トヨタ中嶋副社長「CJPTを通じた商用戦略」…Season2 中西孝樹の自動車・モビリティ産業インサイトvol.4【セミナー書き起こし】

トヨタ中嶋副社長「CJPTを通じた商用戦略」…Season2 中西孝樹の自動車・モビリティ産業インサイトvol.4【セミナー書き起こし】
トヨタ中嶋副社長「CJPTを通じた商用戦略」…Season2 中西孝樹の自動車・モビリティ産業インサイトvol.4【セミナー書き起こし】全 31 枚

本稿は、2023年8月31日に開催されたセミナー「中西孝樹の自動車・モビリティ産業インサイトvol.4 トヨタ自動車 CJPTを通じた商用戦略」の全文書き起こしです。

講演者:トヨタ自動車株式会社 取締役・副社長 Chief Technology Officer 中嶋裕樹氏

モデレーター:ナカニシ自動車産業リサーチ 代表アナリスト 中西孝樹 氏

講演の後に設けられたQ&A・ディスカッションでは、CJPTの今後の発展や、商用車におけるFCEVや水素エンジンの展望など、中嶋氏の深い知見を聞くことができました。以下の動画で視聴可能ですので、ぜひご覧ください。

動画はこちらから

(書き起こし ここから)

トヨタ自動車の中島でございます。本日は貴重な時間をいただきましてありがとうございます。CJPTを通じた商用戦略について45分ほどお時間いただいてご説明いたしたいと思います。

本題に入る前に、簡単に自己紹介をさせていただきたいと思います。この写真は本年4月、トヨタ自動車の新体制での執行役員のメンバーが集まった写真でございます。

私自身は向かって右から2番目で、このメンバーですとそれほど目立ちませんが、身長185センチの大柄でございまして、皆さんもご存じかもしれませんが、社内ではジャイアンと呼ばれたり、ブルドーザーと呼ばれたりしております。

これは決して見てくれだけではなくて、仕事の進め方等も揶揄されているものだと認識してございますので、皆さんも、これからもし私に会っていただけることがあれば、ジャイアンと親しみを込めて呼んでいただければと思います(笑)。

■CJPT設立の想い

それでは本題の方に入らせていただきたいと思います。まず、CJPTの設立の想いでございます。Commercial Japan Partnership Technologies 、以下CJPTと呼ばせていただきます。

当初2021年の4月に、いすゞ・スズキ・ダイハツ・トヨタ、そこに当時は日野自動車も参画し、当時5社で設立をいたしました。

この会社の設立の目的は3点ございます。1つ目がカーボンニュートラルへの貢献。2つ目が皆様ご承知の通り2024年問題をはじめとした物流課題の解決。3つ目が、トヨタの立場から言いますと、乗用車で普及を目指しておりましたCASEの技術を、より早くお客様のお役に立てるということで、商用の方からアプローチしてみてはどうかという思いで、このCASE技術の普及という3つの柱でございます。

少し余談ですが、当時各社様のトップとお話しさせていただいた時に、私からご挨拶申し上げた時に「この活動自体は、各社様が扱っていらっしゃる商用車の台数を、結果としては減らすことになりますよ。それでも一緒に組んでいただけますか」というお言葉をかけた時に、各社トップの皆様が言われたのは、「何を言ってるんだ。そんなことはもう百も承知だ。これからはそういう時代。各メーカーが力を結集してCASE技術を普及し、さらにはカーボンニュートラルでお客様のお役に立たなければならない」という強い志をいただき、本当にこの設立趣旨の通り、各社の思いが一致し、このCJPTが発足したということでございます。

カーボンニュートラルについては、今まではお客様、例えば大きな輸送会社等の事業主の皆様、経営トップの皆様は当然のことながら喫緊の課題であるというご認識がおありです。

ただ最前線の現場に行きますと、いかにして効率よく物流するか、収益を上げるか、これも一方で重要な課題であるということで、各社様とも言葉を選ばずに言うならば、経営トップ層と現場との乖離が少し始まっていた時期ではなかろうかと思います。

これは、当社トヨタ自動車の中でも全く同じで、カーボンニュートラルを唱えるものの、各車両のカンパニーのプレジデント、私もその一人であったんですが、車両を開発する側からすると、やはり収益といったことが非常に重要な要素になってくる。

これらのギャップを埋めること自体が、このCJPTの期待値ではないかというふうに改めて想いを致した次第でございます。各商用車メーカーの皆さんも、通常はお客様と対峙する時に、メンテナンス費用はいくらだ、それから次の新しいモデルチェンジはいつになるんだ、こういった車を中心とした課題が全てでございましたけれども、経営トップが抱えているカーボンニュートラルという議論に対して、なかなか直接議論する場がなかった、というのが実態だとお聞きしております。

CJPTを発足後、本当にありがたい話で、たくさんの会社様からCJPTの活動のみならず、商用におけるカーボンニュートラルはどういうソリューションがあるんだ、というたくさんのお問いかけをいただくことになりました。

そういうこともあり、我々通常はコンペティター同士であるカーOEMは、結束し、商用でCASEを普及させよう、さらにはカーボンニュートラルを実現しようという想いが、この枠のみならず、様々な産業の方々、特に事業主の皆様方も、一緒にやってやろうじゃないかというようなお声かけをいただき、一部はGI基金(グリーンイノベーション基金)をいただきながら、東京・福島のプロジェクトという形で進化・発展してまいりました。

今日はこのCJPTの活動を通じた我々の物流に対する取り組みだとか、ひいてはカーボンニュートラル、さらには水素社会に向けてどのようなアプローチをしているかといったことをご紹介し、皆様と議論できればと思ってございます。


《佐藤耕一》

日本自動車ジャーナリスト協会会員 佐藤耕一

自動車メディアの副編集長として活動したのち、IT企業にて自動車メーカー・サプライヤー向けのビジネス開発を経験し、のち独立。EV・電動車やCASE領域を中心に活動中。日本自動車ジャーナリスト協会会員

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