[プロセッサー活用]聴き心地を大幅向上! タイムアライメントの秘密とは?

純正スピーカー(ツイーター)の取り付け位置の一例。
純正スピーカー(ツイーター)の取り付け位置の一例。全 1 枚

カーオーディオでは、サウンドチューニング機能が搭載された「プロセッサー」が使われることが多い。これを活用することで車内の音響的な不利要因の改善が見込めるからだ。当コーナーでは、その扱い方を解説している。今回からは「タイムアライメント」に焦点を当てる。

最初に、「タイムアライメント」とはどのような機能なのかを説明しておきたい。これは、スピーカーが発音するタイミングを遅らせられる機能だ。ゆえに「タイムディレイ(遅延)」と呼ばれることもある。

このような機能が必要となる理由は、以下のとおりだ。クルマの中ではリスニングポジションが左右のどちらかに片寄る。しかし実はこのことは、ステレオ音源を楽しむ上で不利となる。

というのもステレオとは、音楽を左右の2chに分けて録音しそれを左右のスピーカーで再生することで演奏を立体的に再現しようとするものだ。人間には耳が2つ付いている。結果、音の出どころが判別できたり音像を立体的に感じ取れたりする。ステレオはいわば、その仕組みを応用している。

ステレオ音源は、以下のようにして作られる。演奏現場にて、マイクを2本立てて録音する。つまり右のマイクでは右耳で聴こえる音を、左のマイクでは左耳で聴こえる音を個別に録音するのだ(実際は演奏を、擬似的に左右のchに振り分けることが多い)。そしてそれぞれを左右のスピーカーで再生すれば、演奏現場にて音楽を聴いているかのような状況を作り出せる。

で、その仕組みを成り立たせるためには1つ、守るべき大切な決まりごとがある。それは「左右のスピーカーから等距離の場所に身を置くこと」だ。そうしないと左右のchの音をバランス良く聴けない。また、左右のスピーカーから放たれる音の到達タイミングもズレてしまう。そうなると、音像(ステレオイメージ)が崩れてしまうのだ。

しかし運転席で聴く場合、リスニングポジションは左右のどちらかに片寄る……。

でも、「タイムアライメント」という機能があればそれへの対処が可能となる。近くにあるスピーカーに対して発音タイミングを遅らせられるので、すべてのスピーカーから放たれる音が同時に耳に届くようにできるのだ。

ちなみに当機能がカーオーディオにて本格的に使われるようになったのは、1990年代の半ば頃からだ。カロッツェリアが『カロッツェリアX シリーズ』を発売し、それに当機能が搭載されていてそれが徐々に世の中に広まった。

ところでこれには、「簡易的なタイプ」と「本格的なタイプ」とがある。次回の記事では、それぞれの違いについて説明していく。お楽しみに。

《太田祥三》

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