<新連載>[カーサウンドコンテストって何?]日本で広まったのは90年代初頭、状況を振り返ると…

「カーサウンドコンテスト」の1つ、「ハイエンドカーオーディオコンテスト(2023年9月開催)」の会場風景。
「カーサウンドコンテスト」の1つ、「ハイエンドカーオーディオコンテスト(2023年9月開催)」の会場風景。全 3 枚

カーオーディオシステムの性能の高さを競う、「カーサウンドコンテスト」が日本各地で開催されている。当特集では、これが何なのか、そしてこれに参加する楽しさまでを紹介していこうと試みている。今回は、黎明期の状況を振り返る。

◆アメリカでブームとなった「IASCA」が、海を越えて日本に上陸!

さて、「カーサウンドコンテスト」は実は、アメリカが発祥だ。1980年代の後半に、アメリカにて『IASCA(アイアスカ)』と呼ばれる「カーサウンドコンテスト」が開催されるようになり、カーオーディオがブームとなる。ちなみに「IASCA」とは、「インターナショナル・オート・サウンド・チャレンジ・アソシエーション」の略称だ。

これが90年代に日本へと持ち込まれた。持ち込んだのは、アメリカンブランドの「ロックフォード・フォズゲート」等を日本に紹介した現「イース・コーポレーション」(当時の社名は今とは異なる)だ。当時の同社代表がカーオーディオ文化を日本に根付かせようと考え、この開催に踏み切った。そしてこれが話題となり、後には協会も作られ「IASCA」は日本においても1人歩きする。

ちなみにその頃にはちょうど、カーステレオが変革期に入っていた。80年代はカーステレオのスピーカーはリアトレイに置かれることが多かった。しかしこの頃になると、純正スピーカーがドアに装着されるクルマが増えてくる。

なおステレオは本来、スピーカーと対面して聴くものだ。コンサートに行っても、音楽は前方のステージから聴こえてくる。しかしクルマでは、音楽は後ろから聴こえていたのだ。だが、ようやく車内でも音楽が前方から聴こえてくるようになり…。

「カーサウンドコンテスト」の1つ、「ハイエンドカーオーディオコンテスト(2023年9月開催)」の会場風景。「カーサウンドコンテスト」の1つ、「ハイエンドカーオーディオコンテスト(2023年9月開催)」の会場風景。

◆90年代の「カーサウンドコンテスト」シーンでは、プロが切磋琢磨して腕を磨いた!

このようにクルマの中のステレオ再生環境が良化したことも、「カーサウンドコンテスト」が普及する追い風ともなった。だからこそ、音の良さを競えるようにもなったのだ。

ところで「IASCA」では、審査はサウンドとインストールの両面にて行われた。しかも、それぞれでルールが定められていて、サウンド審査ではどのような聴こえ方であると良いのか、インストール審査でもどのような取り付け方が高得点を得られるのかがルールブックに明記されていた。

結果、参加者は何を目指せば良いのかが分かりやすく、競技としても公平感があった。そこも普及した要因の1つとなった。

そして参加者たちは競技に勝つということをモチベーションに、取り付け技術とサウンドチューニング技術を切磋琢磨して磨いていった。また、競技会の会場は情報交換の場ともなった。というわけで90年代の「カーサウンドコンテスト」シーンは、ユーザーが楽しむ場所というよりも「カーオーディオ・プロショップ」が腕を磨き合う場所という色彩が濃かった。

「カーサウンドコンテスト」の1つ、「ハイエンドカーオーディオコンテスト(2023年9月開催)」の会場風景。「カーサウンドコンテスト」の1つ、「ハイエンドカーオーディオコンテスト(2023年9月開催)」の会場風景。

◆「音圧」の大きさを競うコンテストも流行し、それにても技術が高められた!

ところで90年代には、「低音ブーム」も起こっている。サブウーファーを多発搭載し、そしてそれらを大音量で鳴らし重低音の迫力が楽しまれるようにもなっていた。

そして、カーオーディオシステムの再生能力の高さを「音圧」という側面にて競い合う「音圧競技」も盛んに開催されていた。

なお「音圧競技」は日本では2000年代に入ると衰退してしまうのだが(海外では今も実施されている)、90年代には相当に盛り上がり、多くの「音圧フリーク」たちが競技会に情熱を持って参加した。

ちなみに「音圧競技会」も、カーオーディオ機器の取り付け技術の向上に大きく寄与した。「音圧」を稼ぐには、スピーカーの取り付け方やシステムの組み方、そして電源の強化に至るまで理論を理解し技術を駆使する必要がある。なのでこれもまた、カーオーディオ文化の発展に大きく寄与した。

ところで90年代の後半には、新たな「カーサウンドコンテスト」がスタートし、シーンに大きな影響を及ぼすこととなる。その詳細は次回の記事にて解説していく。

《太田祥三》

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