熊本地震から7年、南阿蘇鉄道が全線再開…上下分離で再出発、JRへの乗入れも 7月15日

南阿蘇鉄道のトロッコ列車『ゆうすげ号』は7月16日から再開する。
南阿蘇鉄道のトロッコ列車『ゆうすげ号』は7月16日から再開する。全 4 枚

熊本県の南阿蘇鉄道が7月15日、全線の運行を再開する。

同社が運営する立野駅(南阿蘇村)と高森駅(高森町)を結ぶ高森線は、2016年4月に発生した熊本地震で全線が運行見合せとなったが、同年7月には中松~高森間が再開。土砂流入や鉄道施設の損傷被害が甚大だった立野~中松間も2018年3月に復旧工事が始まり、以来、5年あまりの歳月を経て再開することになった。

再開に向けては、国が2017年12月に大規模災害復興法で定義する特定大規模災害で被災した鉄道事業者に対して、復旧費用の大半を補助する新制度を創設する方針を固め、南阿蘇鉄道への支援を決定。新制度では国と沿線自治体が復旧費用を半分ずつ負担し、鉄道事業者の負担を免除。沿線自治体負担分については、地方交付税の交付措置により、実質的に国が97.5%、自治体が残りの2.5%を負担することになった。

ただし、制度の適用には直近3期の事業収支が赤字で運輸収入が復旧費を下回っていること、長期的な運行を確保する計画を策定することのほかに、自治体などが施設を保有する上下分離方式を導入することが条件となっていたことから、2023年3月10日には南阿蘇鉄道が運行を担う第2種鉄道事業者、一般社団法人南阿蘇鉄道管理機構が施設を保有する第3種鉄道事業者とする鉄道事業再構築実施計画が国から認定されていた。

なお、全線再開後はトロッコ列車『ゆうすげ号』や木・金曜、土休日運行列車を含む上下各14本の列車が設定されるが、このうち上下各2本がJR豊肥本線・肥後大津駅(熊本県大津町)まで乗り入れる。

JR乗入れ列車に運用されるMT-4000形。2022年11月下旬に納車されており、MT-3010と同じく前面貫通式となっている。防護無線機や発煙筒など、事故による二次災害を未然に防ぐ装備も施されている。JR乗入れ列車に運用されるMT-4000形。2022年11月下旬に納車されており、MT-3010と同じく前面貫通式となっている。防護無線機や発煙筒など、事故による二次災害を未然に防ぐ装備も施されている。

ただし、再開初日のみはトロッコ列車『ゆうすげ号』が運休。下り2本の時刻が変更される。

再開初日の時刻。黄色部分が時刻変更列車。赤文字はJR直通列車。トロッコ列車は運休する。再開初日の時刻。黄色部分が時刻変更列車。赤文字はJR直通列車。トロッコ列車は運休する。7月16日以降の時刻。7月16日以降の時刻。

《佐藤正樹(キハユニ工房)》

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