トヨタの国内全14工場が停止、発注システムの不具合---原因は調査中[新聞ウォッチ]

トヨタ自動車高岡工場(参考)
トヨタ自動車高岡工場(参考)全 2 枚

「サイバー攻撃によるものではないと認識している」(トヨタ自動車)との説明があったようだが、時期が時期だけに、昨年3月、仕入れ先部品メーカーが、ハッカー集団による攻撃を受けた影響で国内全工場のラインを停止するという、あの“悪夢”が再び頭をよぎった人も少なくないだろう。

◆30日朝から復帰予定

トヨタ自動車では、部品の発注を管理するシステムに不具合が発生し、必要な部品が確保できなかったため、グループ会社を含め完成車を生産する国内全14工場28ラインで稼働を停止したと発表した。ただ、きょう(8月30日)は代替システムによる部品調達のめどが立ち、朝から順次通常通りの生産体制に戻す方針だという。

きょうの各紙も、8月29日の夕刊での速報に続き、「トヨタ、国内全工場停止、システム不具合、きょう順次再開」などと取り上げている。

それによると、8月28日昼ごろに部品発注などを管理するシステムに不具合が発生したため、29日朝から元町工場やトヨタ自動車東日本の岩手工場など12工場の25の生産ラインの稼働を停止したという。

◆ダイハツ、日野も稼働を停止

さらに、組み立てに必要な部品が残っていたトヨタ自動車九州の宮田工場、トヨタ車を生産するダイハツ工業の京都工場の2工場では29日朝から通常通り稼働したものの、午後になってもシステムが復旧しなかったため夕方から稼働を停止。トヨタと共通のシステムで障害が起きた日野自動車も、国内4工場のうち2工場で稼働を止めたという。

今回のトラブルの原因は「引き続き究明する」としているが、暫定的にシステムを立ち上げ、元町工場や高岡工場はきょうの朝から稼働を開始。宮田工場とトヨタ車を生産するダイハツ工業の京都工場は午後の稼働再開になる見込みで、30日中に通常の生産規模に復旧できる見通しという。

◆2022年にも停止、トヨタ生産方式のリスク

トヨタでは2022年にも取引先の部品メーカーがサイバー攻撃を受けており、国内全14工場の生産停止は2年連続。日経は「生産回復に冷や水」との見出しで「トヨタは取引先のセキュリティー対策に力を入れてきたが、今度は自社でもシステム障害が発生してしまった格好だ。ひとたびシステム障害が発生すれば部品の供給網にも大きな影響が出ることが浮き彫りになった」と指摘する。

また、毎日も経済面トップで「生産効率化リスク露呈」との関連記事を掲載。「トヨタでは、部品などの在庫を極力減らして効率的に車両を作る『トヨタ生産方式』を確立。これまで世界トップの自動車メーカーグループを築き上げる原動力ともなっている」としながらも「部品発注システムに不具合が発生した影響で、要とも言える物流が滞り、全国の生産にまで波及するリスクを露呈する格好となった。想定外のトラブルには取引先の間にも動揺が広がった」とも伝えている。

2023年8月30日付

●トヨタ全14工場停止、発注システム不具合、きょう順次再開(読売・2面)

●損保ジャパン、取引再開社長が促す、ビッグモーターと不正の可能性認識(読売・9面)

●やめられぬ「激変緩和」ガソリン補助延長一週間で決着、支持率下落与党から圧力、1リットル170円台まで抑制案(朝日・3面)

●EV電池10万台分新工場を公開、車載大手AESC、茨城に国内最大規模(朝日・7面)

●円下落、一時147円台(毎日・7面)

●7月の新聞、ビッグモーターに関心、日本新聞協会公表(産経・24面)

●生産回復に冷や水、トヨタ、2年連続全工場停止(日経・17面)

●都版図柄ナンバープレート、10月23日に交付開始(日経・39面)

《福田俊之》

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