「S/N」って何? 音の良し悪しを言い表す言葉…キーワードから読み解くカーオーディオ

高度なシステムが搭載されたオーディオカーの一例(製作ショップ:サウンドウェーブ<茨城県>)。
高度なシステムが搭載されたオーディオカーの一例(製作ショップ:サウンドウェーブ<茨城県>)。全 4 枚

カーオーディオに関する資料や記事を読み進めると、専門用語が多々目に入る。それらがビギナーを困惑させることとなる。当シリーズではその払拭を目指し、それらの意味を1つ1つ説明している。今回からは、「音の良し悪しを表す言葉」に焦点を当てる。

◆「S/N」とはスペックの1つ。再生音の中の「信号」と「雑音」の割合を表す!

製品の試聴記事を読んだり「カーオーディオ・プロショップ」で製品の音を聴いたりしたときに、聴こえてくるサウンドの印象がさまざまな言葉で言い表される。それらを見たり聞いたりしたときに、意味が分かりにくいと感じたことはないだろうか。または、言葉としては意味が分かるものの、音としてはどのような状態のことを指しているのかが分かりにくいと感じる場合もあるだろう。今回からは、そのようなワードの意味を説明していく。

では本題に入ろう。まず当回では、「S/N」というワードを取り上げる。なお当ワードは、「外部パワーアンプ」等のカーオーディオユニットのカタログの、「仕様」とか「主な定格」と記された表の中にも登場する。つまり「S/N」は、音響機器の性能を表すスペックの中の1つでもある。

で、スペックとしての「S/N」の意味は以下のとおりだ。ここでいう「S」は「シグナル(信号)」のことを指し、「N」は「ノイズ(雑音)」のことを指す。よって「S/N」とは、音楽を再生したときに聴こえてくる音の中の「信号」と「雑音」の比率を表したもの、ということになる。

高度なシステムが搭載されたオーディオカーの一例(製作ショップ:サウンドウェーブ<茨城県>)。高度なシステムが搭載されたオーディオカーの一例(製作ショップ:サウンドウェーブ<茨城県>)。

◆スペックとしての「S/N」は、数字が大きい方が優秀!

なお「S/N」の単位には、「dB(デシベル)」が使われる。で、「N」が分母に来るわけなので、数字が大きい方が「シグナル」の比率が高いということになる。すなわち数値が大きいほど、音響機器としては優秀だ。この数値を持って即、性能の良し悪しを判断することはできないが、1つの指針とはなり得る。

さて、カーオーディオシステムの音を聴いたときにも「S/N」が良い、とか「S/N」が高い、と表されることが結構多くある。これは何を意味するのかというと…。

これはつまりは、「聴感上でノイズ感が少ない」という意味だ。ただし、実際に明らかに「ノイズ」が聞こえることはほとんどない。もしもはっきりと雑音が聞こえてくるようならそれは、どこかで故障等のトラブルが起きているか何かの設定が間違っているかのいずれかだろう。

なので「S/N」が良いと表現される際には、「ノイズ」そのものが聞こえるか否かが言われるのではない。「よりクリアだ」というニュアンスで使われる。

もう少し具体的に説明しよう。高性能なシステムで音楽を聴くと、無音のときに「静けさ」を感じたり、各楽器の音の分離感が良かったり、1音1音の粒立ちが良かったり、音と音の間の空間を感じ取れたりする。このような印象を感じ取れたとき、それはつまりは「ノイズ」が少ないからだろうと推測できる。かくしてこのような聴こえ方がするときに、「S/N」が良いとか「S/N」が高いと称される。

高度なシステムが搭載されたオーディオカーの一例(製作ショップ:サウンドウェーブ<茨城県>)。高度なシステムが搭載されたオーディオカーの一例(製作ショップ:サウンドウェーブ<茨城県>)。

◆高性能なシステムを積んだクルマの音を聴いて、「S/N」が高い音を体験すベシ!

なので機会があれば、高度なシステムを積んだショップデモカーやメーカーデモカー、あるいはサウンドコンテストで上位に入ったことがあるようなクルマの音を聴いてみよう。そういったクルマのシステムでは、自分が聴き慣れた音源を再生したときに、演奏の途中のブレイク時に静けさを感じたり、音と音の間の空間を感じ取れたり、各楽器の音がしっかりと分離されていると思わせられるはずだ。そのように感じられたらそれはまさに、「S/N」が高いがゆえだ。

なお聴感上の「S/N」感は、システムの完成度の高さを推し量ろうとするときに非常に重要なポイントとなる。なぜならば、「S/N」感が高いと結局のところ、リアリティが増し楽曲の感動力も高まる。「S/N」が高いか否かは、サウンドの完成度に大きな影響を及ぼすのだ。

というわけなので、今後愛車のシステムをバージョンアップさせたりサウンドチューニングを煮詰めたりする際には、「S/N」が上がったかどうかに着目しよう。そうすると、良い結果が出ているのか否かが分かりやすくなる。参考にしてほしい。

今回は以上だ。次回も「音の善し悪しを表す言葉」について解説していく。お楽しみに。

《太田祥三》

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