どうなる!? 2024 年の自動車業界…スズキマンジ事務所 鈴木万治氏[インタビュー]

どうなる!? 2024 年の自動車業界…スズキマンジ事務所 鈴木万治氏[インタビュー]
どうなる!? 2024 年の自動車業界…スズキマンジ事務所 鈴木万治氏[インタビュー]全 1 枚

来たる 12 月 20 日、オンラインセミナー「【独り大喜利】どうなる!? 2024 年の自動車業界~電動化頭打ち自動運転暗礁乗り上げからの動向予測~」が開催される。

セミナーに登壇するのは、スズキマンジ事務所 代表(株式会社デンソー 技術企画部CX)の鈴木万治氏。今回のセミナーは以下のテーマで進められる。

1.ファクトでふりかえる 2023 年の自動車業界
2.2023 年の注目トピック
3.現実をみた電動化へ
4.2024 年の自動車業界動向予測
5. 質疑応答

講演の後には、参加者からの質疑応答の時間が用意されている。
セミナーの詳細はこちらから。

セミナーに先立ち、今回のセミナーの見どころを鈴木氏に聞いた。

■ EV の普及は足踏み状態

---:2023 年の自動車業界の振り返りということですが、セミナーのテーマとしては電動化と自動運転が挙げられていますね。

鈴木:そうですね。まず電動化の話からしますと、2023 年はバッテリーEV(BEV) の普及が足踏み状態になりました。中国を含め、世界的に販売台数は下がってはいないのですが、伸びは頭打ちになっています。

一方で、選択肢としての PHEVの価値が上がってきました。私は以前から言っていますが、それがだんだん中国でも見えてきました。どうやれば現実的に電動化(脱炭素)が進むのかということで、風向きが変わってきたということです。

---:EV 販売の伸び率が鈍化してるんですよね。

鈴木:そうですね。相変わらず売れてはいますけど、伸びが鈍ってきたってことです。22 年と 23 年では明らかに違うことがポイントです。イノベータ理論で言う、十数パーセントのアーリー・アダプターの購買者層を結構食いつくして、アーリー・マジョリティの間にある「キャズム」に陥ってしまい、足踏み状態に近くなっていると考えると理解できます。

■ 政治的な駆け引きも影響

鈴木:最近中国が黒鉛(グラファイト)の輸出制限を予告しました(*)。現状でも、電池の原材料は中国に多くを依存しています。そんな中で巨大なリチウムイオン電池を大量に作り続けられるのか、という材料調達の安全保障上の懸念もありますね。

* 中国商務省と税関総署は、以前より予告していた一部の黒鉛の輸出規制を 12 月 1 日に発動した。

---:EU が中国の EV 補助金のことを言い出したタイミングで、中国が黒鉛云々って言い出しましたね。

鈴木:そうですね。しかも黒鉛は中国産のシェアが半分以上で、かつ電池のカソード材料として大量に必要な材料なので、黒鉛を止められると、レアアースやリチウムと同等かそれ以上に、厳しいとも言えます。

---:致命的な影響が出ますね。


《佐藤耕一》

日本自動車ジャーナリスト協会会員 佐藤耕一

自動車メディアの副編集長として活動したのち、IT企業にて自動車メーカー・サプライヤー向けのビジネス開発を経験し、のち独立。EV・電動車やCASE領域を中心に活動中。日本自動車ジャーナリスト協会会員

+ 続きを読む

アクセスランキング

  1. 世界初の「破壊不可能ホイール」って何だ!? テスラ向けパーツ手掛ける米メーカーが開発
  2. 待望の新型スズキ『GSX-R1000R』が予告なしの初公開!「3色3様」往年のレーシングカラーで日本市場復活へ
  3. 「ミニGSX-R」をスズキがサプライズ発表!? 鈴鹿8耐マシン以上に「サステナブルかもしれない」理由とは
  4. 【ダイハツ ムーヴ 新型】「ポッキー入れ」にイルミネーション、軽自動車でも質感を“あきらめさせない”インテリアとは
  5. 「盤石シャシー」に「戦甲車体」採用、ワイルドすぎるオフロードSUVが1時間で9700台受注の人気に
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. 「AIディファインド」の衝撃、日本の自動車産業は新たな波に飲み込まれるのか…アクセンチュア シニア・マネジャー 藤本雄一郎氏[インタビュー]
  2. ステランティスの水素事業撤退、シンビオに深刻な影響…フォルヴィアとミシュランが懸念表明
  3. スズキ初のBEVはなぜ「軽EV」じゃない?『eビターラ』開発者が語る「EVの悪循環」と「スズキの強み」
  4. SUBARUの次世代アイサイト、画像認識技術と最新AI技術融合へ…開発にHPEサーバー導入
  5. ブレンボが新ブレーキ開発、粒子状物質を削減…寿命も最大2倍に
ランキングをもっと見る