半導体から自動車の電動化に変革を起こすか…TIが見せるオートモーティブ分野への意欲

日本TI(テキサツ・インスツルメンツ)社長のサミュエル ヴィカーリ氏と米国TI本社のシニア ヴァイスプレジデントでマーケティング担当のキースC.オグボーニイーヤ氏
日本TI(テキサツ・インスツルメンツ)社長のサミュエル ヴィカーリ氏と米国TI本社のシニア ヴァイスプレジデントでマーケティング担当のキースC.オグボーニイーヤ氏全 14 枚

5月23日、「人とくるまのテクノロジー展2023」の開催に先立って、日本TI(テキサツ・インスツルメンツ)社長のサミュエル ヴィカーリ氏が、米国TI本社のシニア ヴァイスプレジデントでマーケティング担当のキースC.オグボーニイーヤ氏とともに、記者会見を開いた。同社の実質的なキーノート講演は、オートモーティブ分野における積極的な拡大戦略の表明と言える。

テキサス・インスツルメンツは過去10年、オートモーティブ分野を拡大領域として力を注いでおり、以前の20%強から車載関連プロダクトが売上全体に占める割合は、2022年度は25%にまで成長した。ただし従来はアナログ製品の割合も多く、今後は車載の半導体、つまり電動車に用いられる点数や量は増えると見込んでおり、戦略的に投資して後者の比率をさらに増やしていくという。現在、同社は世界に約3万人の従業員がいて、8万種類以上の製品、10万社以上の顧客にビジネスを提供しており、アナログと半導体それぞれのソリューションを提供しながら自動車業界での足場を確保するという。

オグボーニイーヤ氏によれば、電気自動車のアーキテクチャが従来の自動車と大きく変化する中で、半導体が必要とされる主要部は3つ。1つ目は駆動モーターの効率を高めるトラクション・インバータ。2つ目は充電状態を正確に把握することで走行レンジを伸ばすための制御や、信頼性と安全性を高めるバッテリ管理システム。そして充電効率を向上させる車載充電器とDC/DCが3つ目だ。ただしドライブトレーンのみならず、ADASやインフォテイメントのクラスタ、あるいはそこに含まれるテレマティクス・システムなどもあり、運転情報がドライバーに可視化される流れは必然で、利便性と快適性の向上に資する流れで内装のライティングのような細かな部分にも及ぶ。


《南陽一浩》

南陽一浩

南陽一浩|モータージャーナリスト 1971年生まれ、静岡県出身。大学卒業後、出版社勤務を経て、フリーランスのライターに。2001年より渡仏し、パリを拠点に自動車・時計・服飾等の分野で日仏の男性誌や専門誌へ寄稿。現在は活動の場を日本に移し、一般誌から自動車専門誌、ウェブサイトなどで活躍している。

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