架装されてもらくらく坂道を登るハイパワー…キャンピングカーのベース車両として注目のフィアット『デュカト』公道試乗レポート

デュカトベースのキャンピングカー「LandwagonTT」
デュカトベースのキャンピングカー「LandwagonTT」全 28 枚

欧州でキャンピングカーのベース車両として人気を誇るフィアットデュカト』。日本にも上陸し、「ジャパンキャンピングカーショー2023」では、早速カスタムカーが多数登場して話題となった。

そんなデュカトを公道試乗できる試乗会が、4月21~24日に茨城県常総市にあるRVランド本社展示場で行われた。筆者も参加させていただき、クルマとしての乗り心地や走行性、キャンピングカーの内装などを体験してきた。

試乗会で使用されたフィアット「デュカト」試乗会で使用されたフィアット「デュカト」

今回の試乗会では、未架装でバンのままの「L2H2」、L2H2に架装した「LandwagonTT」、「L3H2」に架装した「Room」の3台が用意されていた。内装やボディサイズの違い、そして未架装でのスペースの広さ、架装による運転感覚の違いなどが体験できる。

●L2H2

まずはL2H2を体験。L2H2は全長5410mm、全幅2050mm、全高2525mmで、後部のキャビンスペースは全長2960mm、全幅2000mm、全高1970mmと写真で見てもらえばわかる通り、かなり倉庫のような空間が広がっている。

フィアット「デュカト」フィアット「デュカト」

バンタイプなのに、そのままでも2m近い高さがあるのが特に印象的で、床面も地面からあまり離れていないため、スロープやステップで簡単に中に出入りができる。これくらいのサイズがあると大型バイクや荷物はもちろん、フォークリフトなどもそのまま入ってしまうという。

フィアット「デュカト」フィアット「デュカト」

後部はあえて空で軽いまま公道に出発すると、運転感覚はとても軽い印象を受けた。長さを感じさせないスムーズな曲がり、柔らかいステアリング、そして少し踏めばあっという間に60km/hに到達する加速と、一般道では少しオーバースペックにも感じるほどである。坂道もラクラク登っていくので、荷物が多かったり、人数が居ても楽に運転できるだろう。安全装備も充実しているので、リアカメラで安全に駐車したり、走行中のアシストなどを受けることもできる。

デュカトベースのキャンピングカー「Room」デュカトベースのキャンピングカー「Room」

大型のバンとしては燃費も優秀で、リッター10km以上走り、さらにタンク容量が75Lと大きなため、給油なしで1000km近く走ることもできるそうだ。途中給油不要のストレスフリーさは長距離運転、旅行、仕事中など、様々なところで効いてくるだろう。

デュカトベースのキャンピングカー「Room」デュカトベースのキャンピングカー「Room」

●Room

続いてキャンピングカーとして架装されたRoomに試乗。その名の通り、快適な“部屋”として豪華な架装が施されており、6人乗員、4人就寝。クーラーやヒーター、3600Whの大容量バッテリー(増設可能)、シンクに電子レンジと快適装備が車内には満載となっている。

デュカトベースのキャンピングカー「Room」デュカトベースのキャンピングカー「Room」

デュカトの180馬力は荷物が積まれてからが本領発揮といわんばかりに、キャンピングカーとは思えないほどしっかりと加速していく。先程と同じ結構な坂道も、問題なく登っていくハイパワーは、キャンピングカーではなかなか味わえない感覚だ。

安定性も高く、走行中のふらつきやカーブでのぐらつきなどは一切なく安全に走行ができる。また、運転席のシート位置が高く、視界が広いため見渡しがいいのも運転しやすいポイントだ。

デュカトベースのキャンピングカー「Room」デュカトベースのキャンピングカー「Room」

後ろが架装されて見えない分は、リアとフロントについたカメラがバックミラーに映るようになっているので安心である。

筆者が普段運転しているキャブコンは背の高さや重心の高さ、架装を守るためにサスが柔らかめになっていることから、運転中は上下左右に振られることも多い。そういった不安定さがないバンコンでありながら、内装はしっかりと高さや広さが確保され、さらに充実の安全装備や馬力&燃費も優秀となれば欧州でベース車両として人気なのもうなずける。

デュカトベースのキャンピングカー「Room」デュカトベースのキャンピングカー「Room」

RVLand代表の阿部和英氏に話を伺ったところ、やはり「ジャパンキャンピングカーショー2023」以降注文が殺到しており、個人からの注文はほぼすべてキャンピングカーとなっているそう。

逆に企業からは商用車として上下左右の広い荷室、スロープだけで荷物が積み込める床面の低さなどが注目されており、先述したハーレーなどの大型バイクの搬送、工業機材の搬入などで使えるようカスタムの依頼が来ているそうだ。他にも、店舗を構えることが難しい地域やイベント出展用に、移動できる商談スペースとして後部にオフィスを作る依頼もあったとか。

最新の安全装備、たっぷり容量でアイディア次第でカスタムし放題な荷室、それらを軽々運ぶ馬力の高さと走行性能は快適の一言。キャンピングカーはもちろんのこと、様々なカスタムカーとしてのポテンシャルを持っているデュカト。今後どのような面白いクルマが出てくるのか楽しみだ。

《二城利月》

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