中国、独BMWを狙い撃ち…上海モーターショーで「アイス配布騒動」余波[新聞ウォッチ]

上海モーターショー2023
上海モーターショー2023全 2 枚

モノが「アイス」だけに、活気あふれる華やかなクルマの祭典で、背筋が寒くなるような騒ぎでもある。中国で開催中の上海モーターショーで、独BMWのブースでは、中国人女性がお土産のアイスクリームを求めたところ、女性スタッフに「終了した」と断られたという。

上海モーターショー2023上海モーターショー2023

だが、直後に訪れた外国人男性には渡されたため、一連の動画がSNSに投稿されたことから「差別だ」との声が殺到。BMW側は「誤解があった」と謝罪したものの、中国国内の一部で不買も呼びかけられるなど、抗議は収束に向かうどころか、批判がエスカレートしているそうだ。

読売が4月23日の朝刊で報じていたのに続き、きょうの経済面にも「BMW批判 中国やまず」との見出しで「アイス配布騒動」の続報を取り上げている。

それによると、中国紙は「アイス事件」として一連の騒動や余波を大きく報道。ショーの会場で取材する官製メディアの記者は「国民はみんな怒っている」と本紙に述べたとも伝えている。

また、江蘇省のある企業では、BMW車を保有する社員向けに「1か月以内に売却する誓約書を書いてください。応じない従業員は解雇します」との通知を出したとも。代わりに2万元(約40万円)の補助金を出し、国産の最高級車「紅旗」を購入するようにも求めているという。事実上の不買運動の強制ともいえ、「中国メディアによると労働契約法に違反する疑いがある」とも取り上げている。

さらに、ボンネットに「ドイツへ帰れ」と落書きされたBMW車の写真がSNSに投稿されるなど、ショーが閉幕する今月27日までの沈静化は難しい状況とみられる。

中国では外国企業が度々やり玉にあげられており、前回はテスラが標的となったが、「今回の騒動は、中国共産党の意向で近年強まる愛国主義の矛先が、わずかなきっかけで外資企業に向かうリスクを改めて浮き彫りにした」(読売)とも指摘する。

「君子危うきに近寄らず」という諺もあるが、世界最大の自動車市場にどっぷり浸かる日本車メーカーも少なくないだけに、対岸の火事とは思えず、今のところは「くわばら、くわばら」などと神に祈るほかにはないようだ。

2023年4月25日付

●トヨタ育児時短「18歳まで」(読売・7面)

●豊田章一郎氏しのび4500人 (読売・7面)

●BMW批判中国やまず、アイス配布騒動 (読売・8面)

●民間初月着陸あす未明挑む、アイスペース「必ず成し遂げる」 (読売・33面)

●ラピダス追加補助2600億円、政府方針次世代半導体新工場に (朝日・3面)

●JR宝塚線脱線、息子が生きた18年、同じ時間が流れても (朝日・29面)

●内閣支持率5割回復、選挙遊説「警護優先」77%、本社・FNN合同世論調査 (産経・1面)

●自動車機器事業を分社、三菱電機、EVに投資集中 (日経・13面)

●電動キックボード拠点1万カ所に、ループ、貸し出し用3倍へ45億円調達(日経・13面)

●京急、全車両に防犯カメラ、26年度内に、リアルタイムで確認(日経・35面)

《福田俊之》

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