BYD初の高級ブランド「仰望」、2000万円クラスのフラッグシップSUVとスーパーカーを披露…上海モーターショー2023

仰望 U8(上海モーターショー2023)
仰望 U8(上海モーターショー2023)全 17 枚

BYD初の高級ブランドである「仰望」(YangWang)事業部は、上海モーターショー2023において初のオフラインイベント出展を果たし、その車両を披露した。

仰望は、2022年11月から中国国内のメディア向けに新高級ブランドの立ち上げおよびそのネーミングを発表した。続いて、同月にブランドロゴとティーザー画像、想定価格帯(80万~150万元)について発表し、2023年1月にオンラインでの技術発表会を開催。今回、初めてのモーターショー出展となった。

仰望は、モーターショー会場のプレミアムブランドエリアに単独のブランドとしてブースを構え、「100万元(約2000万円)クラスのハイエンドブランド」(同社表現、1元=20円計算)として、フラッグシップオフロードSUVの『U8』と電動スーパーカーの『U9』を展示した。

仰望 U8(上海モーターショー2023)仰望 U8(上海モーターショー2023)

U8の特徴は、BYDが独自開発した4モーター独立駆動方式の「易四方(e4 platform)」を搭載していること。この技術は、操縦安定性を高め、その場での旋回が可能なほか、緊急時は水の中で浮かぶ駆動方式である。また、インテリジェント車体コントロールシステムの「雲れん(YunNian)」を搭載し、様々な運転シーンに対応し、路面とタイヤおよびサスペンション等から油圧で車体を制御するシステムである。今回、「オフロードプレイヤー版」と「プレミアム版」の2グレードを用意し、予約販売を開始した。価格は109万8000元(約2196万円)からとなり、プレミアム版が今年9月から正式に出荷する予定だという。

BYD初の高級ブランド「仰望」、2000万円クラスのフラッグシップSUVとスーパーカーを披露…上海モーターショー2023BYD初の高級ブランド「仰望」、2000万円クラスのフラッグシップSUVとスーパーカーを披露…上海モーターショー2023

U9もその外観を初披露した。外観は、同社発表資料を筆者が大まかに訳したところによると「『時空の扉』の家族的なデザイン言語を採用。全体的な視覚効果はより鋭利でスポーティーで、専用色の紫が光と影のSF的な雰囲気を彩っている。車体の線は鋭敏で爆発力があり、ボンネットの鋭い線は『血に飢えている』雰囲気を示す。ヘッドライト造形のインスピレーションは星から得ており、車の後方に空気動力学的な要素を加え、車両の性能と操作性を大幅に向上させた」という。また、U9も「易四方(e4 platform)」と「雲れん(YunNian)」を搭載している。易四方の出力は220~240kWで、「出力は最高1100HPを超え、0-100km/h加速は2秒である」(会場内スタッフの説明)という。また、「4輪4モーターはそれぞれ単独で1つの車輪を制御できることが特徴。異次元な走りを体感することだけでなく、0ロール、0ピッチの安定した走りを実現する。『TikTokで見られるダンスのような動き』をするハイエンドな操作が可能だ」(同)と説明している。

BYDが独自技術を以て高級ブランドを急ピッチで立ち上げていることは注目に値する。SUVからスーパーカー(DENZAブランドではMPVも含め)までの様々な消費者の活動シーンをカバーし、プレミアムブランドの領域で挑戦していくことの意義は大きい。新エネルギー車の分野でさらなる技術革新と普及が加速しそうである。

仰望ブース(上海モーターショー2023)仰望ブース(上海モーターショー2023)

《八杉理@現代文化研究所》

八杉理@現代文化研究所

八杉理|トヨタ自動車が全額出資する現代文化研究所・上席主任研究員。トヨタグループ各社をはじめ、日本の自動車業界のグローバルな事業戦略策定に参画。長く中国に居住し、各地の高度成長を肌で感じてきた。この経験から、現在でも現場主義に拘り、考察を続けている。また、クルマ好きで、世界の多様なモビリティを乗り歩く。著書に、『巨大化する中国自動車産業』日刊自動車新聞社、『東アジア地域協力の共同設計』ミネルヴァ書房等分担執筆のほか、業界団体や企業内でのセミナーも実施。専門業務分野は、中国・東アジアのモビリティ先端動向調査(CASE・MaaS、部品、炭素中立、SDGs)、ブランディング戦略、バリューチェーン事業化戦略、自動車ユーザー購買行動・イメージ・商品嗜好性分析、新興企業・競合企業の分析、これらに関する業界諸課題や市場参入へのアドバイザリー業務。

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