自動車ソフトウェアの専門イベント「オートモーティブ ソフトウェア エキスポ」がEdgeTech+2023の企画展として初開催…11月15日~17日

「EdgeTech+2023」は11月15日-17日、横浜パシフィコで開催される。「オートモーティブソフトウェアエキスポ」も同時開催
「EdgeTech+2023」は11月15日-17日、横浜パシフィコで開催される。「オートモーティブソフトウェアエキスポ」も同時開催全 24 枚

社会課題・インフラを支えるエッジコンピューティングとそのソリューションを情報発信する総合展示会「EdgeTech+」(主催:組み込みシステム技術協会)が、横浜パシフィコにおいて、11月15日~17日の日程で開催される。今年は自動車関連の専門展も加わって規模を大幅拡大。その見どころを探った。

◆前年を上回る300社が出展、多数のセミナーも開催

「EdgeTech+」は1986年に「MST ( Microcomputer System & Tool Fair )」 としてスタートしたもので、2002年の組込み総合技術展 (Embedded Technology Expo) への改名や2015年からのIoT総合展の併催を経て規模を拡大。2021年よりエッジテクノロジーを核としたソリューションを情報発信する総合展示会として進化したものだ。

同イベントを企画・推進するナノオプト・メディアによれば、回を重ねるごとに出展社数は増加の一途をたどっており、今年は前年の266社を上回る300社が出展。中でも新規出展が118社にものぼることは、エッジコンピューティングの領域に対して社会の関心度が高まっている結果だと言えるだろう。

それだけに今年は横浜パシフィコのすべてのフロアを使用。さらにセミナーも行われることから、今回は初めてアネックスホールまでも利用する形で開催される。

「EdgeTech+2023」の開催コンセプト「EdgeTech+2023」の開催コンセプト

◆初開催の「オートモーティブ ソフトウェア エキスポ」

そんな中で見逃せないのが、今年から新企画として加わった「オートモーティブ ソフトウェア エキスポ」である。

これは今、自動車開発において大きな注目を集めているSDVに向けた自動車開発とソフトウェア技術の専門イベントとして開催されるものだ。すでに自動車開発の現場では、事業変革というキーワードが浸透しており、SDVはその先端を行くものとして捉えられている。このイベントも、そこにスポットを当てた内容となっているわけだ。

家電や携帯(スマホ)のゲームチェンジャーだった日本は、今や置いて行かれてしまった感が否めない。その意味で「自動車産業には最後の砦として頑張ってほしいし、当イベントとしてもそれに役立つ新たな提案を送り続けていきたい」と主催者は話す。

たとえば、先日のジャパンモビリティショー2023では多くのコンセプトカーが出展されたが、開発者にとってはそれを実際にどうやって作るのかが大きな課題となる。そのために開発者はどんなツール、方法論を使えばいいのか、あるいは支援する会社どう関わればいいのかを知りたいわけで、「オートモーティブ ソフトウェア エキスポ」ではそういった開発者を支援する、ソフトウェアにフィーチャーしたB2B向けイベントとなることを目指す。

実は、自動車に関連するB2Bイベントはいくつか存在するが、ソフトウェアにフォーカスした展示会はこれまでになく、「オートモーティブ ソフトウェア エキスポ」が唯一になるだろうと主催者は話す。それだけに用意されるコンテンツも盛りだくさんで、特にセミナーは3日間の会期中にソフトウェアに特化したプログラムだけでも34セッションを予定。これに関連する出展も40社を超えている。

中でも自動車メーカーとサプライヤーからゲストを招いて開催される基調講演には注目したい。テスラモーターズジャパンやトヨタ自動車、デンソーといったSDVの領域で最先端を行くキーパーソンが講演し、そこではそれぞれの会社の立場でSDVに対する考え方を聞くことができる貴重な機会だ。

「オートモーティブソフトウェアエキスポ」では、SDVに関する基調講演が多数開催される「オートモーティブソフトウェアエキスポ」では、SDVに関する基調講演が多数開催される

さらに海外からはマイクロソフトやボッシュのソフトウェア開発者が登壇し、最先端の現場の声を聞くことができる。他にも分科会としては24のセッションが予定され、展示物と合わせSDVに関連したコンテンツを一括して見ることができる貴重な機会となることだろう。

「オートモーティブソフトウェアエキスポ」では、SDVに関する基調講演が多数開催される「オートモーティブソフトウェアエキスポ」では、SDVに関する基調講演が多数開催される

◆生成AIの活用ゾーンをいち早く用意

一方で、メインとなっている展示会「EdgeTech+」はどうか。エッジテクノロジーを核としたソリューションを情報発信する従来からのテーマに加え、新たに「生成AIの活用ゾーン」を用意したのが大きな特徴となる。基調講演もこれに合わせて生成AIに関するテーマが増えた。これはもう少し先の時点で振り返った時、2023年は“生成AI元年”だったと言えそうな状況になってきたのではないだろうか。

「EdgeTech+」で開催されるイベント。生成AI活用ゾーンに注目!「EdgeTech+」で開催されるイベント。生成AI活用ゾーンに注目!

