幻の試作車の写真があった! カワサキZ1/Z2ヒストリーの決定版

カワサキ900 super4(通称:Z1)
カワサキ900 super4(通称:Z1)全 4 枚

『カワサキZの源流と軌跡』
Z1/Z2の誕生とその展開
著者:監修 浜脇洋二 大槻幸雄・外 共著
発行:三樹書房
定価:4950円(箱入り特別限定版 6600円)
ISBN978-4-89522-787-2(特別限定版 978-4-89522-788-9)

カワサキZ1誕生50周年記念として、カワサキ『Zシリーズ』の原点を生んだ当時の担当者らが執筆した書籍が刊行された。

熱狂的なファンからいまなお熱い支持を受けるZ1/Z2。本書では、当事者である開発技術者やデザイナーをはじめ、米国現地法人の関係者、さらに今回の増補新訂版では、カワサキモータース社長の寄稿も収め、様々な角度からこのオートバイが開発され、人気を得るに至ったのかを詳しく解説。本文中のカラー口絵では、当時の貴重な写真や図版の他、カタログを掲載。巻末には年表も収録し、資料性を高めている。

この本は、2013年7月7日に発行された“カワサキZの源流と軌跡”を底本とされているが、その内容は大幅に手が入れられ、未公開写真なども多数掲載されている。

編集担当者によると、2008年頃に『カワサキマッハ 技術者が語る2サイクル3気筒の開発史』というタイトルの本を小関和夫氏の協力のもとにまとめたことがきっかけにあるという。この本は、小関氏が担当技術者の方々に話を聞きまとめ手法であった。これは川崎重工業が、社員が書いたり話したりすることに厳しく、また、写真資料なども少なく、加えて貸し出しも厳しいという状況だったことからこの手法がとられたのだ。

一方この本で、マッハシリーズとZ1/Z2の開発責任者であった大槻幸雄氏と知り合うことになる。編集担当者は、カワサキZ1/Z2は、日本を代表するモーターサイクルだと確信していたことから、何度もこのZ1/Z2に関して担当者の方々による開発史を依頼するも、前述の状況からまとめられる状況にはなかった。

そういった状況が打破されるときが来た。それは2011年に米国カワサキからZ1誕生から40周年をお祝いする話が持ち上がり、日本側も協力することになったのだ。

米国カワサキは、浜脇洋二氏によって設立されたことから米国カワサキから浜脇氏に40周年イベントの協力依頼があった。そこで浜脇氏から部下であった大槻氏に当時の開発に関することを書くように依頼され、さらに川崎重工業も米国に協力することになった結果、この開発史が実現。

今回の増補版は川崎重工業から完全に独立したカワサキモータースによるところが大きい。初代社長の伊藤浩氏は大槻氏の部下であったことから、増補版の製作は非常にスムーズだったという。伊藤氏自ら執筆したほか、資料の提供も多かったそうだ。結果として第15章「名車からのエール、そして将来への展望」が追加されたのである。この15章はZ1/Z2が誕生してからのZシリーズに関して書かれているが、初版には不足していた部分が補なわれることになった。同時に写真資料も、幻ともいわれていた『N600(カワサキ初の4サイクル/4気筒エンジンの試作車)』の写真も見つかり本書に収録することができた。これは日本では初めて公開されたものとのこと。担当編集者は、本書をもって「完成形に近い」とコメントするように、決定版といっても過言ではない仕上がりといえよう。

『カワサキZの源流と軌跡』『カワサキZの源流と軌跡』

今回は専用箱入りコレクターズアイテムとして、300部限定版も発売。専用の外箱の表面には1972年に発売されたカワサキ『900 スーパー4(Z1)』のサイドビュー写真を収録し、さらに表紙は特別愛蔵版専用の黒基調の装丁とした。特典としてカワサキ900スーパー4(Z1)の特製カード(Z1/Z2の開発責任者を務めた、大槻幸雄氏の直筆サイン入り)が添付される。さらに最終仕上げは全てハンドメイドで行ない、シリアルナンバーNo.001~No.300の検印が貼付されている。

《内田俊一》

内田俊一

内田俊一(うちだしゅんいち) 日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員 1966年生まれ。自動車関連のマーケティングリサーチ会社に18年間在籍し、先行開発、ユーザー調査に携わる。その後独立し、これまでの経験を活かしデザイン、マーケティング等の視点を中心に執筆。また、クラシックカーの分野も得意としている。保有車は車検切れのルノー25バカラとルノー10。

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