駆動力の極限を超える! トラクション性能の向上法~カスタムHOW TO~

駆動力の極限を超える! トラクション性能の向上法~カスタムHOW TO~
駆動力の極限を超える! トラクション性能の向上法~カスタムHOW TO~全 5 枚

トラクションとは駆動力を路面に伝える性能のこと。このトラクションは高すぎて困ることはない。いかにして高めることができるのか。

◆FRならリアタイヤ、FFならフロントタイヤの駆動性能

トラクションを示す数値はないので、馬力やトルクのように数値で比べることはできない。しかし、とても重要でなのがトラクション性能だ。加速する時にタイヤがしっかりと路面に食いついて駆動力を伝える力がトラクション。この性能が低いとアクセルを踏み込んでもタイヤは空転してしまう。サーキットではよくあることで、街乗りではあまりそこまでの加速をすることはないが、街乗りでもあって困る性能ではない。とくにリア駆動車だと、アクセルを踏んでしっかりとリアサスペンションが沈み、タイヤを路面に押し付けてくれるとコーナリングから脱出するときに気持ちよくクルマが曲がって行ってくれる。

フロント駆動でもトラクション性能があれば、ステアリングを切っている方向にグイグイと曲がってくれる。逆にトラクション性能が低いとアクセルを踏むとすぐにアウト側に膨らんでいってしまう。トラクション性能が高いほうが街乗りでもワインディングでも安定して気持ち良いハンドリングを得られるのだ。では、どうしたらトラクション性能を高められるのだろうか。

1:タイヤのグリップ性能を高める

単純にハイグリップタイヤを履くのも手だが、タイヤの扁平率を変えるのも効果的。例えば265/35R18ではなく、255/40R17などインチダウンしてタイヤの扁平率を落とすと、サイドウォールの厚みが増す。その分タイヤが潰れて路面と広い面積でグリップして摩擦力をアップさせトラクション性能を上げることができる。インチアップしてタイヤの扁平率を落とすとステアリングフィールはシャープになる。キビキビと曲がりやすくなるがトラクション性能は基本的に落ちる方向なのだ。なのでスーパーGT500クラスのマシンではフロントタイヤ18インチ、リアタイヤ17インチだったこともあるほど。これはフロントタイヤはシャープな切れ味が欲しいため18インチだが、リアタイヤは強大なパワーを受け止めて鋭く加速するためにあえて17インチにして、サイドウォールの厚いタイヤを履いているとのことだった。

2:リア駆動はリアサスペンションをソフトな方向にセット

リア駆動であればリアサスを少し沈むようにしたほうが荷重が掛かってトラクションを得やすい。あまりに沈んでしまうとフロントタイヤから接地圧が抜けて曲がりにくくなってしまうが、リアサスは硬すぎるよりはソフトにしたほうがグッと沈んでトラクション性能をアップさせやすい。

3:フロント駆動はリアサスペンションをちょっとハードにセット

フロント駆動の場合は加速するほど荷重がリアに移ってしまいフロントタイヤからトラクションが抜けやすくなってしまう。そこでフロント駆動の場合はリアサスをやや硬めにセットする。そうなるとリアが沈んでフロントタイヤが浮き気味になることがないので、トラクション性能をアップしやすいのだ。

4:サスペンションブッシュを強化していく

アームのブッシュ類は純正ではゴムだが、これらをピロボール化するのも効果的。タイヤに駆動力が掛かり回転していく時にサスペンションは沈んでいく。このときにブッシュが軟らかいとアライメント変化が大きくなってしまう。タイヤが正しく路面に接地できず、グリップが抜けてしまうことがあるのだ。そのためブッシュをピロボールなどにして、設計した通りに軌道を描くようになるとタイヤと路面が理想的な角度で接地してくれ、グリップが抜けずトラクション性能をアップさせることができるのだ。

5:サスペンション自体を交換する

高性能な車高調はスムーズにストロークして路面をキャッチできるのでトラクション性能が高い。しなやかなサスペンションほど路面のギャップなども吸収して常にタイヤを路面に接地させてくれるので高いトラクション性能を得られるのだ。フリクションにより摺動抵抗が大きいサスペンションだと細かいギャップでタイヤが跳ねてしまい、必然的にタイヤは空転しやすくトラクションが抜けやすくなってしまう。良いサスペンションは乗り心地だけでなく、トラクション性能でも走りを支えてくれるのだ。

このようにトラクション性能をアップさせる方法はいくつかある。アクセルオンで気持ちよく走るためににはそういったアプローチのチューニングも効果的だ。サーキット走行をするならもちろんトラクション性能が高いほうが強い加速ができ、タイムにも直結する。そういった重要な性能がトラクションなのだ。

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《加茂新》

加茂新

加茂新|チューニングカーライター チューニング雑誌を編集長含め丸15年製作して独立。その間、乗り継いたチューニングカーは、AE86(現在所有)/180SX/S15/SCP10/86前期/86後期/GR86(現在所有)/ZC33S(現在所有)。自分のカラダやフィーリング、使う用途に合わせてチューニングすることで、もっと乗りやすく楽しくなるカーライフの世界を紹介。

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