また、歴史的なCPUを展示して前回も人気だった「チップMUSEUM-mini+-」の続編を開催することが決定。今回は規模を倍にして出展数も大幅に増やして見応えのある内容にしているという。具体的には、昨年展示したマイクロプロセッサ誕生からの30年展の内容を充実させることに加え、周辺チップを含めたプロセッサファミリーやボードなども独断と偏見で選りすぐり展示する計画だそうだ。

もちろん、「EdgeTech+」で開催されるカンファレンスは、4分野の基調・特別講演のほか、テーマ別セッションを3日間にわたって合計150セッションを展開する充実ぶり。基調講演ではマイクロソフトやAWS、ソラコムといった、生成AIで最先端を行く会社の技術者が語る内容にも注目だ。その他、2回目の開催となるDX社会実現へ向けた画像認識・解析AI技術を集めた「ビジョンAIエキスポ」も見逃せないだろう。

また、会期中は出展社と気軽にコミュニケーションを取り合える「EdgeTech+フェスタ」を開催する。

◆各部門ごとに出展物の優秀賞も決定!

「EdgeTech+」では、各出展に対するアワードの授与も行う。受賞したのは「Edge Technology」「IoT Technology」「オートモーティブソフトウェア」「AI/生成AI」の各部門。この日の事前説明会では、その優秀賞が紹介された。表彰式は11月16日16時15分より、展示会場内センターステージで行われる。

【オートモーティブソフトウェア】優秀賞
MathWorks Japan「RoadRunner Scenario」

【オートモーティブソフトウェア】優秀賞MathWorks Japan「RoadRunner Scenario」【オートモーティブソフトウェア】優秀賞MathWorks Japan「RoadRunner Scenario」

マウス操作で車両や歩行者の配置や動作(軌跡)、車線変更などを指定し、ADAS(高度運転支援システム)やAD(自動運転)向けテストシナリオを作成するツール。高い技術力で裏付けされており、自動車エンジニアにも馴染みがある開発ツールMATLAB/SimulinkやオープンソースのシミュレータCARLAとの連携機能を備え、その使い勝手の良さも評価された。

【オートモーティブソフトウェア】優秀賞
Foretellix「Foretify」

【オートモーティブソフトウェア】優秀賞Foretellix「Foretify」【オートモーティブソフトウェア】優秀賞Foretellix「Foretify」

自動運転(AD)や先進運転支援システム(ADAS)の質を確認(ベリフィケーション)し、プロセスの妥当性を確認する(バリデーション)ことに欠かせないシナリオの自動作成を行い、そのシナリオ上で不具合を生じさせるシーンを自動的に探索できるテストツール。制約付きテスト生成の手法は以前から存在するが、AD/ADASへの適用に焦点を当てた点を評価した。

【Edge Technology】優秀賞
スタッフ「メタシンクアンテナ」
金属の筐体に取り付けた状態でも高い性能を実現できる無線アンテナ。コンテナや輸送機械、建設機械、足場といった金属体に取り付けたときに、アンテナの感度が低下する問題に対応した。

【Edge Technology】優秀賞
ファナティック「真空コンピューターSealed Edge」
腐食性ガスや液体、粉塵に接したり囲まれたりした厳しい環境で使える産業用コンピューター。ネーミングはインパクトがあり、企画力とともに、ブランディングの意味でも優れているとも評された。

【IoT Technology】優秀賞
加賀FEI「EJ5340」
ARMのCortex「M33」ベースのプロセッサを2つ搭載し、それぞれでアプリケーションとネットワークの処理を実行可能とした無線通信モジュール。サイズをコーヒー豆大とし、ホスト用マイクロコントローラを不要にした。

【IoT Technology】優秀賞
キーサイト・テクノロジー「IoT Security Assessment」
無線レイヤーからアプリケーション・レイヤーにわたって、IoT機器のセキュリティチェックの自動化が可能なテストツール。BluetoothやWi-Fi、Ethernetを利用した通信に対応し、既存の方法と比べて作業工数や運用コストの低減にもつながる

【AI/生成AI】優秀賞
エクスモーション「CoBrain」
生成AIを活用して要求仕様の作成とレビューを支援するサービス。これまでコンサルタントの手に頼っていた部分の工数や、専門知識を持つ人材の育成に要した時間削減につなげる。タイムリーなリリースにも注目が集まった。

《会田肇》

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