三菱ふそうトラック・バスがラウンドテーブル…人流とともに復活するバス需要・二極化する観光バス・工場からドライバー派遣も検討

三菱ふそうトッラク・バス:バス事業に関するラウンドテーブル
三菱ふそうトッラク・バス:バス事業に関するラウンドテーブル全 9 枚

三菱ふそうトラックバス(MFTBC)と三菱ふそうバス製造(MFBM)が4月15日、コロナ禍明けのバス事業について記者向けのラウンドテーブルを開催した。登壇したのはMFTBCバス事業本部の高羅克人本部長、MFBMの藤岡佳一郎代表取締役社長の2名。


MFTBCでは、大型観光バス・大型路線バス・小型バスの3種類をラインナップしている。エンジンやトランスミッションなど機関コンポーネントを川崎市の工場で生産し、富山県のMFBMが車体製造を行い、完成車を国内外に供給している。

◆バスの需要は底打ち

コロナ禍前の2019年の大型観光バスの需要台数は約2000台あった。これが新型コロナウイルスによる行動制限、ロックアウトが始まった2020年になるとおよそ800台規模にまで落ち込んだ。大型路線バスは、観光バスほどではなかったが1600台以上あった需要が1300台を切るまでになった。小型バスも5000台以上から約3800台だった。その後も需要は落ち込み、2022年の時点では大型観光バス191台、大型路線バス770台、小型バス1551台まで下がった。

だが、これが需要の底で2023年には、大型観光バス約500台、大型路線バスで2020年と同じレベル(1200台以上)、小型バスで2600台ほどに回復している。

「一時はコロナ前の2019年比でマイナス90%という生産台数となった車種もあり、非常に厳しい状況だった。だが、小型バスの輸出はスクールバス需要によって回復が早く、国内も小型バスの製造は2022年の時点で2019年を上回ることができた」と高羅氏は振り返る。

◆請負製造だけでない利益創出が必要

MFTBCはトラックも作っている。同じコロナ禍にあって物流を担うトラック事業の落ち込みはバスほどではなかったと藤岡氏はいう。2023年時点、大型トラックの需要は2019年比で74%だが、観光バスは25%と厳しい数字だ。人流制限による打撃に対して、バス業界は車内換気性能を向上させたり、雨天でも窓があけられるバイザーの取り付け、運転席の仕切り導入、除菌ポンプスタンド、各部の抗菌・抗ウイルス加工などの施策を展開した。

MFBMは、MFTBCのバス製造を一手に担う製造会社だ。藤岡氏は、未曾有の業界危機にあって請負製造だけでない利益創出が必要とアフターコロナを見据えた改革「Blue Sky活動」を2020年から始めたという。ハーネスの内製化、組み立て工程の見直し、塗装やボディプリントの新方式採用、バス内外装のリニューアル事業など、新しい事業ドメインの開拓を行った。

たとえば、光岡自動車の『バディ』のヒットでは、本拠地が近いというこで以前から工場利用でつながりのあった車両の組み立てや塗装を請け負っているという。

現在、新型コロナウイルスが5類に分類され、人流が戻りつつある。インバウンドでは、地域によってすでにオーバーツーリズムが問題になるほどである。観光バスは、以前のように乗車人数を増やすニーズがある一方、少人数の貸し切り依頼が増えているという。「ソーシャルディスタンスが定着し、国内需要でもパーソナルスペースを重視したバスやツアーなど高級路線を求める声があるのでは?」と藤岡氏は分析した。

◆人流が回復してもドライバー不足

路線バスについては、人流が回復してきても多くの事業者がドライバー不足から増便ができない。コロナ禍の休日ダイヤのままという路線もある。路線バスの場合、一定の代替需要が見込まれる。ボディプリントや内外装リニューアル、再架装はこれに応える施策でもある。事業者は収益性を考えると公共交通よりも観光事業に寄せてくると、路線バスはさらに厳しい状況となる。


《中尾真二》

テクノロジージャーナリスト・ライター  中尾真二

アスキー(現KADOKAWA)、オライリー・ジャパンの技術書籍の企画・編集を経て独立。現在はWebメディアを中心に取材・執筆活動を展開。インターネットは、商用解放される前の学術ネットワークの時代から利用し、ネットワーク、プログラミング、セキュリティについては企業研修講師もこなす。エレクトロニクス、コンピュータのバックグラウンドを活かし、自動車業界についてもテクノロジーを中心に取材活動を行う。

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