【セレナ 新型 vs ノア/ヴォクシー】ハイブリッドに差か、日産のミニバンの魅力を探る

セレナvsノアvsヴォクシー
セレナvsノアvsヴォクシー全 39 枚

2022年にフルモデルチェンジした日産のミドルサイズミニバン、『セレナ』とライバルモデルの比較を行った。第一弾はトヨタの『ノア』&『ヴォクシー』。セレナにはオーテック仕様が設定されるが、今回は基準車のみを扱う。

◆ボディ外寸比較

日産 セレナ ハイウェイスターV 全長4765mm/ホイールベース2870mm日産 セレナ ハイウェイスターV 全長4765mm/ホイールベース2870mm
トヨタ ノア 新型 全長4695mm/ホイールベース2850mmトヨタ ノア 新型 全長4695mm/ホイールベース2850mm

●セレナ外寸(mm)
全長:4690~4765
全幅:1695~1715
全高:1870~1895
ホイールベース:2870
最低地上高:135

●ノア&ヴォクシー主要外寸(mm)
全長:4695
全幅:1730
全高:1895~1925
ホイールベース:2850
最低地上高:125~140

セレナはフルモデルチェンジでプラットフォームを更新せずに先代モデル同様のものを使った。この手法を採ったことでセレナの基本モデルは全幅を広げることなく、1695mmを維持することができている。セレナはホイールベースも先代モデル同様の2870mmである。

基本的なモデルでセレナとノア&ヴォクシーを比較すると全長はセレナが5mm短く、ホイールベースはセレナが20mmm長い。つまりオーバーハング成分はセレナが25mm短いことになる。ただしセレナのハイウェイスターVとLUXION(ルキシオン)はエアロパーツが装着され、全長が4765mmとノア&ヴォクシーよりも70mm長くなる。

続いて室内寸法とラゲッジルームの寸法、容量をみていく。

◆主要室内寸法

日産 セレナ 新型 室内幅1545mm/室内高1400mm日産 セレナ 新型 室内幅1545mm/室内高1400mmトヨタ ヴォクシー 新型 室内幅1470mm/室内高1405mmトヨタ ヴォクシー 新型 室内幅1470mm/室内高1405mm

●セレナ室内寸法(mm)
室内長:3135~3145
室内幅:1545
室内高:1400

●ノア&ヴォクシー室内寸法(mm)
室内長:2805
室内幅:1470
室内高:1405

◆主要ラゲッジルーム寸法・容量

日産 セレナ 新型 ラゲッジルーム日産 セレナ 新型 ラゲッジルームトヨタ ノア 新型 ラゲッジルームトヨタ ノア 新型 ラゲッジルーム

●セレナ ラゲッジルーム寸法(mm)・容量(リットル)
定員乗車時最大長:470
サードシート収納時:1260
2名乗車時最大長:1640(ルキシオンは1580)
最大幅:1255
最大高:-
定員乗車時容量:208~293
2名乗車時容量:-

●ノア&ヴォクシー ラゲッジルーム寸法(mm)・容量(リットル)
定員乗車時最大長:270
サードシート収納時:980
2名乗車時最大長:1600~1650
最大幅:1240
最大高:1220
定員乗車時容量:298
2名乗車時容量:1477~1563

セレナのサードシートは左右2分割で横方向に跳ね上げて、付属のベルトをワンタッチで差し込むタイプ。セカンドシートは8人乗りと7人乗りで仕様が異なる。8人乗りはセンター部分に左右幅が狭いL型の「スマートマルチセンターシート」と呼ばれる部分があり、これをセカンドシートと同列に配置するとセカンドシートがベンチのようになり3名が乗車可能。「スマートマルチセンターシート」を前方にスライドさせるとセカンドシートがセパレートタイプになる。セカンドの左右シートはそれぞれに横スライドも可能で、サードシートへのアクセスを楽にすることできるほか、自転車を積み込んだときにサードシートを中心に寄せて固定するという方法もカタログでは紹介されている。

日産 セレナ 新型 デュアルバックドア日産 セレナ 新型 デュアルバックドア

セレナは後方が狭い場所でもリヤハッチの開閉が可能なように、上方半分の部分のみが開閉するデュアルバックドアを採用。後方に440~470mm(グレードにより差がある)のスペースがあれば、開閉を可能としている。

ノア&ヴォクシーのサードシートも左右2分割で横方向に跳ね上げるタイプ。固定方法はセレナより簡単で、とくにベルトで固定したり、フックを引っかけたりという作業は必要なく、サイドに押しつけるようにすれば簡単に固定できる。セカンドシートは一般的な6対4分割のベンチタイプと、左右が独立したセパレートシートの2種。ベンチタイプはクッションを立ち上げるチップアップが可能で、かなり前方までシートをスライド前進させることが可能。セカンドベンチタイプのモデルには、2列目左側シートを廃止し7名乗りとした「7人乗りユーティリティパッケージ」というオプションがあり、サードシートへの乗り込みを楽にする仕様となっている。

