アウディ『50』の登場から50年---最初で最後の小型車

アウディ50
アウディ50全 18 枚

1973年の石油危機直後、アウディから初めて登場した小型車、それが50年前の1974年に発売されたアウディ『50』(Audi 50)だ。

【画像全18枚】

◆前輪駆動に横置きエンジン

アウディ50は燃費に優れ、デザインも先進的だった。前輪駆動に横置きエンジン、3ドアハッチバックボディに大きなトランクと、後席の折りたたみ式背もたれを備え、外寸はコンパクトながらも、魅力的な走行性能とドライブ特性を持っていたと評価される。

アウディ50は、7か月後に登場するフォルクスワーゲン『ポロ』とほぼ同一の設計で、VWグループ内でのシナジーを成功させた最初のレシピとなった。

◆現代の要請に応じたサイズ

モダンなデザインと多用途性を持つアウディ50は、アウディ『80』とアウディ『100』の下位に位置づけられる。

1970年にはアウディの前身、アウディNSUアウトウニオンAGのエンジニアが、CTOのルートヴィヒ・クラウスの指揮のもとで開発に着手していた。彼らは生産終了が近づいていたNSUの小型車、『プリンツ』の後継車を検討していたのだ。なお、発売のタイミングを勘案すると、VWポロと共通設計になることは前提だったはずだ。

開発陣は「現代の車は現代の要請に応じたサイズでなければならない」という設計理念を持っていた。成功の鍵は横置きエンジンで、これにより3.49mという全長で、比較的大きな室内空間の車を設計できた。同時期に登場したVWの小型車、『ゴルフ』と同様の設計思想だが、アウディ50のほうがひと回り小さい。

重量685kgの「ミニアウディ」は1.1Lエンジンを搭載、「50LS」(50PS)と「50GL」(60PS)の2バージョンで発売された。最高速度は50LSが142km/h、50GLが152km/hだった。50PS仕様はレギュラーガソリンを使用し、60PS仕様はハイオクガソリンが必要だった。60PS仕様は1977年に新開発の1.3Lエンジンに置き換えられ、レギュラーガソリンで動作するようになった。

外観デザインは、80をデザインしたハルトムート・ヴァルクスに委ねられた(イタリアのベルトーネとする資料もある)。ヴァルクスは、クラウスが構築したパッケージを取り囲むように、繊細で、時代を超越した形を作り上げた。

◆成功はVWポロに引き継がれる

インゴルシュタットのチームは1974年夏にサルディニアで国際メディアにアウディ50を発表し、10月26日にディーラーに到着した。50LSの価格は8195ドイツマルク、50GLは8510ドイツマルクだった。

アウディ50は当初ネッカーズルムで計画・開発され、後にインゴルシュタットで技術開発が行なわれ、VWのヴォルフスブルク工場で製造された。1975年3月31日にVWポロの生産が開始されるまでに、ヴォルフスブルクの組立ラインから正確に4万3002台のアウディ50が送り出された。アウディ50の生産は1978年夏に終了し、その時点で18万0828台が製造されていた。

それ以降、アウディは中・高級車に注力するようになる。アウディ50の販売期間は短かったが、VWグループ内の小型車セグメントでの役割分担を確立し、その後VWポロが複数の世代にわたって製造されている。

プレミアムブランドが小型車を用意する例は1990年代後半から増え始め、アウディからは『A3』が1996年に登場する。A3はVWゴルフと基本設計が共通なので、ポロの上のクラスになる。その後、試作的の要素の強かった『A2』が2000年前後の一時期販売され、2010年からは『A1』がラインナップされている。

《レスポンス編集部》

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