【トヨタ ランドクルーザー250】日本市場は2.8ディーゼルと2.7ガソリンになったわけ

トヨタ・ランドクルーザー250
トヨタ・ランドクルーザー250全 17 枚

トヨタ自動車が8月2日にプロトタイプ(量産仕様試作車)を公開した『ランドクルーザープラド』あらため『ランドクルーザー250』。パワーソースは5種類。日本市場ではディーゼルの非ハイブリッドと2.7リットルガソリンの2種類にするという。


◆全5種類のパワーソースを市場需要に応じて設定

直列4気筒2.4リットルターボ+ストロングハイブリッド、同エンジンの非ハイブリッド、直列4気筒2.8リットルターボディーゼル+48Vマイルドハイブリッド、同エンジン+非ハイブリッド、直列4気筒2.7リットルガソリンの5種類となる。

ランドクルーザー250は世界に幅広く販売されるが、全地域にこの5種類すべてがラインナップされるわけではない。最高出力243kW(330ps)のストロングハイブリッドは北米と中国、207kW(281ps)の純ガソリンターボは中近東や東欧など、150kW(204ps)のディーゼル+ハイブリッドは西欧およびオーストラリアなどと、市場の特性に合わせたラインナップ構成になるという。

◆日本市場では「質実剛健」と「価格抑制」を意識した

では足元の日本市場はどうか。現時点ではディーゼルの非ハイブリッドと最高出力120kW(163ps)の2.7リットルガソリンの2種類にする計画であるという。選定理由についてパワートレイン製品企画部の北井慎也氏は、「理由はランクルの本質である質実剛健さを最重視したこと、そして価格が高くなりすぎないようにすること」と説明する。

「2.8リットルディーゼル、2.7リットルガソリンとも現行モデルのキャリーオーバーですが、ディーゼルのほうは変速機をカバレッジの広い8速ATとしたことで、悪路での低速走行から高速巡航まで幅広い範囲で力強くスムーズな走りに仕立てられたと自負しています。2.7リットルガソリンは純粋に低コストグレードを設定するための選択ですが、こちらも変速機は従来と同じ6速ATでありながら、スロットルレスポンスを改善して現行プラドより力強い走りを楽しんでいただけると思っています」

トヨタ・ランドクルーザー250トヨタ・ランドクルーザー250

◆環境性能をクリアするだけではない

また北井氏は「実は、今回のハイブリッドはガソリン、ディーゼルともパフォーマンスのためというより環境性能のためのものなんです」と明かす。

「従来型プラドは北米と中国ではそれぞれの環境規制をクリアできず、ラインナップからドロップいていました。それを再導入するためにはストロングハイブリッドが必要でした。ただ、単にハイブリッドにすればいいというものでもありません。とくに北米ではSUVに要求される性能のひとつに大きな牽引力があります。パラレルハイブリッドを選択したのは6000lbs(2700kg)の牽引力を持たせるためでした。西欧やオーストラリアにディーゼルのマイルドハイブリッドを高コストを押して投入するのは、彼の地では燃費規制が厳しく、そうしないと戦えないためです」

◆不要なものは極力そぎ落とす、とはいうものの

一見ラグジュアリー化したように感じられるランドクルーザー250だが、ユーザーにとって必要な性能はしっかりと確保する半面、不要なものは極力そぎ落とすというフィロソフィは健在なのだ。ただし他のパワートレインについても日本に投入しないと決めているわけではないという弁も聞かれた。顧客ニーズ次第ではストロングハイブリッドの追加投入の可能性も十分にありそうだ。

《井元康一郎》

井元康一郎

井元康一郎 鹿児島出身。大学卒業後、パイプオルガン奏者、高校教員、娯楽誌記者、経済誌記者などを経て独立。自動車、宇宙航空、電機、化学、映画、音楽、楽器などをフィールドに、取材・執筆活動を行っている。 著書に『プリウスvsインサイト』(小学館)、『レクサス─トヨタは世界的ブランドを打ち出せるのか』(プレジデント社)がある。

+ 続きを読む

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

教えて!はじめてEV

アクセスランキング

  1. 軽オープンスポーツカー、2代目ダイハツ『コペン』が誕生!!
  2. ランドローバーが『ベイビーディフェンダー』発売ってほんと? これが市販デザインだ!
  3. 「さすが俺達の日産技術陣!」日産の新型EVセダン『N7』にSNS反応、「カッコ良すぎないか」などデザイン評価
  4. ヤマハの125ccスクーター『NMAX 125 Tech MAX』が世界的デザイン賞、ヤマハとしては14年連続受賞
  5. ゴミ回収箱に人が入ることは予見不能
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. トヨタ「GRファクトリー」の意味…モータースポーツのクルマづくりを生産現場で実現【池田直渡の着眼大局】
  2. “走る巨大バッテリー”の実力! BEV+家電は悪天候でも快適に遊べる組み合わせだった
  3. BYDが「軽EV」の日本導入を正式発表、2026年後半に
  4. EVシフトの大減速、COP消滅の危機…2024年を振り返りこの先を考える 【池田直渡の着眼大局】
  5. 住友ゴム、タイヤ製造に水素活用…年間1000トンのCO2削減へ
ランキングをもっと見る