大径ホイール vs 小径ホイール、選び方のメリットとデメリット~カスタムHOW TO~

ホイールの選び方! 前後異型はアリ?ナシ?
ホイールの選び方! 前後異型はアリ?ナシ?全 6 枚

FR車でリアに太いタイヤを履かせるとか、FFならフロントを太くするなどのチューニングもある。では、実際のところは4輪共通と前後異型のどちらが良いのだろうか。

◆絶対的な正解は無い

ホイールを変える際に考えたいのが前後サイズを同じにするのか、別にするのかということ。リア駆動車だったらフロントが215幅、リアが235幅だったりすることがある。これは駆動輪であるリアを太くしてトラクション性能を高めようという狙いがある。

では、とりあえず駆動輪を太くすればいいのかというとそうとも言えないのが難しいところ。FF車の場合は多くで前後とも同じタイヤサイズ、ホイールサイズでフロントだけ太いことは少ない。同サイズにはもちろんメリットがあるし、前後異なるサイズにもメリットがある。そして気をつけるべき点もあるのだ。

◆カスタムすると何が起きる?

前後のタイヤが同じサイズであれば外径は同じ。走行中基本的に前後のタイヤの回転数は同じ。ところが外径が変わると前後タイヤの回転数が変わってくる。これは気をつけるべき点。もともと前後のサイズが違っていて、外径も異なるクルマはそれを加味してABSや車体の姿勢制御プログラムが組まれている。また、もともと前後のタイヤサイズが異なっていても外径が合わせてあって、前後タイヤの回転数が揃えてあることもある。

ところがもともと前後が同じサイズのタイヤを履くクルマで、前後のタイヤを変え、外径が変わってしまうと問題が起きやすい。常に前後タイヤの回転数がズレてしまい、それをクルマ側が感知。トラブルの警告灯が点灯したり、不意にABSが介入してしまうこともある。

現代のクルマはABSが標準装備されているが、ABSは各タイヤにそれぞれ車輪速センサーが備えられていて、その回転数からタイヤロックを検知してブレーキをリリースしたりしている。そういった制御が入りやすくなってしまうので、安易にタイヤサイズを変えるのは危険な挙動に繋がることも多いのだ。

◆デメリットだけではない

そういったデメリットもあるが、外径を揃えたりなどの対策をすれば駆動輪を太くするメリットがあるのも事実。

FF車ではフロントタイヤを太くしてグリップをアップ。リアタイヤはある程度細めのタイヤを履かせることで意図的にグリップを落とし、アクセルオンで巻き込むように向きを変えられるようにすることで、クリッピングポイントよりも手前から加速していける。FFの速いセッティングの定番的なものだ。

FRなどのリア駆動車はリアのグリップを高めることで加速時に鋭くトラクションを得ることができ、これもまた素早い立ち上がり加速に貢献してくれる。

◆それはスポーツ走行の話であって…

だが、いずれもサーキットレベルでの話。公道ではその前後グリップの差を感じ取れるほどの領域で走行することはないし危険。となると公道ではとくに駆動輪のタイヤをわざわざ太くするメリットもあまりないのである。

ちなみに過去にスーパーGT500クラスでは、リアタイヤが17インチ、フロントタイヤが18インチを使っていたことがあった。その狙いについて聞くと、17インチタイヤの方がサイドウォールが厚くタイヤが潰れやすいのでトラクションを得やすい。加速時のグリップを得やすい。

フロントタイヤはそこまで潰れる必要がなく、むしろ18インチでややシャープな特性のほうが曲がりやすいということで、前後ホイールサイズを変え、しかもリアのホイールの方が小さいという独特なセッティングになっていたのだ。

◆サイズ変更の良し悪しを天秤にかけて

そういう点から言えば、やはりタイヤが分厚い小径ホイールの方が乗り心地はマイルドでタイヤが路面を捉えやすい。だが、挙動にダルさが現れる面もあり、シャープな切れ味あるハンドリングを目指すなら大径ホイールに低扁平タイヤの魅力も大きい。

見た目にはインチアップをすることが常套手段だが、乗り心地的には不利になることが多い。そういったデメリットも理解した上でサイズ選びもしてもらいたい。

また同時に前後で異なるサイズを履かせることは先述のようにABSなどに不具合が出ることもあるので、そのあたりのノウハウを持ったお店と相談の上でタイヤとホイールサイズを選ぶようにしてもらいたい。

《加茂新》

加茂新

加茂新|チューニングカーライター チューニング雑誌を編集長含め丸15年製作して独立。その間、乗り継いたチューニングカーは、AE86(現在所有)/180SX/S15/SCP10/86前期/86後期/GR86(現在所有)/ZC33S(現在所有)。自分のカラダやフィーリング、使う用途に合わせてチューニングすることで、もっと乗りやすく楽しくなるカーライフの世界を紹介。

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