デンソー、熱マネ・半導体・ソフトウェアに注力し“モビリティ社会のティア1”へ…DENSO DIALOG DAY 2023

デンソー 代表取締役社長・Chief Operating Officer 林新之助氏
デンソー 代表取締役社長・Chief Operating Officer 林新之助氏全 14 枚

デンソーは11月15日に「DENSO DIALOG DAY 2023」を開催し、2025年から30年に向けた事業計画の概要を発表した。同社の電動化シフトの具体策と新事業に注目し解説する。


◆デンソー新事業と3つの取り組みテーマ

発表は、林新之助新社長による新体制での経営方針や事業領域、新技術への取り組みを確認する意味もあった。林社長は、社会の変化を、低炭素から脱炭素(カーボンニュートラル)、グローバリゼーションから多様化(マルチソリューション)、大量生産・消費から最適生産・消費(サーキュラーエコノミー)、ハードからハード×ソフト(統合システム)と捉え、自動車業界で培った技術を生かし、課題解決に臨むとする。

新体制では、自動車技術をコアとして安心・環境の領域に事業を拡大するという。具体的には、電動化、先進安全技術(ADAS/AD)に加え、エネルギー、FA、さらに食農へと活動の場を広げ、モビリティ社会に貢献する。これを林社長は「自動車業界のティア1からモビリティ社会のティア1へと進化する」と表現した。

上記5つの領域について、それぞれの取り組みは次の3つに分類される。

1:モビリティの進化
2:基盤技術の強化
3:新価値創造

◆要は熱マネ・半導体・ソフトウェア

モビリティの進化は、電動化主軸に、インバーターの性能効率アップや電動化ニーズに対応する高電圧システムやエネルギーマネジメント(熱マネジメント)を強化する。ものづくりの体制として機能集約とDXを推進して開発期間の短縮(2分の1)、欧州、北米、中国、日本、アジアの5極体制で供給網を確立させる。ADAS/AD領域では、HMI技術をクラウド・インフラ連携させ、センサー技術の強化とあわせて広範囲なパッケージソリューションを用意する。事業規模は2025年5200億円、30年で1兆円の売り上げ高を目指す。2022年には25年の売り上げ目標が5000億円だったが、23年の目標は200億円ほど引き上げられている。

電動化・エネルギー事業など自動車依存からモビリティに軸足を移していく

基盤技術は、モビリティの進化を要となる半導体技術とソフトウェア技術の向上を目指す。2030年までに5000億円の投資を行い、2035年には現状の3倍となる7000億円まで事業規模を拡大する。SoCやASICはこれまで同様に内製開発と蓄積資産を生かし、高付加価値化する。電動パワートレインでのニーズ増が見込エルパワー半導体は、SiCの投入、高品質ウェハーの製造、供給体制をつくる。ウェハー製造については、コヒーレント社への出資などパートナー戦略でコストと安定供給を狙う。

半導体とソフトウェアでモビリティ市場をささえる

もうひとつのソフトウェア分野は、幅広い車載ソフトウェアの蓄積(ライブラリ)を生かし、クロスドメインプラットフォーム(大規模統合ECU)の実現を目指す。大規模統合ECUは、主要OEMが進めるビークルOSに対応するべく開発を進める。開発ツールやセキュリティツールなどもそれに対応できる一気通貫での開発体制を構築する。

クロスドメインプラットフォーム化するECU:大規模統合ECUはSDV時代のアーキテクチャ

《中尾真二》

テクノロジージャーナリスト・ライター  中尾真二

アスキー(現KADOKAWA)、オライリー・ジャパンの技術書籍の企画・編集を経て独立。現在はWebメディアを中心に取材・執筆活動を展開。インターネットは、商用解放される前の学術ネットワークの時代から利用し、ネットワーク、プログラミング、セキュリティについては企業研修講師もこなす。エレクトロニクス、コンピュータのバックグラウンドを活かし、自動車業界についてもテクノロジーを中心に取材活動を行う。

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