スズキ新時代到来!?『GSX-8S』は新エンジン開発陣に感謝したくなる“ポップで万能”な一台だ…伊丹孝裕×小川勤

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スズキ GSX-8S
スズキ GSX-8S全 63 枚

2023年3月に発売されたスズキの新型スポーツバイクが「GSX-8S」だ。その軽やかな走りを、モーターサイクルジャーナリストである伊丹孝裕と小川勤の対談を通してお届けしよう。

◆若々しくてポップな新しいスズキが感じられる

スズキ GSX-8Sスズキ GSX-8S

伊丹孝裕(以下、伊丹):GSX-8Sを初めて見た時、その小洒落た雰囲気がかなり新鮮だった。生真面目というか、正攻法というか、スズキのバイクには少なからず質実剛健なイメージがあると思うのだけど、色づかいやロゴのデザインも含めて、若々しくてポップ。新しいスズキが感じられた。

小川勤(以下、小川):そうですね。2022年のEICMA(ミラノショー)で発表された時、同じような印象を持ちました。こういう造形って、第一印象では違和感があって、徐々に慣れていくものじゃないですか。ところがGSX-8Sにはそれがなく、いい意味でコンサバ。斬新なのに奇をてらった部分がなく、すごくまとまっています。

スズキ GSX-8Sスズキ GSX-8S

伊丹:昆虫系とも評されるKTMやヤマハのネイキッドと違い、尖りすぎていないから幅広い層に受け入れられそう。

小川:取り回したり、またがった時も刺々しさはないですね。車体はスリムで軽く、僕の身長(165cm)でも足つきは問題なし。排気量は775ccあるからカテゴリー的にはビッグバイクなわけですが、ひとクラス下のモデルのように扱うことができます。

◆いかにも新世代エンジンというGSXの名に恥じないフィーリング

スズキ GSX-8Sスズキ GSX-8S

伊丹:スズキの並列2気筒といえば、近年は250ccクラスで幅広く展開されてきた。ただし、ビッグバイクに関しては1983年のGR650にまでさかのぼることになり、この時代の新規開発はなかなかの英断だよね。

小川:270度クランクによる不等間隔爆発は、現在珍しくない機構ですが、2つのバランサーをクランクシャフト後部と下部に配するなど、独自の仕組みがスズキらしいですね。軽量コンパクト化を謳っている通り、走行中もその排気量を感じさせず、回転上昇やハンドリングは軽やかそのもの。いかにも新世代エンジンというフィーリングが心地よかったです。

スズキ GSX-8Sと小川勤スズキ GSX-8Sと小川勤

伊丹:フレキシビリティに富む領域とスポーティな領域があって、走るステージによって使える範囲を選べるところがいい。ほとんどの場面では5000rpm以下で事足りて、なのに充分なパワーが味わえる。だからといって、実用一辺倒かといえばそんなこともない。その気になれば9500rpm超まで爽快に回り切り、特に7000rpm前後で発揮される鋭いスロットルレスポンスは、スポーツバイクの象徴でもあるGSXの名に恥じないもの。80PSの最高出力に物足りなさを覚える場面はまったくない。

小川:エンジンの出力特性が切り換わる「スズキドライブモードセレクター」には、A(アクティブ)/B(ベーシック)/C(コンフォート)の3パターンが設定されていますが、Aを選択すると明らかにダイレクト感が増し、タイトなワインディングでも4速や5速をホールドしたまま走れるほど力強い。

◆初めて乗っても手足のように馴染む作り込まれたスポーツネイキッド

スズキ GSX-8Sと伊丹孝裕スズキ GSX-8Sと伊丹孝裕

伊丹:ハンドリングもいいね。リーン初期はヒラヒラと軽く反応してくれるけれど、バンク角が深くなると一定の手応えがあって、動きがシャープ過ぎない。俊敏性と安定性のバランスが絶妙で、車体姿勢とか体重移動とか、そういった小難しいことを意識しなくてコーナーとコーナーを滑らかにつないでいくことができる。

小川:今回のエンジンがまさにそうですけど、スズキって無駄のない、ミニマムな設計を得意としているじゃないですか。ハンドリングにもそれが反映されていて、軽い車体、レスポンスのいいエンジン、コンパクトなライディングポジションの相乗効果で、コーナリングが本当に気持ちいい。特に立ち上がりの開けやすさは格別ですね。

スズキ GSX-8Sと小川勤スズキ GSX-8Sと小川勤

伊丹:エンジン、フレーム、吸排気系といった主要なコンポーネントがセンターにギュッと詰まっているイメージ。ライダーの操作と、それに対する挙動が分かりやすく、初めて乗ってもすぐに手足のように馴染む。クイックシフターの精度、ブレーキのコントロール性、サスペンションのストローク感にもまったくネガティブな要素がない。アドベンチャーモデルであるVストローム800DEと共有している部分も多いのに、こっちはスポーツネイキッドとしてどこも無理なく作り込まれている。