リヤハッチはルーフ側にヒンジがある一般的なタイプだが、開閉機構にストッパーを追加したことによって、手動タイプでも任意の位置で停止することが可能となり、狭い場所での開閉を楽にしている。

◆パワーユニット・スペック

セレナのパワーユニットは2リットルのピュアガソリンエンジンと、1.4リットルガソリンエンジンで発電し、モーター駆動するシリーズハイブリッドの2種。一方のノア&ヴォクシーは2リットルのピュアガソリンエンジンと、1.8リットルガソリンエンジンとモーターを組み合わせたシリーズパラレルハイブリッドの2種となる。スペックは以下に記載する。

日産 セレナ 新型 1.4リットルガソリン シリーズハイブリッド日産 セレナ 新型 1.4リットルガソリン シリーズハイブリッドトヨタ ノア/ヴォクシー 新型 2リットルガソリンエンジントヨタ ノア/ヴォクシー 新型 2リットルガソリンエンジン

●セレナ
・2リットルガソリンエンジン
タイプ:直列4気筒
排気量:1997cc
最高出力:110kW(150ps)/6000rpm
最大トルク:200Nm(20.4kgm)/4400rpm

・1.4リットルガソリン シリーズハイブリッド
エンジンタイプ:直列3気筒
エンジン排気量:1433cc
エンジン最高出力:72kW(98ps)/5600rpm
エンジン最大トルク:123Nm(12.5kgm)/5600rpm
フロントモーター最高出力:120kW(163ps)
フロントモーター最大トルク:/315Nm(32.1kgm)
駆動用バッテリータイプ:リチウムイオン
駆動用バッテリー電圧/容量/セル数:-V/-Ah/96個
駆動用バッテリー総電圧/総電力量:-V/1.8kWh

●ノア&ヴォクシー
・2リットルガソリンエンジン
タイプ:直列4気筒
排気量:1968cc
最高出力:125kW(170ps)/6600rpm
最大トルク:202Nm(20.6kgm)/4800rpm

・1.8リットルガソリンハイブリッド
エンジンタイプ:直列4気筒
エンジン排気量:1797cc
エンジン最高出力:72kW(98ps)/5200rpm
エンジン最大トルク:142Nm(14.5kgm)/3600rpm
フロントモーター最高出力:70kW(95ps)
フロントモーター最大トルク:185Nm(18.9kgm)
リヤモーター最高出力(4WDのみ):30kW(41ps)
リヤモーター最大トルク(4WDのみ):84Nm(8.6kgm)
駆動用バッテリータイプ:リチウムイオン
駆動用バッテリー電圧/容量/セル数:3.6V/4.08Ah/-個
駆動用バッテリー総電圧/総電力量:-V/-kWh

セレナ、ノア&ヴォクシーともにピュアエンジンモデルは2リットルの直列4気筒エンジンを使用する。最大トルクも200Nm程度で両車に大きな差はない。ミッションもいずれもCVTである。セレナはこのピュアエンジンモデルにのみ4WDを設定する。セレナの4WDシステムはプロペラシャフトによってリヤに動力を伝達するもので、リヤデフ側にカップリングを設けたオートコントロール4WDと呼ばれるスタンバイ4WD。セレナのハイブリッドは日産がe-Powerと呼ぶシリーズハイブリッド方式で、エンジンは発電機の役割のみを担いエンジンのトルクは駆動輪には伝わらない。

一方、ノア&ヴォクシーのハイブリッドはトヨタオリジナルのシリーズパラレルハイブリッドのTHSを採用。従来の電気式CVTに加えて、ギヤを組み込むことで効率の向上が図られている。ノア&ヴォクシーはピュアエンジンモデル、ハイブリッドモデルのどちらにも4WDを設定する。ピュアエンジンモデルの4WDシステムはプロペラシャフトでリヤに駆動力を伝えるダイナミックコントロール4WDと呼ばれるスタンバイ4WDで、プロペラシャフトにカップリングを装備する。ハイブリッドの4WDシステムはリヤにもモーターを配置するE-Fourと呼ばれるものである。

WLTC燃費は次のとおりとなる。( )内は4WDで単位はkm/L。

◆WLTC燃料消費率

日産 セレナ 新型日産 セレナ 新型トヨタ ヴォクシー 新型トヨタ ヴォクシー 新型

●セレナ
ピュアエンジンモデル:13.0[Xは13.4](11.6)
ハイブリッドモデル:19.3[Xは20.6、ルキシオンは18.4]

