【マセラティ グラントゥーリズモ 新型】伝統を継承しながら機能も重視したエクステリア

マセラティ グラントゥーリズモ
マセラティ グラントゥーリズモ全 15 枚

マセラティジャパンは8月18日より9月18日まで全国11か所の正規マセラティディーラーにおいて新型マセラティグラントゥーリズモ』のディーラーキャラバンをスタート。それに先立ち一部メディアに事前の取材会が催された。

【画像全15枚】

◆“MC20顔”を継承したフロントマスク

日本に導入されるグラントゥーリズモの基本ラインナップは3つ。「モデナ」、「トロフェオ」、そしてBEVの「フォルゴーレ」だ。モデナ、トロフェオの価格はそれぞれ2444万円、2998万円で、日本仕様の生産は9月ごろからスタートし、11月下旬に正式発表、年内に納車が始まる予定。フォルゴーレは年内にヨーロッパ向けの生産がスタートし、来年早々に納車がスタートするとのこと。日本には来年導入予定で価格は未定である。

さて、日本においてグラントゥーリズモの訴求ポイントは3つあるという。1つはエクテリアデザイン、次にパフォーマンス、最後にラグジュアリー&コンフォートだと関係者はいう。

フロントデザインは、『MC-20』以降、『グレカーレ』などと共通した印象だ。その共通点についてマセラティのデザイナー、クラウス・ブッセ氏によると、「フロントのグリルとヘッドライトの位置関係にある」という。これは1950年代のスポーツカーに多く取り入れられた手法で、横から見るとフロントグリルが前に出ていて、ヘッドライトが少し後ろに下がった位置にあるデザインで、これを現在も踏襲しているのである。また、ドイツ車はグリルとヘッドライトを繋げるようにデザインするが、マセラティの場合は繋げずに「曲面で処理するというデザインアイデンティティを持っている」とのこと。

また、正面から見ると、フェンダーアーチとともに、ボンネット中心にもうひとつアーチを持たせていることも特徴だ。関係者によると、「フェンダーアーチとボンネットのアーチ、そしてヘッドライトのバランスには黄金比があり、それをもとにバランスがとられている」と説明。このバランスは、1954年にデビューした『A6 1500』から受け継がれているものだ。

一方、空力はCD値0.26を記録。前述の通り1950年代から受け継がれたバランスを構成しながらも、空力という機能面も重視。具体的には熱を逃がすダクトがボンネット前方に装備されており、グリルから入りラジエーターを通った空気をそこから逃がすとともに、そこからサイドに空気の流れを描くように、空力を考慮したボディラインを形成している。

◆ネットゥーノエンジンを搭載

続いてパフォーマンスでは、グラントゥーリズモはMC20などと同じ「ネットゥーノ」エンジンを搭載。これはレースマシン、『GT2』と同じエンジンでもある。GT2は630psという出力特性を備えており、この数値はMC20も同じだ。ただし、レーシングマシンとロードモデルとでは、その目的が違うためトランスミッションなどは変更はされている。このエンジンをグラントゥーリズモのコンセプトに合わせモデナで490ps、トロフェオは550psに出力特性を変更し搭載。AWDが組み合わされている。

このネットゥーノエンジンの最大の特徴は副燃焼室を備えている点にある。関係者によると、「MC20のようなスーパーカークラスだと備えていてもおかしくないが、マセラティの場合はグレカーレトロフェオ、グラントゥーリズモにも搭載し、ハイスペックモデルとしてラインナップしている」とコメント。

最後のラグジュアリー&コンフォートは、主にインテリアを指す。マセラティ初のロードカー、1954年にA6 1500のコンセプトは、モータースポーツ用のエンジンを高級車に載せるというもので、これを受け継ぎ、高級なインテリアを持つクルマにレースで使用しているエンジンを搭載しているのが新型グラントゥーリズモだ。標準装備であっても、「レザーの質感や作り込みなど、華美ではなく、シンプルながらも質感が非常に高いものを備えている」(関係者)。

また、コンフォートでは、グラントゥーリズモでは後席も備わっており、プラス2シーターではなく、4シーターとして使用できることから、「4人がきちんと乗ってドライブを楽しめる。まさに長距離を速く移動することができるコンセプトが表現されている」と語られた。

◆BEVでもマセラティ

グラントゥーリズモにはマセラティのBEV、フォルゴーレもラインナップされている。そのエクステリアはガソリンエンジンモデルと変わりはない。

一方中身はというと、「他社は電気自動車専用プラットフォームで、バッテリーという重量物をクルマの中心に置くことでクルマを安定させている。しかしグラントゥーリズモではリアのガソリンタンク部分に2つのモーターとバッテリーを組み合わせ、プロペラシャフトが通る真ん中にもバッテリーを搭載。そして、エンジン部分にモーターを配するレイアウトだ。これによって、極端な重心点移動を減らしサスペンションをきちんと使った走行が可能となり、長い距離を楽しく楽に速く走ることができるクルマというコンセプトをBEVであっても継承している」とBEVであってもマセラティらしさを失っていないことを強調した。なお、WLTPモードでの航続距離は450kmと発表されている。

《内田俊一》

内田俊一

内田俊一(うちだしゅんいち) 日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員 1966年生まれ。自動車関連のマーケティングリサーチ会社に18年間在籍し、先行開発、ユーザー調査に携わる。その後独立し、これまでの経験を活かしデザイン、マーケティング等の視点を中心に執筆。また、クラシックカーの分野も得意としている。保有車は車検切れのルノー25バカラとルノー10。

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