◆今後のラインナップを期待したくなってしまう

スズキ GSX-8Sと伊丹孝裕と小川勤スズキ GSX-8Sと伊丹孝裕と小川勤

小川:SV650のV型2気筒は名機のひとつですが、この並列2気筒によって、今後のラインナップに広がりが出そうです。Vストローム800DEとの関係性が証明している通り、ホイール径の大小やスイングアームの長短を破綻なく成立させているのは、エンジンのコンパクトさがもたらす、自由度の高さでしょう。バリエーションという意味では、たとえばスポーツ性を引き上げた仕様の登場に期待しています。

伊丹:たしかに。サスペンションやブレーキを高荷重域に振った上位グレードがあってもいいし、カウルやセパレートハンドルを装着した別モデルもおもしろい。いろいろな想像を掻き立てるという意味でも、GSX-8Sの存在意義は大きい。

スズキ GSX-8Sと伊丹孝裕と小川勤スズキ GSX-8Sと伊丹孝裕と小川勤

小川:このクラスのモデルは、コストパフォーマンスも無視できないところですが、106万7000円という価格設定も評価できますね。それでいて、エンジンモード(スズキドライブモードセレクター)やクイックシフターに加えて、3段階+OFFのトラクションコントロールを装備。電子制御は多機能化が進んでいますが、これくらいの選択肢の方が、操作性も含めて、使いやすく必要十分だと感じます。

伊丹:スズキが得意とするイージースタートシステム(ボタンのワンプッシュでエンジンが始動するまでセルが回る)やローRPMアシスト(発進時や極低速走行時のエンジン回転数低下を抑制)は当然標準装備していて、カラーTFTディスプレイの視認性も良好。今後、望むとすれば、クルーズコントロールくらいかな。

スズキ GSX-8Sと伊丹孝裕と小川勤スズキ GSX-8Sと伊丹孝裕と小川勤

◆250ccでバイクを楽しんできたエントリー層のステップアップに最適

小川:デザイン、乗り味、スペック……とどこにフォーカスしても不足がありません。いろいろなライフスタイルにマッチする、実にスズキらしい良作だと思います。

スズキ GSX-8Sと伊丹孝裕スズキ GSX-8Sと伊丹孝裕

伊丹:守備範囲が広く、キャリアもスキルも問わず、どんなライダーにも薦められる。

小川:この十数年の間、250ccクラスがとても盛り上がったじゃないですか。それをきっかけにバイクを知ったエントリー層のステップアップに最適ですし、大排気量モデルの重量やサイズがプレッシャーになってきたベテランのダウンサイジングにもいい。GSX-R1000Rでサーキットを積極的に走っているスーパースポーツ派は別として、それ以外の用途は満たしてくれる万能モデルと言えます。

スズキ GSX-8Sスズキ GSX-8S

伊丹:気負いもストレスもなく手軽に走り出せ、コスト面のハードルも高くないビッグバイクは貴重。スタイリングに華もあって、長く楽しめるモデルだね。

小川:今の時代、先行きを見据えたエンジンを開発するのは大変な労力だと思いますが、それをこれほどの完成度で送り出してくれたことに感謝したいです。

スズキ GSX-8Sと伊丹孝裕と小川勤スズキ GSX-8Sと伊丹孝裕と小川勤スズキ GSX-8S 公式ページはこちら

小川勤|モーターサイクルジャーナリスト
1974年東京生まれ。1996年にエイ出版社に入社。2013年に同社発刊の2輪専門誌『ライダースクラブ』の編集長に就任し、様々なバイク誌の編集長を兼任。2020年に退社。以後、2輪メディア立ち上げに関わり、現在は『webミリオーレ』のディレクターを担当しつつ、フリーランスとして2輪媒体を中心に執筆を行っている。またレースも好きで、鈴鹿4耐、菅生6耐、もて耐などにも多く参戦。現在もサーキット走行会の先導を務める。

伊丹孝裕|モーターサイクルジャーナリスト
1971年京都生まれ。1998年にネコ・パブリッシングへ入社。2005年、同社発刊の2輪専門誌『クラブマン』の編集長に就任し、2007年に退社。以後、フリーランスのライターとして、2輪と4輪媒体を中心に執筆を行っている。レーシングライダーとしても活動し、これまでマン島TTやパイクスピーク・インターナショナル・ヒルクライム、鈴鹿8時間耐久ロードレースといった国内外のレースに参戦。サーキット走行会や試乗会ではインストラクターも務めている。

■5つ星評価
SUZUKI GSX-8S
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
コンフォート:★★★★
足着き:★★★★
オススメ度:★★★★

《伊丹孝裕》

モーターサイクルジャーナリスト 伊丹孝裕

モーターサイクルジャーナリスト 1971年京都生まれ。1998年にネコ・パブリッシングへ入社。2005年、同社発刊の2輪専門誌『クラブマン』の編集長に就任し、2007年に退社。以後、フリーランスのライターとして、2輪と4輪媒体を中心に執筆を行っている。レーシングライダーとしても活動し、これまでマン島TTやパイクスピーク・インターナショナル・ヒルクライム、鈴鹿8時間耐久ロードレースといった国内外のレースに参戦。サーキット走行会や試乗会ではインストラクターも務めている。

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