OBD車検の始動が今年の秋に近づく中「国際オートアフターマーケットEXPO 2024(IAAE 2024)」 に出展したツールプラネット。最新の車検・整備事情をカバーできるスキャンツールを、続々と新発売する同社ブースに注目した。
OBD車検にDoIP対応、今欲しいスペックが詰まった最新モデル【nanoWIN】

2024年10月に始まるOBD車検の本格始動のタイミングをはじめ、スキャンツールを筆頭にした検査機器の進化は、時代の流れに合わせてスピードアップしている。そんな潮流に先んじるかのように注目のニューモデルを投入してきたツールプラネット。
これまでもTPMシリーズなどのスキャンツールのヒットモデルを数多くラインアップし、業界のスタンダードとしての地位を揺るぎないものにしてきている同社だけに、次の一手がどのような製品になるかはユーザーの注目を集めた。
IAAEに出展されたモデルの中でもひときわ多くの来場者が集まり、同社の担当者に多くの質問を投げかけていたのがOBD検査専用スキャンツール「nanoWIN」だ。その名の通りOBD車検で必要になる検査機器に特化したモデルであり、今年10月から本格運用が始まるOBD車検に対応した機器であることがポイント。

さらに将来的にOBD車検に用いることが予定されている、次世代通信のDoIPへの対応も同モデルの目玉。現在はまだ一部の輸入車しか導入していないDoIPだが、令和8年からは国産車への搭載が予定されている通信だ。この通信規格にいち早く対応することで、長く使い続けることができるスキャンツールとなるためユーザーも安心して導入することができるモデルとなる。
加えて「nanoWIN」はPCやタブレットとの接続は従来の有線はもちろん、Bluetoothを使った無線接続にも対応。現場の環境に合わせた使い勝手の良さを体感できるだろう。また本体内にアプリ(Windows対応)を搭載しているため、手持ちのPCやタブレットと接続して手軽に専用アプリをインストールできるのも手間がない。
様々なデータをWindowsPCやタブレットで利用するため、プリンターへの出力、メールでデータを転送、さらにはインターネット上で診断結果の検索をするなど、Windows機器で利用できるさまざまな作業やネットワーク利用が可能なのも魅力だ。

さらに「nanoWIN」のもうひとつの大きな特徴とは、有料オプションとして整備用のスキャンツールが用意されている点だ。診断機能に加えてADASキャリブレーションなどもパッケージされているため、同社のTPMシリーズが備える診断機能などを幅広く利用でき、その機能はTPMシリーズの上位機種に匹敵する内容なのも驚きだ。このオプションを選ぶことで、OBD車検のスキャンツールのみならず整備にも使える診断機としても兼用できるのも魅力だ。

またEDR(イベント・データ・レコーダー)への対応も同モデルの特徴のひとつだ。交通事故の調査などに活用が見込まれているEDRだが、同モデルはEDRの検出機能を備えている。EDRは車両のトラブル時のデータを検出して表示することが可能で、エアバッグの展開やブレーキ、車速などトラブルの発生時にどのような車両側の動きがあったのかもデータとして見ることができる*のだ。*現在は一部のメーカー、車種への対応
その作動状況をグラフ化して表示することも可能なのも同モデルの特徴だ。今後は損害保険をはじめとしたさまざまなカテゴリーで利用が加速することが予測されるEDRなので、手持ちの診断機で確認できるのはメリットにもなるだろう。

注目が集まりはじめているEDRだが、ツールプラネットではEDR検出の専用機として「TPM-DDA(プロトタイプ)」と呼ばれるモデルもブースに展示。EDRを利用する事業者の反応をみながら、今後の市販化に向けて鋭意開発中とのことだ。
ベストセラーモデルがさらに使いやすくリニューアル【TPM-6】

次に多くのスキャンツールをラインアップするTPMシリーズから、新たに登場したのが「TPM-6」だ。ハンドヘルドタイプで簡単&手軽に使えるモデルであることがポイント。現行モデルの「TPM-5」は同じくハンドヘルドタイプで高機能でありながら、手ごろな価格であることからベストセラーになっている。そのTPM-5の後継モデルともいえるTPM-6には大きな注目が集まっているのだ。
まずは次世代通信のDoIPに対応したことに注目。2系統のDoIPと3系統のCANを切り替えて使用でき、多様な接続が利用可能になる。OBD車検で今後必要になってくるDoIPへの対応は、スキャンツールとしては必須だ。
またTPM-5に対してCPUを高スペック化してスピードアップを図ったのも特徴。使用開始時の起動時間の早さは際立っており、作業の効率化に大きく貢献する。

また操作性向上のために3つのファンクションキーが新設された。TPM-5では十字キーを使って画面に従うメニュー操作が必要だったが、TPM-6ではよく使うキーを専用キーに割り当てることで操作性をアップさせた。例えば中央のSAVEボタンは表示されている画面をワンタッチでスクリーンショットできるので、保存しておきたい診断途中のデータをいつでもスピーディに記録可能だ。

さらに本体にはWi-Fi(USBも搭載)を備え、現場にWi-Fi環境があれば簡単に通信接続できるのも魅力だろう。診断機能やアクティブテスト、エーミングなどの機能はTPMシリーズの上位モデルに匹敵(スーパーカーへの対応などが削られている)するなど、高機能な点でも魅力。現場でスピーディな作業を可能にする、マルチなスキャンツールとして活躍するモデルとなるだろう。
タブレットも含めたオールインワンのパッケージが魅力【nanoBT2】

最後にチェックしたのはAUTOLAND(オートランド)社とのコラボモデルで、TPM-TABの後継機種として開発中の「nanoBT2」。こちらも新たにDoIPへの対応が加わり、次世代のOBD車検への対応が完備されたモデルとなる。
こちらはAndoroid OSによる動作で、専用タブレットもセットしたシステムとなる。後からタブレット端末を準備する必要もないので、診断機+タブレットの構成で利用を想定しているユーザーには最適な提案となるだろう。

OBD車検をはじめとしたクルマの整備環境が大きく変わるこの時期、スキャンツールの世界も進化のスピードがめまぐるしい。使いやすさや高機能であることに加えて、最新の通信規格やEDRに対応するなど長く使い続けられる機器を用意する必要がある。無駄なく高機能な整備環境を整えるためには、ツールプラネットが用意する最新のスキャンツールを導入すれば、きっとベストな提案になるに違いないだろう。
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土田康弘|ライター
デジタル音声に関わるエンジニアを経験した後に出版社の編集者に転職。バイク雑誌や4WD雑誌の編集部で勤務。独立後はカーオーディオ、クルマ、腕時計、モノ系、インテリア、アウトドア関連などのライティングを手がけ、カーオーディオ雑誌の編集長も請負。現在もカーオーディオをはじめとしたライティング中心に活動中。