みんな乗るべし! WHILLの次世代電動車椅子は楽しいぞ…ジャパンモビリティショー2023

WHILL社員の方によるWHILLのデモ走行。
WHILL社員の方によるWHILLのデモ走行。全 7 枚

人もまばらなプレスデー初日のジャパンモビリティショー2023会場内を、イスに座ったままで、すぅーっと移動している記者がいる。何あれ? 羨ましい。

ジャパンモビリティショーの会場となっている東京ビッグサイトは広い。端から端まで移動するのは、時間も体力も消耗する。あの電動車椅子みたいなのは、会場のサービスなのだろうか? どこで借りられるのだろう?

それがWHILL(ウィル)株式会社の次世代電動車椅子だった。

◆電動車椅子の操縦性は意外にもクイック

WHILLの電動車椅子のことはなんとなく知っていたが、実際に動いているのを見るのは初めてだった。それも高齢者や身体障害者ではなく、健常者が便利な近距離モビリティとして使っているのを見ると、興味が湧いてくる。自分もあれに乗ってみたい。あれで広い会場内をスイスイと移動してみたい。

プレスデー2日目に、WHILLのプレスカンファレンスがあったので駆けつけてみた。今回の発表内容はWHILLの次世代電動車椅子を近距離モビリティとして、誰でも気軽に使えるようにしたいというものだった。

世界の歩行困難者、高齢者の数はどんどん増えて2億人に達しようとしている。その人たちのために、テーマパークなどの広い施設内の移動手段としてWHILLの電動車椅子を借りられる「WHILL SPOT」を設置していくというものだ。

遊園地などでよくある、せっかく一緒に行ったのに祖父母はベンチに座って待っているだけ。一緒に楽しむことができない。そういったギャップを解消する手段としてWHILLの機器を提供していきたいというものだ。

スマホ用のレンタルアプリを使えば、簡単に機器の予約も行える。最近は、電動アシスト自転車や電動キックボードのレンタルサービスが普及しつつあるが、それと似たコンセプトながら、電アシなどが地域から地域へ、Point to Pointなサービスの面があるのに対して、施設内や地域内で使用して使い終わったら、そこで返すというスタイルになるという。

今回のジャパンモビリティショーでも、WHILLを多くの人に体験してもらうため、会場内にWHILL SPOTを2か所、10台ずつ設置し、自由に利用できるように貸し出しを行う。

さらに、付近のお台場エリア一帯にも4か所のWHILL SPOTが設置され、無料で借りてエリア内を自由に移動でき、同エリア内であればいずれのWHILL SPOTでも返却可能だ。用意される機器は後述のオムニホイールを備えたプレミアムモデル「WHILL Model C2」だ。

◆歩行困難な人のために健常者も使うべき

筆者も会場内のWHILL SPOTで借りてみたかったが、ジャパンモビリティショーに滞在できる時間はすでに予約がいっぱいだったので、プレスカンファレンスの後に少し乗らせてもらった。

右のアームレストに付いたボタンとジョイスティックで前後左右に自在に移動できる。前輪は、1つの車輪の中で横方向に回る複数の小さな車輪が組み込まれた「オムニホイール」という仕組みによって、5cmの段差を超える悪路走破性と半径76cmという小回り性能を実現している。

最高速度6km/h以内とはいえ加速も俊敏で、とても高齢者向けとは思えないクイックな操縦性だった。高齢者や障害者だけでなく、我々健常者も使いたくなる楽しく便利なモビリティだ。これは健常者も普通に使う方向にしていくべきではないだろうか。

WHILLの抱える問題のひとつに、ターゲット層の高齢者が「電動車椅子に頼ると歩けなくなってしまうのでは」などと不安がることにあるという。実際には、WHILLを使って歩けなくなることはないそうだが、多くの人は保守的なこともあって周囲で使っている人がいないと、自分から率先して使う気にはなりにくいだろう。

対象者を歩行困難な人に絞らず、普通の人が気軽に使う近距離モビリティとして普及させたほうが、本来の対象者にとっても気持ち的に利用しやすいものになるのではないだろうか。

一般の人が利用するようになると、用意できる機器の数が足りなくなるなど課題はあるだろうが、行政など公の力も借りて世の中に普及させられたら、誰にとっても優しい社会に向けて一歩前進できると思うのだ。

《根岸智幸》

メディアビジネスコンサルタント、ソフトウェアエンジニア、編集者、ライター 根岸智幸

メインフレームのOSエンジニアを皮切りに、アスキーで月刊アスキーなど15誌でリブート、リニューアル、創刊を手がける。クチコミグルメサイトの皮切りとなった「東京グルメ」を開発し、ライブドアに営業譲渡し社員に。独立後、献本付き書評コミュニティ「本が好き!」の企画開発、KADOKAWA/ブックウォーカーで同人誌の電子書籍化プロジェクトなど。マガジンハウス/ananWebなどWebメディアを多数手がけ、現在は自動車とゲーム、XRとメディアビジネスそのものが主領域。 ・インターネットアスキー編集長(1997-1999) ・アスキーPC Explorer編集長(2002-2004) ・東京グルメ/ライブドアグルメ企画開発運営(2000-2008) ・本が好き!企画開発運営(2008-2013) ・BWインディーズ企画運営(2015-2017) ・Webメディア運営&グロース(2017-) 【著書】 ・Twitter使いこなし術(2010) ・facebook使いこなし術(2011) ・ほんの1秒もムダなく片づく情報整理術の教科書(2015) など

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