●ノア&ヴォクシー
ピュアエンジンモデル:15.0[GとXは15.1](14.3[Xは14.4])
ハイブリッドモデル:23.0[Gは23.2、Xは23.4](22.0)

セレナ、ノア&ヴォクシーともに使用燃料はレギュラーとなる。ピュアエンジン、ハイブリッドともにノア&ヴォクシーのほうが燃費データがいい傾向となる。両車の車重をチェックするとセレナのほうが100kg程度重い。いろいろな要素はからんでくるが、車重が燃費に影響することは多い。

◆バリエーション&価格

日産 セレナ 新型日産 セレナ 新型

それぞれの価格とバリエーションは次のとおり。( )内は4WD。

・セレナ/ピュアエンジンモデル
X(8人乗り):276万8700円(303万4900円)
XV(8人乗り):308万8800円(335万5000円)
ハイウェイスターV(8人乗り):326万9200円(353万5400円)

・セレナ/e-Power
e-Power X(8人乗り):319万8800円
e-Power XV(8人乗り):349万9100円
e-Power ハイウェイスターV(8人乗り):368万6100円
e-Power LUXION(7人乗り):479万8200円

トヨタ ノア 新型トヨタ ノア 新型

・ノア/ピュアエンジンモデル
X(7人乗り):267万円(286万8000円)
X(8人乗り):267万円(286万8000円)
G(7人乗り):297万円(316万8000円)
G(8人乗り):297万円(316万8000円)
S-G(7人乗り):304万円(323万8000円)
S-G(8人乗り):304万円(323万8000円)
Z(7人乗り):324万円(343万8000円)
S-Z(7人乗り):332万円(351万8000円)

・ノア/ハイブリッド
ハイブリッドX(7人乗り):305万円(327万円)
ハイブリッドX(8人乗り):305万円
ハイブリッドG(7人乗り):332万円(354万円)
ハイブリッドG(8人乗り):332万円
ハイブリッドS-G(7人乗り):339万円(361万円)
ハイブリッドS-G(8人乗り):339万円
ハイブリッドZ(7人乗り):359万円(381万円)
ハイブリッドS-Z(7人乗り):367万円(389万円)

トヨタ ヴォクシー 新型トヨタ ヴォクシー 新型

・ヴォクシー/ピュアエンジン
S-G(7人乗り):309万円(328万8000円)
S-G(8人乗り):309万円(328万8000円)
S-Z(7人乗り):309万円(358万8000円)

・ヴォクシー/ハイブリッド
ハイブリッドS-G(7人乗り):344万円(366万円)
ハイブリッドS-G(8人乗り):344万円
ハイブリッドS-Z(7人乗り):374万円(396万円)

セレナのピュアエンジンモデルは279万8700円~353万5400円で3グレード展開。ノアは267万円~351万8000円で5グレード展開。セレナハイブリッドはピュアエンジン同様の3グレード+上級のLUXIONの4グレード展開、ノアハイブリッドはピュアエンジンモデルと同様の5グレード展開だ。以前はノアとヴォクシーは同一のグレード展開をしていたこともあるが、現在のヴォクシーはグレードはピュアエンジンとハイブリッドにそれぞれ2グレード展開とかなり絞った設定だ。

トップの価格はほぼ同レベルだがボトムはノアのほうが10万円程度リーズナブル。このグレード展開からみてもノアのほうがきめ細かい設定を行っていることがわかる。ノアは上位のS-ZとZグレードは7人乗りモデルだけだが、そのほかのグレードは7人乗りも8人乗りも設定している。ただしセレナの8人乗りは、セカンドシート左側をレス化した7名乗りをオプションで用意している。ヴォクシーはノアに比べて少し高めの価格設定となっている。

◆注目点はプラットフォームとハイブリッド方式か

この2車を比べる際の差分だが、まずはボディ全幅にあるといえる。セレナは先代プラットフォームを引き継ぐことで5ナンバーを維持した。5ナンバーに収まる全幅が欲しい人はセレナ一択となる。逆にせっかく新車を買うのだから、プラットフォームも新しいほうがいい、という考え方の方はノア&ヴォクシーを選ぶことになるだろう。

ハイブリッドの方式も異なるので、電動車フィールが強いモデルはセレナ、エンジン車のフィールを持ちながら燃費のよさを追求するならノア&ヴォクシーということになる。また、ADAS性能の高さを求めるなら、プロパイロット2.0を搭載するセレナ・ルキシオンとなるだろう。セレナ・ルキシオンは現在、ミニバンで唯一ハンズオフ走行が可能なモデルである。

《諸星陽一》

諸星陽一

自動車雑誌の編集部員を経て、23歳でフリーランスのジャーナリストとなる。20歳代後半からは、富士フレッシュマンレースなどに7年間参戦。サーキットでは写真撮影も行う、フォトジャーナリストとして活動中。趣味は料理。

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