洗車後に愛車の写真を撮りたくなる…アートでポップなコイン洗車場「WASH!PLAZA」

洗車後に愛車の写真を撮りたくなる、アートでポップなコイン洗車場「WASH!PLAZA」…SNS映えで人気
洗車後に愛車の写真を撮りたくなる、アートでポップなコイン洗車場「WASH!PLAZA」…SNS映えで人気全 10 枚

全国的にコイン洗車場が減少傾向の中、よくある “ 普通のコイン洗車場 ” のイメージを覆し、洗車後に愛車の写真を撮りたくなるSNS映えスポットとして、横浜市を中心に人気を集めているコイン洗車場『WASH!PLAZA(ウォッシュプラザ)』がある。自社敷地エリアで野外パーティ・イベント「BLOCK PARTY(ブロックパーティ)」も企画開催するなど、地域の盛り上げ役としても注目を集めている。

これまでのコイン洗車場とは一線を画す、ポップで明るくクリーンで、洗車後に愛車の写真を撮りたくなるコイン洗車場という、独自のコンセプトを打ち出すに至った経緯などについて、WASH!PLAZAを展開する株式会社カジタ(横浜市金沢区)代表取締役の梶田兼一氏と、社長室・マネージャーの梶田涼介氏に話を聞いた。

遊休地の有効活用として「コイン洗車場」を開始

株式会社カジタの創業は、今から96年前の1927年。三代目である現社長・梶田兼一氏の曽祖父が、横浜市鶴見区にて「梶田工業所」の名で液体ローリータンク制作を主とした一般製缶加工業をスタートしたのが始まり。

工場拡張のため、1972年に現社屋がある横浜市金沢区鳥浜町に新築移転。1985年から自社保有の不動産を活用した工場倉庫や事務所棟の賃貸業を開始したほか、1986年には自社の溶接技術を基に溶接機等の建設機械レンタル事業部「RENTALKAJITA(レンタルカジタ)」も開設し、1989年に現社名である株式会社カジタに商号を変更。それから7年後の1996年に本社ビルの新築を機に、オフィス賃貸事業を開始すると同時に、本社敷地内で24時間営業のコイン洗車場「カーウォッシュ鳥浜」をオープン。2004年にコイン洗車場の屋号を「WASH!PLAZA」に変更している。

コイン洗車場を開始したキッカケについて梶田社長は「自社敷地内に遊休地があり、何か有効活用できないかと模索していた中で、近隣に盛況なコイン洗車場があり、自社にもビジネスチャンスがあるのではないかと思いました。まったく知識がなかったため、洗車機や関連設備を導入したメーカーのアドバイスのもと、洗車場のレイアウトや設備を整えて運営を始めました。オープン時は “ カーウォッシュ鳥浜 ” という地域名を入れたよくある感じの屋号だったのですが、デザイン関連に携わる親族からブランドイメージづくりの提案を受け、2004年にWASH!PLAZAに変更しました」と話す。

事業開始後にみえてきた「課題」

コイン洗車場の立地が、横浜ベイブリッジや大黒パーキングエリア、八景島シーパラダイスなどが近隣にあるエリアのため一定の利益は見込めたものの、想定通りの順風満帆とはいかなかった。事業を開始してみえてきた課題が多くあった。

セルフの24時間営業で現金支払制のため、洗車機や洗車関連設備の管理が難しく、深夜に予期せぬ故障や破損、設備の盗難、不用品のポイ捨て、長時間のたむろによる治安悪化など、さまざまな課題で悩まされることに。事業継続や利益向上のために何らかのテコ入れが必要だと感じながらも、手をこまねく状況が続いていたという。

洗車後に愛車を撮ってSNS投稿したくなるコイン洗車場

梶田社長の息子である梶田涼介氏が2019年に入社し、コイン洗車事業に携わるようになったことが大きな転機となった。

涼介氏は10代の頃からストリートダンスに触れ、ヒップホップのファッションや音楽など、アメリカンカルチャーに魅力を感じており、入社前は原宿のストリート系ファッションのアパレルショップでの勤務経験があった。涼介氏はアメリカ映画やミュージックビデオなどで目にした、ポップでエンターテイメント性があるアメリカの洗車場に憧れがあり、その雰囲気を自社のコイン洗車場に取り入れるブランディング戦略を構想。また従来のアナログな集客手法(紙媒体広告・電柱広告など)ではなく、Web拡散による集客で成果を出すには“SNS映え”が重要であり、洗車後に愛車を撮ってSNS投稿したくなるコイン洗車場を実現したい考えがあった。

涼介氏の思い切った戦略を梶田社長が聞き入れ、テコ入れを開始。涼介氏は自らロゴデザイン制作を手掛け、サイトの新設や場内装飾をリニューアル。涼介氏のコレクションでもあったアメリカのナンバープレートを50州すべて集めて鉄骨梁に設置したり、天井に電飾を取り付けて夜はライトアップするほか、場内ではこだわりのBGMをかけることに。

シュアラスター社との出会い

洗車後に愛車を撮ってSNS投稿したくなるコイン洗車場を実現するために、最も重要だったのは、場内にアメリカ西海岸を思わるウォールアートを作ることだったが、ペイントアーティストの選定で悩んでいたという。

