外部パワーアンプの「出力」は大きい方が高性能?…キーワードから読み解くカーオーディオ

市販「外部パワーアンプ」の一例(フォーカル・FPX 4.800)。
市販「外部パワーアンプ」の一例(フォーカル・FPX 4.800)。全 3 枚

カーオーディオ機器についてリサーチをかけると、専門用語を多々目にする。当連載ではそれらの意味を1つ1つ解説しながら、カーオーディオをより身近に感じていただこうと試みている。今回は「外部パワーアンプ」のカタログスペックの1つである、「出力」について説明する。

◆「外部パワーアンプ」の「出力」は、クルマのエンジンの「馬力」と同じ!?

さて「出力」は、「外部パワーアンプ」のカタログのスペック表の上の方に記載されている場合が多い。つまりスペックの中でも、重要度が高いものの1つだ。

で、「出力」とは何なのかというと……。これは、クルマでいうところの「馬力」のようなものだ。または、「排気量」のようなものでもある。つまりざっくり言って、その「外部パワーアンプ」の「中心回路によって生み出される力の大きさ」を表すものだ。単位は「W(ワット)」だ。

なお「出力」は、2タイプある。1つが「定格出力」で、もう1つが「最大出力」だ。で、この2つは別モノだ。なのでこれらを混同するのはNGだ。

これらの違いは以下のとおりだ。「定格出力」とは、「設定された歪み率以内で連続的に取り出せるパワー」を表し、「最大出力」は「瞬間的に定格出力を越えて取り出せるパワー」を表す。

かくして「外部パワーアンプ」のパワーの大きさを比べようとするときには、どちらか一方だけを比べるように習慣付けたい。ちなみに、「定格出力」が比べられることの方が多い。「最大出力」はイレギュラーな値という性格が濃く、「定格出力」の方が実用に即した値と言えるからだ。

なお、問題とされるのは1chあたりの「定格出力」だ。例えば「4chパワーアンプ」であれば「50W×4」と表記されるので、合計すれば「200W」を出力できるわけだが、合計値が取り沙汰されることはほとんどない。この場合、このモデルのことは「50Wのアンプ」として認識される。

市販「外部パワーアンプ」の一例(フォーカル・FPX 4.800)。市販「外部パワーアンプ」の一例(フォーカル・FPX 4.800)。

◆「定格出力」の大小を、気にする必要はない!?

ところで「定格出力」は「外部パワーアンプ」の出せる力の大きさを表すものだが、音質性能の良し悪しとは比例しない。「定格出力」が大きいモデルの方が余裕を持ってスピーカーを駆動できることは事実ながらも、数値がさほど大きくなくても音の良いモデルは多々ある。

なお、一般的な「メインユニット」に内蔵されている「パワーアンプ」の定格出力は大体20W前後で、そこまで非力だと実力的に見劣るが、「外部パワーアンプ」として製品化されているモデルに関しては、「定格出力」の数値が小さめでも実用上不足しているモデルはないと思って間違いない。

なお「定格出力」は、スピーカーの「インピーダンス(抵抗値)」によっても変化する。スピーカーは製品ごとで「インピーダンス」が異なっていて、「インピーダンス」の数値が低いと多くの電気が流れることとなり、「定格出力」も大きくなる。なので比較する場合には「インピーダンス」がいくつのときの数値なのかも確認し、同一条件の数値を比べるべきだ。

ちなみにいうと、カー用のスピーカーの「インピーダンス」は「4Ω」がスタンダードなので、「外部パワーアンプ」の中には「4Ω」のスピーカーしか鳴らせないものもある。というわけなので「2Ω時」の「定格出力」も記載されている場合には、「2Ωのスピーカーも鳴らせる」モデルであることを知れる。逆に「4Ω時」の「定格出力」しか記載されていなかったら、「2Ω」のスピーカーは鳴らせないモデルである場合が多い。

市販「外部パワーアンプ」の一例(フォーカル・FPX 4.800)。市販「外部パワーアンプ」の一例(フォーカル・FPX 4.800)。

◆「サブウーファー」を鳴らしたいときには、「定格出力」のチェックが欠かせない!?

また「定格出力」の項目を見ると、そのモデルが「ブリッジ接続」に対応しているか否かも読み取れる。ちなみに「ブリッジ接続」とは、Ach出力とBch出力とをいわば“橋渡しする”ような接続方法のことを指す。

なおこの接続法は、「サブウーファー」を鳴らすときに使われることが多い。「サブウーファー」は振動板の口径が大きく磁気回路も大型化するので、より大きな電力が必要となる。

で、「ブリッジ接続」が可能だと、「サブウーファー」により大きな力をかけられる。Achのプラス端子と「サブウーファー」のプラス端子とを接続し、Bchのマイナス端子と「サブウーファー」のマイナス端子とを接続する。こうすることで、AchとBchの信号を合成でき、よりパワーをかけて「サブウーファー」をドライブできる。

なお「ブリッジ接続」が可能な場合は、そのモデルが例えば2ch機であったときそのスペック表には、「100W×2」という表記に加えて「200W×1」というように1ch時の数値も並記されることとなる。それがまさしく「ブリッジ接続時」の定格出力、というわけだ。

今回は以上だ。次回も「外部パワーアンプ」のスペックについて説明していく。お楽しみに。

《太田祥三》

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