語はシンプルで直感的なインタラクションとなり、人間と車両の間の理解をもたらす手段になる。

また、ヘッドライトと閉じたBMWキドニーグリルが、均一な表面に共通のフィジタルアイコンを作り出し、これにより、車両はさまざまな表情を見せることができる。i Vision Deeは人間と会話できるだけでなく、喜びや驚き、承認などの気持ちを視覚的に表現することができる。さらに、i Vision Deeは、ドライバーのアバター画像をサイドウインドウに投影して、ウェルカムシナリオをよりパーソナライズすることも可能という。

さらに、i Vision Deeには、車体の色を変えられるフルカラーの「Eインク」テクノロジーを採用した。特別に開発されたボディラップが電気信号によって刺激されると、電気泳動テクノロジーが車体の表面の色の色素を変化させ、ボディカラーを変えることができるという。i Vision Deeのボディ表面は、240のEインクセグメントに分割されており、それぞれが個別に制御される。これにより、ほぼ無限の種類のパターンを生成し、数秒で色を変化させることが可能だ。

◆シンプルな内外装デザイン

BMW i Vision DeeBMW i Vision Dee

i Vision Deeのデザインは、デジタル体験とBMWブランドのDNAを伝えることに焦点を当てている。余分な要素をそぎ落とし、意図的に簡素化された。エクステリアは、BMWブランドの中核をなすクラシックな3ボックスセダンのデザインで定義されている。BMWキドニーグリル、ツイン・サーキュラー・ヘッドライト、ホフマイスター・キンクといった伝統的なデザイン要素は、アナログに代わるフィジタル(フィジカルとデジタルの融合)アイコンで表現された。これにより、i Vision Deeは、デジタルでありながら人間的なキャラクターを持つという。

インテリアでは、デジタル化とともに、使用する素材を減らし、操作装置や表示装置の簡素化を図った。これにより、デジタル体験や新感覚のドライビングプレジャーを邪魔するものがないように配慮している。

ステアリングホイールは、中央に縦長のスポークを配したデザインで、近づいたり触れたりするとタッチポイントがアクティブになり、親指で操作できる。このフィジタルタッチポイントが、フロントウインドウに投影されるコンテンツを選択する操作装置となり、ヘッドアップディスプレイとともに「手はハンドルに、目は道路に」の原則をサポートするという。

◆フロントウインドウの全幅にヘッドアップディスプレイ

「BMW Mixed Reality Slider」は、i Vision Deeのデジタル機能のハイライトだ。ヘッドアップディスプレイと連携して、車両のセントラルコントロールを実現する。ダッシュボードに設置された「シャイテック」センサーを使って、ドライバーはヘッドアップディスプレイにどの程度のデジタルコンテンツを表示するか、自分で決めることができる。

アナログから、運転関連情報、通信システムの内容、拡張現実の投影、そして仮想世界へのアクセスまで、5つのステップから選択することができる。同時に、調光可能なウインドウを使って、現実を徐々にフェードアウトさせることも可能。i Vision Deeでは、追加のツールを必要とせず、さまざまな感覚に働きかける没入型の方法で、複合現実(Mixed Reality)を体験することができ、乗員にとって新次元のドライビングプレジャーを創出することが可能になるという。

i Vision Deeでは、フロントウインドウの全幅に投影して、可能な限り大きな面積に情報を表示することができる。BMWグループは、プロジェクション技術の大きな可能性を示し、i Vision Deeは、ヘッドアップディスプレイが将来的に表示と操作の手段としても活用できることを示している。フロントウインドウの全幅に広がるBMWヘッドアップディスプレイの量産バージョンは、2025年から次世代EVのノイエ・クラッセに採用される予定だ。

《森脇稔》

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