ちょうどその頃、涼介氏は、カーケア・洗車用品メーカーのシュアラスター株式会社が、自社製品を取り揃えた自動販売機設置を行っていることを知り、同社にアプローチ。涼介氏はシュアラスター社の担当者に自社のブランディング戦略を伝えたところ意気投合。神奈川エリアで初の自販機導入店となり、探しあぐねていたペイントアーティストも紹介してもらえることに。神奈川県平塚市出身で株式会社SUBARUのデザイン部門にて自動車デザインに携わった経験もあり、現在は国内外で活動しているAMI OTSUKA氏にウォールアートを依頼できることとなり、2021年に完成した。

ポップなウォールアートの前で、洗車したての愛車を撮影できる“SNS映えスポット”として、Instagram広告を活用して情報拡散に注力。このほか、シュアラスター社の洗車イベント会場としてコイン洗車場を提供したこともあり、ウォールアートの前で愛車を撮影してSNS投稿する利用者が横浜だけでなく他県からも訪れ、最近では月3000台を超える利用状況となった。

アパレル商品展開と野外イベント

涼介氏が考えたブランディング戦略は、洗車場だけにとどまらなかった。アパレル業界での経験を活かし、WASH!PLAZAのロゴマーク入りのTシャツやキャップといったグッズ商品を企画開発。本社内に新設したオフィシャルグッズストアや自社運営サイトでのネット販売のほか、ファッション通販「ZOZOTOWN」でも販売中。洗車場を利用したことはないが、WASH!PLAZAのグッズ商品を気に入って購入する顧客が増え続けているという。

もうひとつ、涼介氏が力を入れている取り組みとして、自社敷地エリアでの野外パーティ・イベント「BLOCK PARTY(ブロックパーティ)」の企画開催がある。同イベントはアメリカの街区等で路上を封鎖して行われているような野外パーティを参考に企画されたもの。

洗車のノウハウを教えるようなものではなく、アメリカ雑貨やリメイク雑貨、ハンドメイドグッズ販売のほか、キッズダンサーやアーティストたちによるパフォーマンスが披露され、キッチンカーの出展もありフード類も楽しめる。昨年3月6日(日)に初開催された際には300人弱が来場し大盛況に。

今年は7月2日(日)に開催予定で、アパレル商品や雑貨販売、希少性の高い車両展示(BAY GARAGE)や、出張バーバー(理髪店)によるフェードカット、Tシャツシルクスクリーンなどのワークショップやアーティストたちによるライブパフォーマンスが行われる予定とのこと。※雨天・荒天の場合は翌週7月9日(日)に延期

洗車場内の設備と利用価格

場内には、スプレー洗車機(5台)と門型自動洗車機(1台)のほか、車内用掃除機、オゾン脱臭機、マットクリーナー、水販売機を完備。スプレー洗車機は30分700円からで、門型自動洗車機は500円からだが複数のコースがあり、高圧ジェット付きの泡光沢ガラスコート2,200円なども利用できる。支払方法は現金支払のほか、洗車カード(プリペイドカード)販売機も用意されている。なお、門型自動洗車機に関しては使用可能な車種が限られているため、使用前にしっかり確認する必要がある。

ブランドを育てながら新たな構想も

今後について梶田社長は、自社のブランディング戦略のノウハウを活かして店舗数を増やしたり、FC展開したい考えがあるほか、自社所有の工場内にスペシャルな洗車設備を完備した洗車ブースを作り「プレミアムなガレージ洗車場」として展開したい思いもあるという。涼介氏は、まずは現状のブランディングを大切に展開することに注力し、洗車をキッカケにアメリカのカルチャーを楽しんだり、洗車を通じて明るく楽しいコミュニティの場を提供していきたいと話していた。

洗車後に愛車の写真を撮りたくなる、アートでポップなコイン洗車場「WASH!PLAZA」…SNS映えで人気

《カーケアプラス編集部@金武あずみ》

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

教えて!はじめてEV

アクセスランキング

  1. BEVを2年間所有した、“リアルな”ランニングコストを大公開
  2. ベントレーの超高級住宅、最上階は「55億円」 クルマで61階の自宅まで
  3. メルセデスベンツの万能車『ウニモグ』がキャンピングカーに! 数日間の自給自足が可能
  4. アルファロメオの新型コンパクトSUV『ジュニア』日本発売、ハイブリッド車が420万円から
  5. メルセデスの名車「190E エボ2」が復刻! 限定100台の「HWA EVO」にハンコック純正装着
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. 茨城県内4エリアでBYDの大型EVバス「K8 2.0」が運行開始
  2. 三菱が次世代SUVを初公開、『DSTコンセプト』市販版は年内デビューへ
  3. 「やっと日本仕様が見れるのか」新世代ワーゲンバス『ID. Buzz』ついに上陸! 気になるのはサイズ?価格?
  4. 低速の自動運転遠隔サポートシステム、日本主導で国際規格が世界初制定
  5. コンチネンタル、EVモーター用の新センサー技術開発…精密な温度測定可能に
ランキングをもっと見る